第7話 邂逅

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/5 📚 シリーズ: あの子が野球選手のお嫁さんになりたいって言ったから 📝 1,942文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

あの子が野球選手のお嫁さんになりたいって言ったから - 第7話 邂逅

本文

「じゃ、先行ってるね」

「行ってらっしゃーい!」

翌朝。

諸々の準備を終えて出発時刻。

と言っても、私はミーティングやウォームアップがあるのですぐに練習が始まる訳じゃない。

気温も高いから、華恋は丁度練習が始まる頃に練習場に行く事になっている。

※※※※※

「おはようございます!」

「おー、おはようさん」

「おはようございます、飛鳥ちゃん」

家からこの場所へは比較的近いけど、朝に華恋とまったりし過ぎてしまったのか既に何人かのチームメイトが集まっていた。

私もすぐに着替えて監督を待つ。

「おはよう! 今日もよろしくな!」

「「おはようございますっ!」」

元気に挨拶してきたのはブルーローズの監督……元NPB選手の高波さん。

豪快な人だけど、女性選手相手にも適切な距離を保ちつつ熱心に指導してくれる人だ。

現役時代は怪我に苦しんだから、ウォームアップには特に力を入れている人でもある。

そんな高波監督のミーティングと入念なウォームアップを終えていよいよ練習。

練習道具を持って屋外練習場へ向かう。

「あ、あの……!」

「ん?」

その道中に声を掛けられた。

振り返るとポニーテールの女の子が緊張の面持ちで佇んでいた。

随分若いな……高校生かな?

「何か?」

「あ、いえ、その……ブルーローズの如月 飛鳥選手ですよね!?」

「はい、そうですけど……」

「ファンです! 握手してください……っ!」

「……え?」

その為にここまで?

まさか女子プロ野球でこんな熱心なファンに出くわすとは思ってもいなかった。

華恋はどっちかって言うと私を応援してくれてる感じだし。

いや、あの子が野球全般好きなのも確かなんだけど。

「右手で大丈夫ですか?」

「は、はいっ!!」

右手を差し出すとその子は両手で、だけどスポーツ選手相手だからかとても優しく握り返してきた。

「サインも要る?」

「良いんですか!?」

「うん。監督からはファンは大事にしろって言われてるしね」

「で、ではこのグローブに……!」

「グローブ……」

差し出されたグローブは一目で分かる程使い込まれていた。

この子も日焼けしてるし、身体も引き締まっているから野球……いや、このグローブの形からしてソフトボールでもやっているんだろう。

「良いグローブだね。本当にコレに書いて良いの?」

「はい。もう使わないので」

「使わないって……ソフトボール辞めるの?」

「はい。私、本当は野球をしたかったんです。

小学生の頃は少年野球チームに入ってましたし。ただ、中学には女子野球部なんて無くて……」

「あぁ、分かるよ。私もソフトボールに転向しようか迷っていた時期があるから。

実際、野球に進んだ私は中学高校と試合に出られなかったしね」

「そうなんです。ですがこの前偶然女子プロ野球の存在を知って……それで見てみたら如月選手が物凄くかっこよくて……!

だから私、高校に入ったらまた野球に挑戦しようと思ってるんです!

そこでも女子野球部なんて無いんですけど……練習に参加させてもらって、レベルアップして、プロになります!!」

「……そっか。うん、私のプレーを見てそう思ってくれるのは素直に嬉しいよ。

ねぇ、君の名前を教えてくれるかな?」

「三浦……三浦 和香って言います」

「三浦 和香……うん、覚えたよ。三浦さんの事は応援してるけど、プロになったらライバルだね」

「……! はい!!」

今度は選手とファンとしてではなく、再開の誓いとして三浦さんと固い握手を交わす。

「お時間を取らせてすみませんでした! 失礼しますっ!」

「うん。またね」

私はペコリとお辞儀をして駆け足で去る三浦さんを見送って、自然と笑みが溢れる。

「あーすーかーちゃーん?」

「わっ!? か、華恋……?」

いつの間にか隣に居た華恋に驚いて声を上げてしまう。

別に悪い事はしてないのに何故だか気まずい気分。

「ん!」

「え?」

「んっ!」

華恋はブラウスの裾をスカートから引っ張り出してピンと張った。

「ここにサインしろって?」

「うん」

「でもその服結構高い奴じゃ……」

「ん〜!」

「わ、分かったから……」

これは……ヤキモチなのかな?

別に言ってくれたらサインぐらい幾らでもするのに。

「はい、書けたよ」

「ありがとー!」

ふふん! と満足気な華恋。

機嫌を直してくれたのなら何より。

「ねぇ、飛鳥ちゃん」

「うん?」

「盗み聞きになっちゃったけど……和香ちゃん、飛鳥ちゃんを見て野球に挑戦しようと思ってくれたんだね」

「うん」

「嬉しいね」

「……うん。凄く嬉しいよ」

思えば、今の出来事が一番“プロ”になった意味を実感出来た出来事かもしれない。

正直女子プロ野球の未来は明るいとは言えないけれど、私達の頑張りで三浦さんみたいにプロを目指してくれる人が居る事を知った。

華恋に私を見て貰いたい、ただそれだけの思いでこの道に進んだけど……うん。

「もっと頑張ろうって思えるよ」

ジャンル・タグ

, , , , , , ,

作品統計

👁️ 閲覧数: 0 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

👥 フォロワー: 8人

作者ページを見る