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2節 連鎖の兆し(終)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/9 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,196文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第1章 失われた日常】

### 【2節 連鎖の兆し(終)】

 歌舞伎町の現場は、豊洲とはまるで別の顔をしていた。

 ネオン、ゴミ、酒の匂い。夜の残骸が、朝になっても地面に貼り付いている。人の欲望が濃縮された街で、死は日常の延長線上に溶け込みやすい。

 非常階段の踊り場。

 遺体は壁にもたれるように座らされていた。胸元の紙片は、わざとらしいほど整った位置に置かれている。

「演出してますね……」

 朝霧が小さく呟いた。

 その声には、恐怖よりも怒りが混じっている。

「見せる気だ」

 小坂は遺体の表情に目を凝らした。苦悶は少ない。抵抗の痕跡も、ほとんどない。

 この男もまた、呼び出され、納得したまま殺された可能性が高い。

「被害者は?」

「四十代前半。派遣会社の管理職です」

 部下からの評判は芳しくない。契約打ち切り、配置転換、曖昧な評価。だが、それらはすべて“合法”だった。

 ――まただ。

 小坂は、二つの事件を頭の中で重ね合わせる。

 共通点は、罪ではない。

 **判断**だ。

 誰かの人生を左右する立場にあり、法の枠内で、冷たい決断を下してきた者たち。

「……選ばれている」

 朝霧が、唇を噛みしめる。

「殺される理由が、あるってことですか」

「理由がある、と思い込んでいる犯人がいる」

 小坂はそう訂正した。

 その違いは、決定的だ。

 捜査本部に戻ると、空気は一変した。

 二件目。しかも、犯行声明とも取れる紙片付き。

 無差別という線は、もはや通らない。

「連続殺人として扱う」

 上層部の判断は、ようやく切り替わった。

 だが同時に、別の指示も出る。

「犯人の思想には触れるな。世論を刺激する」

 小坂は、その言葉に強い違和感を覚えた。

 触れなければ、理解できない。

 理解できなければ、止められない。

 夜。

 捜査本部の片隅で、朝霧が資料を睨みつけていた。

「……全部、“正しい判断”なんですよ」

「何がだ」

「被害者たちの行動です。法的には、間違ってない。会社のルール、社会のルールに従ってる」

 朝霧は顔を上げ、小坂を見る。

「それでも、誰かは切り捨てられてる。犯人は、そこを見てる」

 小坂は、静かに頷いた。

「だから危険なんだ」

「え?」

「一部の人間には、共感される」

 正義の皮を被った暴力。

 それが、どれほど社会を蝕むか。小坂は、過去の事件で嫌というほど見てきた。

 そのとき、捜査本部の電話が鳴った。

 第三の被害者候補が浮上した、という連絡。

 まだ、生きている。

 だが、“選ばれている”。

「行くぞ、朝霧」

「はい」

 二人は立ち上がる。

 止められるかどうかは、分からない。だが、立ち止まる理由はなかった。

 庁舎を出ると、夜風が二人を打った。

 東京は、今日も平然と息をしている。

 この街のどこかで、

 “調整者”は、次の対象を見つめている。

 そして――

 小坂凌は、確信していた。

 この事件は、

 自分の正義そのものを、試しに来ているのだと。

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冥界焔つむぎ

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