第19話 神々の遊び
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ガールズ・バント・フライ 〜打ち上げてんじゃねーよバカヤロー! と怒られるバント下手な野球少女。異世界転移し『バットに触れた物を少し浮かせる』スキルで空から落ちて来るのじゃロリ王女を助け従者になる〜 - 第19話 神々の遊び
本文
『伊織、伊織よ……私です。神です』
「神様? 久しぶりな気がしますが……此処は何処ですか?」
『貴女の夢の中です。お話がしたく、就寝中の伊織の夢に入らせて頂きまました』
「はぁ……話と言うのは?」
『まずは私のアヘ顔ダブルピースをご覧ください』
「え、いいです……うわ、勝手に頭に浮かんでくる!? ちょ、止めてください!」
『伊織にお礼を言いたいのです』
「まずはこの画を消してください……」
『仕方ないですねぇ……神のアヘ顔ダブルピースなど滅多に見られるものでは無いというのに。
これで大丈夫でしょうか? お話を続けても?』
「えぇ……どうぞ」
『ありがとうございます。伊織のちょっとした活躍のおかげで私の神様ランキングが絶妙な位置に上がり、推し神であるクルメリナたんに大層激しく虐めて頂けたのですよ』
「えぇ、情報量が多い……クルメリナさんと言うのは?」
『私と同じドマイナー神です。由来すら分からない程の』
「神様ランキングと言うのは?」
『この世界の神々が契約した勇者の活躍を競うランキングです。要は神の娯楽ですね。
ゼウスとかの上位神ともなると気楽な雑談の種に過ぎませんが、中位以下の神はもう順位でマウント合戦です。
クルメリナたんも神格が低く契約勇者に大したスキルを付与出来ず、それ故に低層を彷徨っています。
なので更に低い順位の私を虐めてくれるのです』
「はぁ……?」
『ですが伊織のちょっとした活躍によって私の順位がクルメリナたんに肉薄しまして。
それに焦ったクルメリナたんが私を分からせる為に普段より一層激しく責めてくれて……もう私、幸せで昇天しそうでした。
なので伊織には本当に感謝しているのです。ありがとうございます』
「……エステル様が言ってたんですけど」
『はい?』
「普通神様はこの世界に来たばかりの勇者に良く助言をするそうです。
直接手出しは出来ないので、世界の常識とかスキルの詳細を説明するのだと。
だけど神様は早々に私から離れて行きました。
それって、私が活躍しないように……もっと言えば、クルメリナさんより上の順位に上がらないようにしてたって事ですか?」
『ご名答。察しが良くて大変結構』
「やっぱり……でも私は加減とか出来ないですよ?
エステル様の為に全力で頑張りますよ?」
『それはそれで構いませんよ。クルメリナたんと一度立場が逆転するのも乙というものです。
寧ろ自分より順位が低い神に責められるというのも新しい扉が開けるかもしれません』
「神様がそれで良いなら良いですけど……」
『えぇ、伊織は思う存分に異世界ライフを楽しんでください。せっかくスキルも成長した訳ですしね』
「スキルの成長……ですか?」
『何か効果が強まった……みたいな感覚はありませんか?』
「そういえば……絶対にバットが届かないと思ってたのに、何故か届いたみたいな結果になった事が……」
『それがスキルの成長です。今回は距離の延長でしょうか?
今後も使い続け、磨いていけば更に成長するかもしれませんね』
「そうだと良いんですが……もうエステル様に傷付いて欲しくないです」
『その想いがあれば大丈夫でしょう。それでは私はこれで。
眠りが浅くなっているとは思いますが、まぁ必要経費でしょう』
「ちょ」
『では、居眠りしないように気を付けてください。それでは』
「んがっ!?」
伊織は目を覚ます。
確かに疲れは抜けきっていない気がするし、二度寝するには微妙な時間だ。
「……嫌な時間に起こすなぁ」
神へ愚痴りつつ、伊織は身体を伸ばしたのだった。
◇◇◇◇◇
「ザフィアとジェラルドに稽古を付けてもらうのじゃ!」
「はい?」
朝食を終え、ミレーヌに口に付いたスープを拭われながらエステルが告げた。
「イオリがこの世界に来てから禄に鍛錬もさせてやれなかったからのぅ。
妾の傷が癒えるまではミレサリスから動けぬし、その期間をイオリの特訓に当てる!」
「それは望むところなのですが……ジェラルド様が引き受けてくださいますかね?
王子様ですし、暇では無いでしょうし……」
「心配するでない、紹介状を書いてやる! ミレーヌ、紙とペンを!」
「はっ」
ミレーヌから紙とペンを受け取り、エステルが紹介状を書く。
異世界の文字ではあるが、神の加護なのか伊織にも読み取る事が出来た。
同時に、エステルの字が曲がりくねって下手な事も。
「ミレーヌ」
「はい」
エステルは仕上げじゃ! とばかりに自身の右手を広げ、ミレーヌは何の躊躇いもなくその小さな手に刷毛でインクを塗りたくる。
「ん〜……!」
そしてその右手を手紙の端に押し付け、自身の手形をしっかり付けてエステルは満足げに頷いた。
「これで完成じゃ! これを持って行くが良い。
今の時間ならジェラルドは広場で練兵している筈じゃ」
「はぁ……」
果たして手形を付ける必要はあったのか。
伊織は疑問に思いつつも、ここは異世界だし、何よりミレーヌさんが普通にしているしなぁ……と。
自分を無理矢理に納得させ、手紙を受け取って部屋を出た。
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