1節 正義の輪郭(終)の表紙画像

1節 正義の輪郭(終)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/17 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 998文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第2章 捜査と疑念】

### 【1節 正義の輪郭(終)】

 朝霧は歩きながら言った。

「それでも……殺される理由なんて、やっぱりありません」

「ない」

 小坂は即答した。

「だが、犯人の法則に当てはめれば、彼らは“対象”になる」

「それが……悔しい」

 朝霧は、唇を噛みしめた。

「警察がちゃんと動いていれば、あの人たちは――」

「朝霧」

 小坂は、彼女を呼び止めた。

「もし、警察が完璧だったら、この犯人は生まれていない」

 朝霧は、言葉を失う。

「それでも、俺たちは警察だ」

 小坂の声は、低く、しかし揺るがなかった。

「完璧じゃなくても、やるしかない」

 その瞬間、朝霧の中で、何かが音を立ててずれた。

「……小坂さんは」

「ん?」

「犯人の言ってること、少しだけ、分かるんじゃないですか」

 それは、疑問ではなく、確認だった。

 小坂は、立ち止まった。

「分かる、部分はある」

 正直な答えだった。

「だが、理解することと、許すことは違う」

 朝霧は、視線を逸らした。

「私は……分かりたくもない」

 それが、彼女の正義だった。

 ◇

 その夜。

 小坂は、一人、資料室に残っていた。

 七年前の事件。

 連鎖自殺とされた五人。

 残された、あの言葉。

『不要な部品を取り除く』

 そして、今回の犯行声明。

『裁くべき者は、裁かれなかった』

 言葉は違う。

 だが、思想は、同じだ。

 犯人は、進化している。

 過去の失敗を踏まえ、より洗練された“正義”へ。

 小坂は、確信した。

 ――この事件は、俺個人の問題だ。

 そのとき、携帯が震えた。

 “調整者”。

「……これ以上殺人を続けるのはやめろ」

 一瞬の沈黙。

 そして、低い声。

『まだ、迷っているようだな』

 心臓が、跳ねた。

「どういうことだ?」

『答えは、すでに見ているはずだ』

 声は、感情を感じさせなかった。

『彼らは、間違っていたか?』

 小坂は、即答しなかった。

 沈黙こそが、答えだった。

『次は、もっと分かりやすくしよう』

 通話は、一方的に切れた。

 小坂は、携帯を握り締めた。

 犯人は、こちらの“迷い”を知っている。

 いや――利用している。

 その頃、別の場所で。

 朝霧は、一人、夜道を歩いていた。

 街灯の下で立ち止まり、空を見上げる。

「……私は、正しいよね」

 答える者はいない。

 だが、その問いは、確かに誰かに届いていた。

 正義の輪郭は、まだ曖昧だ。

 だが、曖昧だからこそ、人はそれにすがる。

 犯人も。

 刑事も。

---

ジャンル・タグ

, , , , , , ,

作品統計

👁️ 閲覧数: 1 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

冥界焔つむぎ

冥界焔つむぎ

いつも応援ありがとうございます! 支援は随時受け付けています♪

👥 フォロワー: 6人

作者ページを見る