第7節「街道の救出劇――“女優”の素質」
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あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第1章「蒼の勇者、降り立つ」
## ――第7節「街道の救出劇――“女優”の素質」――
冒険者ギルドを飛び出した蒼真とみのりは、助けを求めに来た商人の案内で街道へ向かった。
「この先の分岐路で、黒い狼の群れに囲まれちまって……!
日本人だって言ってた! 妙に落ち着いてたけど、さすがに危ない!」
「群れか……普通の冒険者なら撤退が正しい判断だな」
「蒼真さんは……どうするんですか?」
「もちろん助ける」
蒼真の即答に、みのりは胸を押さえながら微笑む。
(……こういうところ、本当に好き……)
やがて視界が開け、荒れた街道の一角が見えてきた。
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## ◆ ● 女優の“凛とした立ち姿”
「そこだ! あの子だ!」
商人が指さした先――
大きな倒木を背にして、黒狼の群れに囲まれている一人の女性がいた。
長い黒髪。
整いすぎているほど整った顔立ち。
露出の多い異世界服でもなお上品さを感じさせる佇まい。
そして、狼に囲まれながらも怯えるどころか――
ゆっくりと背筋を伸ばし、冷静な眼差しで敵を見据えていた。
(……あれは、只者じゃない)
蒼真は瞬時に理解する。
女優の“度胸”は死地でも輝く。
その女性は、砂月(さつき)だった。
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## ◆ ● 蒼真、華麗に参戦
「みのり、後ろで見てろ。すぐ終わる」
「はいっ、気をつけて……!」
蒼真は剣を抜き、地を蹴った。
次の瞬間――
「《蒼裂剣――ブルークラッシャー》!!」
蒼い閃光が走った。
空気が裂け、闘気が放たれ、狼の群れが一斉に吹き飛ぶ。
「な、なに……!? 光……?」
砂月は目を見開いたまま立ち尽くした。
蒼真は倒木の上に軽やかに着地し、残った狼へ剣を構える。
「来いよ。まとめて相手してやる」
黒狼たちは本能で理解した。
この男に勝てない、と。
群れは尻尾を巻き、森の奥へと逃げ散っていく。
「……よし」
剣を収めた蒼真は、砂月へと振り向く。
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## ◆ ● 遭遇――“新人女優”砂月
「怪我はないか?」
砂月は一瞬、言葉を失い、ゆっくりと蒼真を見つめる。
「……あなた……さっきの光、何?
映画の撮影じゃないわよね……」
その声は震えていたが、不思議と落ち着きもあった。
「撮影じゃない。この世界の“力”だ。
俺たちと同じ日本人だよな?」
「……ええ。
私は——砂月(さつき)。女優やってるの。
気づいたらこの世界で、助けてくれた人に連れられて歩いていたら……急に狼が出てきて」
砂月は長い髪を耳にかけ、蒼真を真正面から見つめた。
(……やっぱり、ただの美女じゃないな。
肝が据わってる。目に光がある)
女優は極限状況でこそ“魅せる”のだ。
みのりが駆け寄り、心配そうに砂月の手を握る。
「大丈夫ですか!? 怖い思いしちゃいましたよね……?」
「あなたも日本人なのね……助かったわ。ありがとう」
砂月はほっとして微笑み、みのりの手を温かく握り返す。
ほんの数秒で相手を安心させる笑顔――
これもまた、女優の才能だった。
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## ◆ ● 砂月、蒼真を“見る”
そして砂月は、ゆっくりと蒼真に近づく。
「さっきの……本当にあなたが倒したの?」
「ああ」
砂月はじっと蒼真の目を覗き込む。
その距離、みのりよりも近い。
「……すごいわね。
映画でもこんな迫力、見たことない。
……あなた、ただの人じゃないでしょ?」
その瞬間――みのりが真ん中に滑り込むように割り込んだ。
「さ、砂月さん近いです! 蒼真さんは、わ、私の……い、いいえ、仲間ですけど……!」
「ふふ。かわいい子ね」
砂月はみのりの頭にそっと触れ、柔らかく微笑む。
蒼真はその光景を見ながら、胸の奥にひとつ確信が生まれていた。
(この人は……いずれ仲間になる。
そして――俺のハーレムに入るタイプだな)
そのとき、砂月が一歩前に出て、言い切った。
「この世界で一人になるのは怖すぎるわ。
私を……仲間に入れてもらえる?」
蒼真は微笑む。
「もちろんだ。
砂月、これからよろしく」
「……ありがとう。
あなたの背中、とても頼もしかったわ。
ついていく価値、ありそうね」
砂月の瞳は、すでに蒼真へ向けられた信頼と興味で輝いていた。
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こうして“新人女優・砂月”は、
異世界で蒼真の二人目のヒロインとして加わった。
そして――
まだ彼女が隠している“特殊な能力”を
このとき誰も知らなかった。
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