第20話 飛躍
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
200cmのくーちゃんと135cmのしーちゃん、配信者デビュー! - 第20話 飛躍
本文
「そこまでです」
「っ!?」
「やはり犯人は貴方だったんですね……高林さん。
これ以上罪を重ねてはいけません。大人しく自主する事をオススメします」
「うるせぇ! アイツ等が悪いんだ……邪魔するならお前等も殺してやる!!」
大柄な男が白音に向かいナイフを振りかざす。
しかし白音の隣に立つ黒羽がそのナイフを蹴り飛ばし、そのまま男の腹部に足刀を叩き込む。
「ぐふっ!?」と男は腹を押さえながら倒れ込み、黒羽は男の腕を取り関節を極めた。
「ちくしょう! なんでだよ……悪いのはアイツ等なのになんで俺が……ちくしょう!」
「……彼等に非が無いとは言いません。
ですが貴方がした事もまた、許されない事なのです。
どうか、法の裁きを受けて心を入れ替えて……娘さんの墓前にお花を添えてあげてください」
「うっ……うううううぅぅ……」
黒羽に取り押さえられながら男は涙を流していた。
その涙は娘を殺された怒りの物なのか、それとも自分の罪を悔いての事なのか、それは白音にも分からなかった。
「カーット!!」
監督の掛け声と共に周囲の空気が一気に和らいだ。
「はい、OK! クロちゃん、シロちゃん、完璧だったよー!」
監督が満面の笑みで二人に拍手を送った。
あの日、大晦日に開催された超大型格闘技イベント『風神』。
黒羽が女性でありながら男性の元チャンプに勝利するという大番狂わせ。
そしてその後のインタビューと称した白音との惚気話。
それを機にクロス・カラーズの名前はネットを飛び出し日本中に知れ渡る事となった。
それによりメンバーの活動の幅も増えてきた。
企業からの案件は勿論、有名タレントとのコラボやテレビ出演等。
特に白音と黒羽は究極の凸凹コンビとしてバラエティに引っ張りだこだ。
個人で言えば、白音は女優業のオファーが届くようになった。
話題性も去る事ながら、見た目はランドセルが似合う小学生なのに実年齢は成人済みという、使い勝手の良さが買われたようだ。
また演技の経験は少ないが、感情移入が激しく悲しい場面では本気で泣き、怒る場面では本気で憤る体当たりの演技で視聴者からの評判も良かった。
今作のWebドラマではその見た目を活かして、小学生探偵役として主役を張っている。
対して、格闘家として一躍時の人となった黒羽はキッパリと格闘家としての引退を宣言。
元々本業では無いし、自分が殴られている所を見て悲しむしーちゃんを見たくない、と。
また、白音が一人で現場に行けない、怯えるので常に黒羽が付き添う必要がある為配信頻度も減ったが当人は気にしていないようだ。
またこの長身とフィジカルに目を付けられ、黒羽も今作に出演。
頭脳派小学生探偵を支える肉体派助手、という役どころ。
白音に関しては『こうした方が可愛い』やら『しーちゃんにそんな危ない事はさせられない』等口出しが多いが、黒羽本人にNGは無いらしい。
助手が犯人に拉致監禁されるエピソードでは監督がダメ元でお願いしたところ、即答で下着姿での拘束・アクションシーンを了承した。
なおこの回は小学生探偵がアジトに潜入し助手を救出するというエピソードだが……黒羽のセクシーさと、白音の“はじめてのお使い”を思わせるモタモタほんわか潜入アクションシーンとの落差である意味カオス回と話題になった。
他のメンバー……あかみこはゲームの腕前が広く周知され、大会等によく呼ばれるようになった。
持ち前の企画力とコミュ力で着々と人脈を築き、当たり前のように人気ライバーやVTuberとコラボをする立場だ。
クロス・カラーズで一番真っ当にライバーをしている。
青藍は知名度の向上と共に持ち前のハイレベルな歌唱力とダンスが認知され、今や歌ウマライバーとして広く周知されている。
また、人気アイドルグループの絶対的センター、紫苑とはかつて同じ地下アイドルグループで活動していた事。
そこから紫苑は大手にスカウトされ華々しいスター街道を突き進む一方で、青藍は芽が出ずにずっと配信者としてもアーティストとしても底辺を彷徨っていた事。
それでも腐らずに努力し続け、歌やダンスの動画を上げ続け、クロス・カラーズと運命的な出会いの末に人気ライバーの座まで這い上がった……という泥臭く感動的なストーリーも付随しているというオマケ付きだ。
一部界隈では紫苑とのコラボ、または対決を望む声が上がっているとかいないとか。
そんな個々人が忙しくしており、クロス・カラーズとしての活動はめっきりと減って……
「かんぱーい!」
「零したら絞めるわよ」
「か、かんぱーい!」
「可愛いわしーちゃん!」
「お菓子分けますね」
と言った事は無く、時間を見付けてはこうして黒羽・白音宅で集まっている。
クロス・カラーズとしての案件も依然として入ってくる、と言うのもあるが……それぞれがお互いのメンバーに居心地の良さを感じているからだ。
あの黒羽ですら、あかみこと青藍に情が湧いている。
あかみこも青藍も良い家に引っ越しこそしたが、今日みたいに会議も兼ねて寝泊まりする事も珍しくない。
「んで、だ。みんな、仕事の話だ」
おかきをバリバリと噛み砕きながら、あかみこがタブレットをテーブルに置いた。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。