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1節 正義の輪郭

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/16 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,210文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第2章 捜査と疑念】

### 【1節 正義の輪郭】

 朝の東京は、何事もなかったかのように動き出す。

 神田で起きた未遂事件は、夜のうちに「連続殺人犯、再び動く」という見出しで速報として流れ、通勤電車の中では、その話題がひそひそと交わされていた。だが、誰もが画面を閉じれば、すぐに自分の生活へ戻っていく。

 人は、事件を“消費”する。

 警視庁捜査一課の会議室では、消費されなかった現実が積み重なっていた。

「――今回の件で、犯人は警察内部に明確な敵意を示したと考えられる」

 ホワイトボードの前に立つ管理官が、淡々と述べる。

「よって、本日より捜査本部は体制を拡大。内部調査課と合同での情報共有を開始する」

 ざわめきが走った。

 内部調査課。

 警察官にとって、最も距離を置きたい部署の一つだ。

 小坂凌は、腕を組んだまま、その空気を肌で感じていた。

 犯人は、ここまで計算している。

 警察が疑心暗鬼になることも含めて。

「小坂」

 会議後、管理官に呼び止められる。

「君と朝霧は、引き続き主担当だ。ただし――」

「内部への配慮、ですね」

 小坂は先回りして言った。

「そうだ。独断は許されない。特に朝霧には、よく言っておけ」

 小坂は、短く頷いた。

 廊下に出ると、朝霧が待っていた。

「……やっぱり、雰囲気悪いですね」

「ああ。犯人の狙い通りだ」

「それでも、やることは変わりませんよね」

 小坂は、一瞬だけ彼女を見た。

「変わらない。だが、“疑われる側”になる覚悟は必要だ」

 朝霧は、言葉を失った。

 ◇

 犯人の“正義”は、まだ見えない。

 だが――

 見えないからこそ、危険だ。

 小坂は、静かに言った。

「調べる。徹底的に」

 被害者の人生を。

 犯人の視線を。

 その先にしか、答えはない。

 ◇

 会議室を出た後、朝霧は黙り込んでいた。

「……納得できません」

「もちろんだ」

 小坂は即答した。

「だが、犯人は“理由”をそこに見出す」

「それが、許せないんです」

 朝霧の声は、強くなった。

「だったら、警察がやるべきことは一つじゃないですか。ちゃんと、裁くことです」

 小坂は、その言葉を否定しなかった。

 だが、現実は単純ではない。

「裁けないこともある」

「それは、警察の都合です」

「組織の限界だ」

 朝霧は、足を止めた。

「限界だからって、見逃していいんですか」

 その視線は、真っ直ぐだった。

 以前に見せていた“空回り”とは違う。これは、核心に触れる問いだ。

 小坂は、ゆっくりと息を吐いた。

「……俺は、七年前にそれを見逃した」

 朝霧が、はっとする。

「それで、人が死んだ」

 事実だけを、淡々と告げる。

「だから、犯人のやり方は否定する。だが、問いそのものからは、逃げない」

 朝霧は、しばらく黙っていた。

 やがて、小さく言う。

「私、間違ってますか」

「いや」

 小坂は、首を横に振った。

「正しい。ただし――正しさは、人を壊すことがある」

 朝霧は、その言葉を噛みしめるように、目を伏せた。

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冥界焔つむぎ

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