第3節「影の刺客、襲来」
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第2章「影の騎士と白銀の舞姫」
## ――第3節「影の刺客、襲来」――
影虫の大群を退けた蒼真たちは、丘を越えて再び街道を進んでいた。
そこはアストレアから北へ半日ほどの位置にある、緩やかな起伏が続く草原地帯。
風は穏やかで空は高く、遠くの森が深緑の線となって横たわっている。
「それにしても、さっきの彩香ちゃん……ほんとにすごかったね」
みのりが隣を歩く彩香に笑いかける。
「えへへ……ありがとうございます。
でも、まだまだ未熟なんです。歌に魔力を乗せるって難しくて……」
「いや、十分すぎるくらいだ」
蒼真がはっきりと言う。
「魔法と舞踊の融合は、古い文献でも“最高難度”とされてる。
アイドル経験があるからって、普通はあれほど精度は出ない」
「……蒼真様に褒められると、なんか……胸が熱くなります」
彩香は恥ずかしそうに頬を染め、視線をそらす。
みのり、砂月がその様子を見て――
((また仲間がひとり……落ちていく……!!))
二人の心の声が見事にシンクロした。
---
## ◆ ● 草原に漂う異様な気配
しかし彼女たちの微笑ましい空気を破るように、蒼真が足を止めた。
「……待て」
空気が変わった。
妙に乾いた風。
草原の揺れが不規則になり、音が薄くなる。
「蒼真様……何か来ますか?」
彩香が不安げに尋ねる。
「いや……“いる”んだ」
蒼真は剣に手をかけた。
「最初から草原の中に……潜んでやがる。
影を纏った気配……相当な手練れだな」
砂月の表情が険しくなる。
「また影の魔物?」
「いや……これは違う」
蒼真がわずかに首を横に振る。
「これは……“人間”だ」
その瞬間だった。
「――よっ」
乾いた声と共に、草原の地面が真横に裂けた。
飛び出してきた影が一本の黒剣を振り抜く。
「ッ!!」
蒼真は咄嗟に剣で受ける。
金属音が弾け、風が吹き飛んだ。
後退して姿を現した男は――黒いコートに包まれ、影のように薄笑いを浮かべていた。
「よう、蒼真。
会いたかったぜ?」
「……如月翔」
みのりが息を飲む。
「翔くん!? なんで……こんな……」
砂月も驚愕するが、翔はちらりと彼女たちを見ると、冷たく笑った。
「へぇ、女が増えてんじゃねぇか。
しかも全員、日本人で若い美女……お前、楽しそうだな?」
その言葉に、蒼真の目が細く鋭くなる。
「言いたいことはそれだけか?」
「いやいや、まだあるさ」
翔は剣を肩に担ぎ、軽やかに近づく。
「俺はな、蒼真――
“お前のもんを奪う”的な生き方が好きでよ」
「……」
「だからよ。
**その女たち、全部よこせよ。
抵抗するなら……死んでもらう。**」
みのりが震え、砂月は唇を噛む。
彩香は蒼真の背中を見つめ、歌うように息を整える。
「……蒼真様」
「ああ、分かってる」
蒼真は剣を構え、翔を真正面からにらんだ。
「お前に……仲間は絶対に渡さねぇ」
「クソ真面目でムカつくねぇ、その顔!!」
翔が地面を蹴った。
蒼真も同時に踏み込む。
蒼と黒――
二つの閃光が、草原のど真ん中でぶつかり合った。
---
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。