第12話 オフコラボ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
200cmのくーちゃんと135cmのしーちゃん、配信者デビュー! - 第12話 オフコラボ
本文
「こ、此処が玄関ですっ!」
シロクロのお宅訪問の撮影。
小さな身体を目いっぱい使って紹介する白音に黒羽は目を細めていた。
シロクロ家訪問動画を撮るに辺り、しーちゃんがメインになるべきよ! と黒羽が主張したのだ。
「此処がリビングですっ」
「ふかふかマットが敷かれてますね〜
シロさんへの配慮っすか? 愛されてるっすねぇ」
「えへへ……♪ 次はー……」
「あ、ちょっと良いっすか?」
「はい?」
「クロさん、シロさん抱っこ出来ません?
流石に2人映したいんですけど画角に収まらなくて……」
流石に200cmの黒羽と135cmの白音では身長差がありすぎる。
白音に合わせると黒羽の顔が映らず、かと言って黒羽に合わせると「しーちゃんを映しなさい」とお叱りを受けるのは必至だ。
「仕方ないわね。しーちゃん、おいで」
「うんっ!」
黒羽が手を広げれば白音は嬉しそうに飛びつく。
そして黒羽の腕の中にすっぽりと収まり、そのまま抱っこされて家の中を見て回った。
「此処はくーちゃんのお仕事部屋です! 此処で株とか色々やってるみたいです!
壁の本棚はシロも読み放題です!」
「うーん、微笑ましい」
舌足らずだが一生懸命に喋る白音にあかみこの頬は弛み、その背後の青藍も無言で身悶えている。
その後も各部屋を紹介していき、お宅訪問動画の撮影は終了。次の企画に移る。
「クロの一撃を体験してみよーう! パチパチパチー!」
「いえーい!」
ヘッドギアとクッションを装備したあかみこと、その隣に立つ青藍が強引にテンションを盛り上げている。
次は背が高く、武術を習得している黒羽の一撃を体験しよう、という企画。
威力を強調させる為に背後から青藍に支えられながら2人がかりで迎え撃つ算段らしい。
「怪我しても知らないわよ?」
「と、撮れ高の為なら骨の一本や二本……!」
「ボクは怪我したくないです……」
「いやまぁ、二人なら流石にクロさんの体重も越えてるしきっと平気、な筈っす……!
シロさんカメラ大丈夫っすかー?」
「は、はいっ」
あかみこの呼び掛けにカメラを構えた白音はしっかりと頷き返し、そして黒羽は「始めるわよ」と頷いた。
「いや身体の揺らし方プロじゃん……」
青藍に背中を支えられながらあかみこは生唾を呑み込み……
「しっ!」
「うわっ!?」
次の瞬間、黒羽が右腕がクッションに叩き込まれ……あかみこは青藍ごと後方に吹き飛ばされた。
「マジっすか……あ、撮れてました?」
「た、たぶん……」
「確認しますねー……お、バッチリっす! グッジョブ!」
「良かったぁ……」
「それにしても、速いし長いし強いしで……クロさんプロのリングでもやれるんじゃないっすか?」
「興味無いわ」
「ほぉん……まぁ、それはともかく。
これならスポーツ系の動画もバズるかも!
今度みんなでどっか行きましょうよ」
「しーちゃんが楽しめる所じゃないと駄目」
「帰りにエイモンセンター行きましょ」
「エイモンセンター……!」
「しーちゃん行きたいの?」
「え、あ、興味はある、かな?」
「だったら言ってくれれば何時でも連れていってあげるのに」
「子供っぽいかなって……」
「いやいや、エイモンも長いですからね。大人のファンも大勢居ますし全然変じゃないっすよ! かくいうウチも好きですし」
「そ、そうですよねっ……わっ」
小さな拳をブンブンと振って嬉しさを表す白音を、黒羽が唐突に抱き上げる。
「……しーちゃんに気安くしないで」
「う、ウッス……! すんません……!」
あかみこは踏み込み過ぎたかー、と
言いたげな顔で白音からカメラを受け取った。
「まま、お次はお楽しみのあの企画っすから!」
◇◇◇◇◇
「右手、赤」
「はい」
「左足、黄色」
「は、はいぃ……!」
パーティーゲームの定番、ツイスター。
4色の円が複数描かれたシートに、指示された部位を乗せていく遊びだ。
青藍がルーレット、あかみこがカメラ兼実況を担当している。
「しっかしクロさんパねぇっすわ。
手足が長いのもそうだけど柔軟性がヤバいヤバい。
長身美女が身体をクネらせる画が撮れれはな……ぐらいに思ってたのにもはや気持ち悪いぐらいっすよ」
「喧嘩なら買うわよ」
「滅相も無い! ほらほら、次はシロさんの番っすよ!」
「え、えっと……こ、これで……!」
白音は指示された通りに右足を青に乗せる。
「んきゅきゅ……!」
「しーちゃん……!」
あかみこには腹が立つが、それでも必死に頑張る可愛い白音が見られて黒羽は大満足だった。
白音から手加減しないでとは言われているが、こんなしーちゃんを間近で見られるなら……と思う黒羽であった。
「あぅ……っ!?」
「はいしゅーりょー! クロさんの勝ちー!」
「しーちゃん、大丈夫?」
「だ、大丈夫……」
「良かった……」
「じゃ、次はウチ等っすね。カメラお願いします」
次はあかみこと青藍がプレイヤー。
白音が指示役で黒羽がカメラ。
「緑、右手です」
「はいっすー」
「黄色、右足です」
「はい」
こちらは先程と違って実力が拮抗している。
しかしそれでも運の差か、徐々に青藍は苦しい体勢になりつつある。
「青、左手です」
「あかみこさん、胸邪魔です……!」
「そうは言われても引っ込められるもんでもないっすよ」
「うぐぐ……!」
青藍は青い円に向かって懸命に手を伸ばすが、その身体は更に傾いていく。
「もう少し……あっ!?」
「うわっ!?」
しかし、あと僅かという所で青藍がバランスを崩す。
あかみこに覆い被さる様に倒れ込んだ。
「……っ、あ、す、すみません……っ!」
青藍が顔を赤くし、口元を抑えて慌てて飛び退いた。
「い、いやいや! 触れてないからセーフセーフ!」
「で、ですよね……!」
あははー、とわざとらしく笑い合う二人。
(……触れていたけれど)
もっとも、動体視力が常人より優れている黒羽は、二人の唇が触れ合った瞬間をハッキリと目撃していた訳だが。
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