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3節 選別される正義(終)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/23 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,194文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第2章 捜査と疑念】

### 【3節 選別される正義(終)】

 深夜零時を回った捜査一課のフロアは、蛍光灯の白い光だけが静かに机を照らしていた。誰もいないはずの空間に、キーボードを叩く音だけが響く。

 小坂凌は、過去十年分の内部資料を洗い直していた。

 不祥事として公表されなかった案件。

 被害届が受理されなかった相談。

 内部で「指導」「注意」で終わった処分。

 **裁かれなかったもの**が、そこには積み上がっている。

 ——犯人は、これを“正義の欠落”と呼んでいる。

「……歪んでる」

 呟きながらも、小坂は目を逸らせなかった。

 彼自身も知っている。組織の論理。

 全てを明るみに出せば、守れなくなるものがあることも。

 その時、背後で足音がした。

「先輩……まだ、やってたんですか」

 朝霧だった。コートを手に、帰るところだったらしい。

 だが、小坂の机に広げられた資料を見て、足を止めた。

「それ、内部案件……」

「見るな」

 反射的に言ったが、もう遅い。

 朝霧の視線は、紙の文字を追っている。

「……こんなの、知らなかった」

 声が震えていた。

「これ、本当に全部……?」

「ああ」

 短く答えた。

「だからといって、犯人のやってることが正当化されるわけじゃない」

 朝霧は、小坂を見た。

「でも……だから生まれた怪物なんですよね」

 否定できなかった。

 携帯が震える。“調整者”。

 小坂は、ためらわずに出た。

「何の用だ」

『あなたは、調べている』

 犯人の声は、まるで確信しているようだった。

『それは、良い兆候だ。目を逸らさない人間は、嫌いじゃない』

「何が目的だ」

『目的? 修正だ』

 淡々とした口調。

『あなたたちは、線を引き間違えた。

 私は、それを引き直しているだけ』

 朝霧が息を呑む。

「修正なんて、誰にも頼んでない」

『頼まれなければ、やってはいけない?

 救いは、いつも“勝手”にやってくるものだ』

 小坂は、机に手をついた。

「……次は誰だ」

 一瞬の沈黙。

『答えを急ぐのは、あなたの悪い癖だ』

 微かな笑みを含んだ声。

『ヒントをあげよう。

 “守る側”であることに、最も胡坐をかいている人間だ』

 通話は切れた。

 静寂が戻る。

 朝霧が、かすれた声で言った。

「……上、ですか」

「分からない」

 だが、否定もしなかった。

 小坂は窓の外を見た。

 東京の夜は、今日も何事もなかったかのように続いている。

「朝霧」

「はい」

「正義を信じるな」

 彼女は目を見開いた。

「信じるのは、“人”だ」

 朝霧は、ゆっくりと頷いた。

 迷いは消えていない。だが、覚悟が芽生え始めていた。

 この事件は、

 犯人を捕まえれば終わるものではない。

 **正義そのものを、問い直す物語**だ。

 小坂凌は理解していた。

 犯人は、自分を追い詰めているのではない。

 ——選んでいる。

 次に、誰が裁かれるのか。

 そして、**誰がそれを止めるのか**。

 答えは、まだ闇の中だった。

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冥界焔つむぎ

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