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4節 越えてはならない線

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/24 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,163文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第2章 捜査と疑念】

### 【4節 越えてはならない線】

 午後二時三十分。

 霞が関の空は、不自然なほど澄んでいた。

 警視庁本部の会議室では、捜査幹部が一堂に会していた。空調の低い唸り音と、資料をめくる乾いた音だけが響く。小坂凌は、長机の端に座り、正面のホワイトボードを見つめていた。

「――以上が、現在までの被害者一覧だ」

 捜査一課長の声は冷静だったが、目の奥に焦りが滲んでいる。

「共通点は公表しない。

 今回も、“無差別型連続殺人”で統一する」

 誰も反論しなかった。

 正確には、反論できなかった。

「内部関係者が含まれている以上、下手に触れれば組織が揺らぐ。

 マスコミ対応は広報に一任する」

 小坂は、静かに手を挙げた。

「一つ、確認させてください」

 課長の視線が向く。

「もし、次に狙われる人物が事前に特定できた場合でも、

 その人物の“過去”を理由に、警護や公開を控える、

 そういう判断もあり得るということですか」

 空気が、一瞬で張り詰めた。

「小坂……」

 課長は、言葉を選んだ。

「個々のケースによる。

 警察は、感情で動く組織じゃない」

 それは、肯定だった。

 会議が終わり、廊下に出た瞬間、朝霧が小坂の腕を掴んだ。

「先輩、聞きましたよね、今の」

 声が低く、震えている。

「……ああ」

「つまり、次の被害者が“問題のある内部の人間”だったら、

 守らないってことですよね」

「公式には、そうは言わない」

「でも、実際は」

 朝霧の目が、真っ直ぐに小坂を射抜く。

「……実際は、線を引く」

 小坂は、嘘をつかなかった。

 朝霧は、一瞬だけ目を伏せ、次の瞬間、決意したように顔を上げた。

「私は、それに従えません」

 即答だった。

「朝霧……」

「守るべき人を、過去で選別するなんて、警察じゃない」

 その言葉は、正論だった。

 だが同時に、**危険な宣言**でもあった。

「……単独で動くつもりか」

 朝霧は、迷いなく頷いた。

「被害者候補、洗い直します。

 内部案件も、全部。

 犯人より先に、私が行きます」

 小坂は、彼女の肩を掴んだ。

「それは、越えてはいけない線だ」

「じゃあ、見殺しにするんですか!」

 朝霧の声が、廊下に響いた。

 周囲の職員が、思わず振り返る。

「……先輩は、どっちなんですか」

 問い。

 選択。

 その瞬間、小坂の携帯が震えた。

 “調整者”。

 嫌な予感が、確信に変わる。

 通話を取ると、あの声がした。

『会議は、終わりましたか』

 犯人は、すべてを知っているようだった。

『あなたたちは、決めた。

 守る線と、切り捨てる線を』

 小坂は、低く言った。

「……まだだ」

『いいえ。

 **もう越えています**』

 通話は切れた。

 朝霧が、青ざめた顔で小坂を見る。

「……来ます」

「ああ」

 小坂は、短く答えた。

 越えてはならない線は、

 **すでに踏み越えられつつあった。**

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冥界焔つむぎ

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