※ 第9話 過ちと真実
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
あの子が野球選手のお嫁さんになりたいって言ったから - ※ 第9話 過ちと真実
本文
「あ、あぁ……あああああああぁ……っ!
ごめんなさいっ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……っ!!」
「飛鳥ちゃん、大丈夫だからっ!」
「ぅあ……ぐぅ、ごめんなさいごめんなさいごめんなさい……」
「良いから、ね? 本当に大丈夫だから」
あぁ、駄目だ。
許されないのに、許されたら駄目なのに。
華恋は優しいからこんな私を許してくれる。許してしまう。
それじゃあ駄目だ。
償わなきゃ……償わなきゃ償わなきゃ償わなきゃ……っ
私が持ってる物は全部売ろう。
野球道具と内臓を売って、後は限界まで働いてその全てを華恋に渡して消えよう。
ごめん、華恋。
きっと貴女はそれで喜んだりしない。
それを分かっていながら、私は世界一醜い事をする。
「飛鳥ちゃん! 駄目!!」
私がそう決意して、すぐに手首を掴まれた。
「……どうしたの?」
「飛鳥ちゃん、良くない事考えてる」
「そんな事は……」
「私は本当に大丈夫だから」
「……っ、そんな訳、ないでしょ! 私は腕力で押さえ付けて、抵抗出来ない華恋を無理矢理……!
思い出したんだ。私は華恋の身体を弄って……それで、華恋の初めてを……っ!」
「だから! それを踏まえて大丈夫だって言ってるのっ!!」
「……え?」
「何度もそんな事言わせないでよ、もう……!」
華恋は恥ずかしそうに顔を赤らめて、ふわふわの髪を持ち上げて顔を隠した。
「な、何を……私の為に自分に嘘を吐かなくて良いんだよ?」
「〜〜〜! もうっ!」
「か、華恋……?」
華恋は少し怒った表情でぷちぷちとワイシャツのボタンを外していって……
「キスマーク……?」
「うん。飛鳥ちゃん、こんなにいっぱい付けてくれたんだよ?
本当に嫌だったらこんなになるまで大人しくしてないよ」
「私だったら別に華恋が嫌がっても無理矢理押さえ付ければ幾らでも出来るよ……」
「じゃあ、コレは?」
「……?」
華恋が指を差した先は……私。
「飛鳥ちゃんのお腹に付いてるでしょ?」
「え、あ、コレ……?」
「うん。飛鳥ちゃんの腹筋セクシーだなって思って……私は肺活量の問題で1個が限界だったけど」
「ひゃぁぁ……っ」
華恋にお腹のキスマークを撫でられて情けない声を上げてしまう。
だって、こんな所を人に触られるなんて……ましてや華恋に。
「あと、これ……」
「私の背中……?」
華恋がスマホの画面を見せてきた。
そこに写っていたのは横向きで寝る私の背中で。
そしてその背中には、肩甲骨の辺りから斜め下に下るような引っ掻き傷が刻まれていた。
「私ね、飛鳥ちゃんにしがみ付いてたの。
でも、その、ね? 一番気持ち良いって瞬間に爪を立て、ちゃって……」
言いながら徐々にトーンダウンしていって、それに比例するように益々顔を赤らめる華恋。
「飛鳥ちゃんは私を抑え込んだ記憶しか無いかもだけど……それだったらこんな風に飛鳥ちゃんの背中に爪痕なんて残らないでしょ?
だから……私も受け入れてたし、ちゃんとに、うん……気持ち良かったんだよ?」
「……華恋っ!」
「ん……」
ホッとしたような、それでも申し訳ないような。
色んな感情がごちゃごちゃになって。
それでも無性に抱き締めたくなって。
だから、そうした。
痛くないように、でも、華恋が私の腕の中に居るって実感したくて……少しだけ力を込めて。
「本当に……本当に私は華恋を傷付けた訳じゃないんだね?」
「うん。好きな人と触れ合って嫌な訳無いよ」
「私の好きと華恋の好きは違うよ」
「どうしてそう思うの?」
「だって……ずっと男の野球選手の誰々がかっこいい! ってずっと言ってたし……」
「嫉妬してたんだ? 可愛いねぇ」
「うぐ……っ」
「ふふ、そりゃあ野球選手は皆かっこいいよ。でもね、一番かっこいいのは飛鳥ちゃんだよ?
ずっとずっと……小学生の頃から私にとっての一番は飛鳥ちゃんだったんだから」
「私より凄い人なんて沢山居たのに……」
「でも、私の為に野球をやってくれてたのは飛鳥ちゃんだけだった。
中学でも高校でも……何なら高校を卒業した後だって。
ずっと、私の為に野球を続けてくれた。
惚れる理由ってそれだけじゃ足りないかな?」
「いや……少なくとも一目惚れの私よりはしっかりした理由だと思う」
「あはは、一目惚れだったんだ?」
「うん。可愛かったから」
「嬉しいっ」
華恋がぎゅっと抱き返してきた。
私は裸で、華恋はシャツのボタンが外れてて。
お互いの素肌がより強く触れ合って、じんわりと熱が広がっていく。
「ね、飛鳥ちゃん」
「なに?」
「告白、聞きたいな」
「今?」
「うん。区切りとスタートの為に、ね?」
「……分かった」
華恋の肩を掴んで、お互いに見つめ合える距離まで離す。
事を起こしてしまった後だけど。
全裸と半裸でムードなんて何も無いけど。
それでも……
「私は園崎 華恋が好きです」
「……はい」
「私の身も心も、野球人生も全て貴女に捧げます。
私の……恋人になってくれませんか?」
「はいっ!」
華恋は私の頬に手を添えて、背伸びをして……ちゅっ、と可愛らしい音を立てて私の唇を啄んだ。
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