第4節「二人旅のはじまり」
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第1章「蒼の勇者、降り立つ」
## ――第4節「二人旅のはじまり」――
阿久津みのりを保護した蒼真は、まずは落ち着ける場所を確保するため、街の宿屋まで彼女を案内した。
宿屋「風のまどろみ亭」は、白壁と木枠の温かみのある建物で、入口には色とりどりの花が飾られている。街の喧騒から少し離れていることもあり、静かで安全そうだった。
「ここなら安心して休めると思う。受付で部屋を取ろう」
「ありがとうございます……ほんと、蒼真さんがいなかったら……」
みのりは胸の位置で手をぎゅっと握り、心底ほっとした表情を浮かべていた。
その姿があまりに無防備で、蒼真は自然と笑みをこぼす。
「まずは部屋を押さえて、それから状況整理だな」
二人で宿の受付へ向かい、二部屋を確保した。
受付のおばさんが、みのりの服装を見て目を丸くする。
「まあまあ、こんな薄着で……旅の方? この辺りは温かいとはいえ、夜は冷えるよ?」
「え、えっと……気づいたらここにいて……」
みのりが困ったように微笑むと、受付のおばさんは「あらまあ」と頬を緩めて、すぐに羽織れる薄地の布を渡してくれた。
「優しい人が多いな、この街は」
「うん……少し安心しました……」
みのりは胸元を布で少し閉じ、ふわりと息を吐く。
蒼真はその様子をひとつ確認すると、宿の共有スペースにある丸テーブルへと彼女を誘った。
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## ◆ ● 異世界のこと、日本のこと
夕陽が差し込む中、二人は向かい合って座った。
「改めて、状況を話してくれるか?」
「はい……えっと、私……美容室で働いてて、夜遅くに帰る途中だったんです。突然、視界が白くなって……。気づいたらあの路地裏で……」
みのりは指を絡ませ、不安げにテーブルを見つめる。
「周りの人がみんな言葉も違って……怖くて……。声をかけてくれた男の人について行ったら、だんだん態度が変わって……逃げようとしたら、さっきの人たちに……」
蒼真は耳を傾けながら、拳を静かに握った。
(……無関係の日本人を、こんな危険に巻き込んだのか。
女神の“選ばれし勇者”ってのは、どう考えても説明不足だろ)
みのりが不安を漏らすように呟く。
「この世界のこと、全然分からなくて……。私、どうしたら……」
「簡単だ。俺と一緒にいろ」
きっぱりと言い切ると、みのりの肩がびくっと震えた。
しかしその顔は、すぐに花が咲くように緩む。
「……えっと……その……よろしくお願いします。蒼真さん」
「任せろ。俺がいる限り、お前を危険な目には遭わせない」
みのりは恥ずかしそうに俯き、指で頬をつついた。
「そ、そんな……守られてばっかりじゃ……」
「大丈夫だ。みのりにも“この世界でできること”があるはずだ。美容師なら、器用なはずだろ?」
みのりは一瞬驚いた顔になり、すぐに小さく微笑む。
「……はい。私、不器用だけど……頑張って練習して、仕事も大好きで……。この世界でも、誰かの役に立てたらいいなって……思います」
その言葉に、蒼真は自信を持ったように頷いた。
「なら、一緒に探していこう。お前の強みをな」
みのりの頬がほんのり赤く染まり、胸の前で手をぎゅっと握る。
「蒼真さん……すごく、頼もしいです……」
(――ああ、これはもう落ちてるな)
蒼真は心の中で苦笑した。
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## ◆ ● そして、共に歩き始める
「これからどうしますか……?」
「まずは、この街で最低限の生活を整える。必要な装備や道具を集めて、冒険ギルドにも登録しよう」
「私も……登録していいんですか?」
「もちろんだ。危ないことはさせない。けど仲間として、隣にいてくれると助かる」
その言葉に、みのりは胸に手を当てて深く頷いた。
「……はい! 私、精一杯がんばります!」
健気な笑顔が夕日を浴びて輝く。
その表情を見て、蒼真はほのかに胸が温かくなるのを感じた。
こうして――蒼真とみのりの二人旅は、静かに始まった。
それが後に、数多くの日本人美女を巻き込み、
大規模な“勇者ハーレムパーティー”へと発展していくことを
このときの二人はまだ知らなかった。
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