第15節「白の巫女は、剣士の隣で眠る」
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あらすじ
《蒼真、神殿に立つ ― 異界の剣聖は、美しき仲間と共に》
本文
# ◆ 第4章「みのり救出編 ― 白銀の夢路を駆ける者」
## ――第15節「白の巫女は、剣士の隣で眠る」――
白の空間が、完全に静けさを取り戻した。
女神の気配は消え、
崩れていた神殿も、ただの遺跡のように力を失っている。
残ったのは――
二人分の呼吸音だけだった。
「……終わった、んですよね……?」
みのりは蒼真の腕に支えられながら、
不安そうに小さく呟いた。
「ああ。
もう大丈夫だ」
蒼真の声は、戦闘中とは違う。
低く、落ち着いていて、確かな温度があった。
その瞬間――
みのりの足から、力が抜けた。
「……っ」
「おっと」
蒼真は即座に、彼女の身体を抱き留める。
華奢な体。
薄着の衣装越しでもはっきり分かる体温と柔らかさ。
(……ヤバいな、これは)
戦いの疲労と安堵、
そして至近距離の異性。
蒼真は理性を総動員した。
「無理すんな。
魔力、ほとんど空だろ」
「……はい……
最後、全部……蒼真さんに……」
みのりの声は、
微かに甘さを含んでいた。
彼女は、蒼真の胸に額を預ける。
距離は、もう“ゼロ”だった。
◆ ◆ ◆
「……あの……」
「ん?」
「さっき……
“全部預けろ”って……言いましたよね……」
「ああ」
「……預けたまま……
返してもらってない気がします……」
みのりの指が、
蒼真の服を、きゅっと掴む。
無意識の仕草。
だが、破壊力は抜群だった。
「……それは……」
蒼真は、少しだけ視線を逸らし――
それから、諦めたように微笑う。
「じゃあ……
少しだけ、休んでいくか」
「……はい……」
蒼真は、遺跡の壁際に腰を下ろし、
みのりをそっと座らせる――つもりだった。
だが、彼女は離れなかった。
むしろ、
自然な流れで蒼真の胸に身を寄せてくる。
「……ここ……落ち着きます……」
「……お前な……」
文句の一つも言いたかったが、
蒼真は結局、何も言えなかった。
代わりに――
彼女の肩に、そっと腕を回す。
◆ ◆ ◆
しばらく、言葉はなかった。
みのりの呼吸が、
だんだんと規則正しくなっていく。
「……寝た、か」
蒼真は小さく呟く。
彼女の髪は、ほのかに甘い匂いがした。
日本にいた頃の名残――
美容師として働いていた、あの頃の香り。
(異世界だってのに……
変わらないもんだな)
蒼真は、みのりの寝顔を見る。
無防備で、穏やかで、
そして――信頼しきった表情。
「……守るって決めたんだ」
それは、誰に聞かせるでもない言葉。
だが、
みのりは眠ったまま、
小さく蒼真の服を掴み直した。
まるで――
**離さない、と言うかのように。**
◆ ◆ ◆
やがて、遺跡の外から光が差し込む。
新しい朝。
新しい旅。
そして――
新しい“仲間”。
「……よし」
蒼真は、みのりを起こさないように、
ゆっくりと立ち上がる。
「次は……
もっと賑やかになるな、これ」
白の巫女を腕に抱いたまま、
蒼真は遺跡を後にした。
この先――
女優、騎士、魔導士、商人、聖女。
様々な日本人女性たちが、
彼の隣に並ぶことになる。
だが今は――
ただ一人。
最初のヒロインが、
彼の腕の中で、静かに眠っていた。
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### ◆ 第4章・完 ◆
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