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4節 越えてはならない線(続)

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/25 📚 シリーズ: 共感性知能アプリNestTalk(ネストーク) 📝 1,178文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ある刑事の叙事詩 《夜の王国 ~選択と調整の病理~》

本文

## 【第2章 捜査と疑念】

### 【4節 越えてはならない線(続)】

 警視庁本部を出た瞬間、朝霧は早足になった。

 小坂が追いついたときには、すでに彼女の表情は“決めてしまった人間”のそれに変わっている。

「朝霧、待て」

「時間がないんです」

 振り返らずに言い切る声。

 彼女は、内部データベースにアクセスできる立場を、躊躇なく使おうとしていた。

「被害者候補、三人に絞れます」

「……どういう基準だ」

「内部処分止まりになった案件。

 被害届があったのに、組織判断で握り潰されたもの。

 その中で、“現在も現役で、表に出る可能性がある人”」

 言葉を重ねるごとに、朝霧の呼吸が速くなる。

 正義感ではなく、**焦燥**が彼女を動かしている。

「そのリストを、上は把握してるのか」

「してません。だから——」

「だから、独断で守る?」

 小坂は足を止めた。

「それは、“警察官が誰を守るかを勝手に決める”行為だ」

 朝霧も、立ち止まった。

 振り返った目には、怒りと悲しみが混ざっている。

「じゃあ、見殺しにするのが正解なんですか」

「……正解なんて、ない」

「でも、私は選びます」

 その言葉が、決定打だった。

 その直後だった。

 小坂の携帯が、連続して震える。

 ——緊急。

 ——捜査一課。

『小坂、至急だ』

 上司の声が、明らかに切迫している。

『内部告発が出た。

 匿名で、マスコミに資料が送られている』

 小坂の背中を、冷たいものが走った。

「内容は」

『例の未処分案件の一部だ。

 しかも……送信元のIPが』

 言葉が、一瞬詰まる。

『——朝霧の端末だ』

 空気が、凍りついた。

「……何を、送った」

 小坂は、朝霧を見た。

 彼女は、唇を噛みしめ、視線を逸らした。

「……全部じゃありません。

 でも、隠されてた事実を、少しだけ」

「少し、だと?」

「公表しなきゃ、誰も止まらない!」

 叫ぶような声。

「警察が守らないなら、世論に守らせるしかない!」

 小坂は、何も言えなかった。

 正論だ。

 だが——

 犯人の言葉が、脳裏をよぎる。

 ——“守る側”であることに、最も胡坐をかいている人間。

 これは、**見せしめ**だ。

 朝霧の行動は、正義ではある。

 だが同時に、犯人にとっては——

「……朝霧」

 小坂は、低く言った。

「今、君は

 **犯人が一番望んでいる場所に立っている**」

 彼女の瞳が揺れる。

 その瞬間、庁内放送が鳴り響いた。

《緊急連絡。

 千代田区内で、重傷者発生。

 身元は——》

 一瞬の間。

《——警察関係者。

 氏名、**川瀬 正樹**》

 朝霧の顔から、血の気が引いた。

「……私が、選んだ人だ」

 声が、かすれる。

 小坂は、即座に走り出した。

「行くぞ」

「でも……!」

「**まだ、死んでない**」

 それだけを告げて。

 犯人は、答え合わせを始めている。

 **越えてはならない線を、誰が引き直すのか**。

 それを、血で問うつもりだ。

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冥界焔つむぎ

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