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4節 境界線のこちら側(続)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/14 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,188文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第1章 失われた日常】

### 【4節 境界線のこちら側(続)】

 内部調査課に関係する民間人――。

 その情報だけで、捜査本部の空気は一段階張り詰めた。

 警察官が標的になる。

 それは、連続殺人事件において“越えてはならない線”だった。

 小坂と朝霧は、すぐに資料室へ向かった。夜間でも稼働している内部調査課のデータベース端末が、低い電子音を立てている。

「民間人って言っても、内部調査に関わる人間は限られてますよね」

 朝霧が、一覧をスクロールしながら言う。

「弁護士、コンサルタント、元警察官……」

「“外部”でありながら、“内側を知っている”人間だ」

 小坂は、画面を覗き込みながら応じた。

「犯人にとっては、都合がいい」

「警察を裁く、ってことですか」

「可能性は高い」

 小坂の声は、低く抑えられていた。

 これまでの被害者は、表向きは“普通の市民”だった。だが、背景を掘り下げると、誰もが社会のどこかで歪みを生んでいた。

 責任を果たさず、

 しかし裁かれることもなく、

 それでも社会の中で生き延びていた人間たち。

「……やっぱり、“選別”してますよね」

 朝霧が呟く。

「しかも、独自の基準で」

 小坂は、次のファイルを開いた。

 そこに表示された名前を見て、ほんの一瞬、呼吸が止まる。

「……小坂さん?」

「いや……」

 その名前は、過去の記憶を強く刺激した。

 ――七年前。

 まだ、小坂が所轄にいた頃の事件だ。

 ◇

 当時、小坂は若手刑事だった。

 理想も、熱も、今よりずっと剥き出しだった。

 ある連続自殺事件。

 表向きは、社会的に追い詰められた人間たちが、立て続けに命を絶ったとされた。

 だが、小坂は違和感を覚えていた。

 遺書の文体。

 死に場所の選び方。

 そして、残された“メッセージ”。

『不要な部品を取り除く』

 当時は、誰も深く追わなかった。

 社会不安による連鎖自殺――それで片づけられた。

 だが、小坂は忘れられなかった。

 自分が踏み込めば、止められたかもしれない。

 それでも、組織の判断に従った。

 結果、五人が死んだ。

 小坂が「正義」を語るとき、そこには必ず、この後悔があった。

 ◇

「小坂さん?」

 朝霧の声で、現実に引き戻される。

「……すまない。少し考え事だ」

 小坂は、画面を指さした。

「この民間人――三日前に、内部調査課の聞き取りを受けている」

「内容は?」

「警察官による不正告発。だが、証拠不十分で立件されていない」

 朝霧は、はっとした。

「じゃあ、その人は……」

「犯人の基準では、“裁かれなかった歪み”だ」

 警察内部に不正があった。

 それを知っていた。

 それでも、何も変わらなかった。

 犯人にとって、それは“修正対象”になる。

「守らなきゃ……」

 朝霧が、思わず口にする。

「警察のためじゃない。命のために」

 小坂は、ゆっくりと頷いた。

「今回は、先回りする」

 そのとき、端末に新しい通知が表示された。

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冥界焔つむぎ

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