第5話 柚葉、スマホを持つ

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/3 📚 シリーズ: まるふく日和 📝 2,139文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

まるふく日和 - 第5話 柚葉、スマホを持つ

本文

「あとはこのスマホにSIMカードを差し込めば……これで使える」

「ありがと、かー兄」

「取り敢えず電話だけは教えるが、ネットやら何やらは千紘が必要だと思ったら教えてやれ」

「分かった。柚葉もお礼言いな」

「ありがとうございますっ!」

「良い良い。連絡手段は必要だからな。

にしてもやっぱり時間が掛かるな……飯にしようか。

この近くだと……回転寿司が近いか」

「やっぱり私には払わせてくれない?」

「妹分に金払わす男が居るかって。椎名さんは生魚とか平気なのか?」

「どうだろ。っていうか柚葉ってお寿司食べた事ある?」

「ない」

「今まで何食べてたの」

「え、お菓子とかコンビニのおにぎりとか……」

「調理が必要な奴は食べさせて貰えなかったかぁ……

まぁ、回転寿司なら魚以外にもあるか」

「だな。さ、車に乗ってくれ。回転寿司はすぐ混むからな」

「はーい。おいで柚葉」

「ん」

かー兄の車の後部座席に乗り込む。

柚葉は最初は前に乗りたいと言っていたけど、途中から心細くなったのか私の隣に移りたいと言ってきて、スマホショップの用事を終えてからもそれは変わらなかったらしい。

◇◇◇◇◇

「ん……!」

「力入れすぎ。もっと優しく」

「んー……」

柚葉は崩れたお寿司を箸で摘んで口に運ぶ。

まだ箸の扱いは慣れてないけど、練習にはなる、かな?

「食べた」

「はいはい。何食べたい?」

「ハンバーグとツナマヨ!」

「了解。かー兄は?」

「イカ頼む」

「はいはい」

タッチパネルで注文。

柚葉も最初はまぐろを食べてたけど、どうやらハンバーグやツナマヨの方が好きらしい。

後でケーキも頼もうかな。

「にしても、彼女さん大丈夫だった?

実は今日デートの約束してた……とかじゃない」

「それは大丈夫だ。あの日にはもう事情を伝えたし。

あぁ、でも……『まるふく』には行ってみたいって言ってたな」

「連れてくるの?」

「時間があったらな」

「へぇ〜?」

「なんだよ」

「いや、部下や後輩は連れてこないのに……って思って」

「会社から行くには電車乗らんといけないからな。

それに……あんまり賑やかになっても困る」

「馴染みの場所が変わるの嫌? ふふ、私も。

『まるふく』を必要としてくれる人が居るのは嬉しいけど、あんまり多いとあの店じゃ抱えきれないし」

「食べた!」

「早……ちゃんと噛んだ?」

「うん!」

返事は良いんだから。

食べ終えた皿を返却口に入れると、上部のパネルが動き出した。

5枚入れる毎に回されるガチャガチャみたいなものだ。

「お、当たった。はい柚葉」

「おぉー……!」

出て来たのはチープな玩具だったけど……それでも柚葉の目はキラキラと輝いていた。

◇◇◇◇◇

「寝ちゃった」

「スマホショップで何時間も待って疲れたんだろ。腹いっぱいだろうし」

「だねー」

かー兄運転の後部座席。

柚葉は私に寄りかかってぐーすかと眠りに落ちていた。

涎掛かってるけど、まぁ洗えば良いか。

「なぁ、一人食い扶持が増えたけど大丈夫なのか?」

「有り難い事に本業で稼がせて貰ってるから平気だよ」

『まるふく』はあくまであの居場所を守る為に継いだ。

利益度外視で運営してるから常連さんが居ると言ってもそんなに儲からない。

だけど継ぐよりずっと前から続けていたWEBデザイナーの仕事が軌道に乗ったおかげでお金には余裕がある。

「ま、私も柚葉もお金が掛かる趣味がある訳でも無いしね。

強いて言えば……柚葉がベーゴマにハマってるぐらい?」

「まだ続いてんのかよベーゴマブーム」

「茂さん徳さんが元気な内は終わらないんじゃない?」

「だな。もしかしたら椎名さんが後継者になって、あの町のベーゴマブームを牽引するかもな」

「いやぁ……今の柚葉だと想像出来ちゃうのが嫌だー

今は赤ちゃんみたいなもんだから仕方ないにしても、いつまでも子供に混ざらせて遊ばせる訳にもいかないしねぇ。

ちょっとずつでも年齢相応の常識と社会性を身に付けさせて、独り立ちさせないと」

「……なぁ、千紘。俺は椎名さんをそういった……然るべき施設に預ける選択も有りだと思う」

「うん、そうなんだけどね……でも一度手を差し伸べたからには、ね」

「そうか……大丈夫なんだな?」

「うん」

かー兄は私が柚葉に手を出さないか心配なんだろう。

私が同性と付き合ってた時期がある事をかー兄は知ってる……というか話した事があるから。

今の柚葉は危うい。

成人扱いでありながら、子供みたいな情緒で私を親の様に信頼している。

柚葉は可愛い。無邪気に私に懐いている。

私が欲望のままに襲っても従うだろうし……あんな小さな身体ではそもそも禄な抵抗も出来ないんだから。

「大丈夫。柚葉を傷付ける様な事はしないよ」

「お前の事もだよ。昔っから妙に真面目で、余計なもんまで背負い込むからな。

その内絶対良くない事を考えただけで自己嫌悪に陥るぞ。

そりゃ考えないに越した事は無いが、お前と椎名さんは他人なんだ。

お前が同性も恋愛対象になるなら、椎名さんに特別な想いを抱くのは何ら不自然な事じゃない。

そうなった時は、ごちゃごちゃ考えずに周りに相談しろ。吐き出すだけ吐き出せ」

「……うん。ありがとう、かー兄」

かー兄の言ってる事は、きっと当たる。

いずれ私は柚葉に惹かれる様になる。

勿論無理矢理襲ったりなんてしないけど……その時までにしっかりと自分で考えられる様にしておかないと。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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