第6話 似た物同士

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/4 📚 シリーズ: まるふく日和 📝 2,312文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

まるふく日和 - 第6話 似た物同士

本文

「いらっしゃいませっ!」

「可愛いっ⁉︎」

「むぎゅ」

「バイト? あたしの時は駄目って言ってたのにぃ」

「バイトじゃなくて世話してんの。ウチはバイトが必要な程広くもないしお客も来ないからね。

ほら、柚葉がビックリしてる。離してあげな」

「はーい」

柚葉に抱き着いたギャル……空上 雲母(そらかみ きらら)は口を尖らせながら柚葉を開放した。

「この子は空上 雲母。柚葉も自己紹介しな」

「椎名 柚葉ですっ!」

「雲母だよー! 雲母って呼んで! そっちはゆずちーって呼んで良い?」

「良いですっ!」

「あはは、ありがとー。でも敬語とかさん付けは要らないからね? 歳だってそう変わらないし」

「18。雲母より歳上だよ」

「マジぃ? 見えねー! かわいー! 写真撮って良い?」

「柚葉が良いならね」

「良い? ゆずちー」

「良い!」

「あはは。ありがと!」

雲母は柚葉とツーショット。スマホを見て満足したのか、柚葉のほっぺに手を伸ばす。

「あぅあぅ」

「ほら、柚葉のほっぺをモチモチしてないで席に着きな。ご注文は?」

「素うどん!」

「了解。今回は柚葉の仕事無いから話相手になってあげて」

「分かった! ねぇねぇ雲母、雲母も素うどん好きなの? 柚葉も好き!」

「おー、分かってんねぇ! 千紘さんのうどんを味わうには素うどんが一番! それを分かってない奴が多過ぎる!」

「キラ子が素うどん頼んでるのは一番安いからだろ」

「この前余った油揚げオマケで入れられたらめっちゃ喜んどったやんけ」

「ソレはソレ、コレはコレなんですぅ〜! 茂爺も徳爺ももっと若者に優しくしてくれても良いのにさー」

「優しくしてるって。遊んでばっかじゃいかんぞって言ってやってるだろ」

「今怠けたら後で苦労すんのはキラ子やでー?」

「あーあー正論聞きたくなーい! 聞きたいのは優しく甘やかしてくれるママボイスだけでーす!

とゆー訳で千紘さん、お願いします」

「嫌だよ。それと勝手に録音しないの。ほら、素うどん一丁」

「ちぇー。いただきまーす」

パキン、と不器用に割り箸を割りズルズルと勢い良く麺を啜り出す。

「ん~! 最高っ! 毎日食べたぁい!」

「毎日は飽きるよ」

「だよねー」

何この会話。若い子の情緒が分からない。

いや、柚葉は若いっていうか幼いんだけど。

「ゆずちーはさ、今幸せ?」

「うん」

「そっかそっか。なら良かった」

雲母は満足気に頷いてまた一啜り。

聞き出しはしないけど、柚葉の事情をある程度は察しているのかな。

柚葉に向ける視線が、駄菓子屋に集まる子供達に向けるソレと同じだ。

「ふぃ〜、ごちそーさま!」

「お粗末様。学校戻るの?」

「まだ時間あるからもーちょっとゆっくりしてく〜」

「りょーかい。今は人も少ないし、遅刻しない範囲で好きにしな」

「やったー! 千紘さんやっさしー!」

「何時もの事でしょ」

雲母は昼休みになると、時折こっちまで歩いてきて『まるふく』でうどんを食べる。

当初は心配してたけど、今はちゃんとに友達も居るみたいだから安心してる。

かなりのお喋り好きで、普段は何時もいる徳さん茂さん。

時間が合えばかー兄や近所の子供達とお喋りするけど……今日は柚葉をターゲットにしたらしい。

「ゆずちーは何かやりたい事とかある? 今好きな奴とか」

「千紘!」

「おー、あたしも千紘さん好きだよー。他には? 趣味とか好きな食べ物とか」

「ベーゴマ!」

「おー、この町のキッズはベーゴマ好きだねぇ」

「雲母はベーゴマしないの?」

「あたし小さい頃は違うとこ住んでてさ。

ベーゴマは通ってないんよねー」

「じゃあ柚葉が教えてあげるっ!」

「えーマジ? じゃあやろっかなー」

「うんっ!」

お姉さんぶれて嬉しそうだなー柚葉。

雲母もそれを分かってるから合わせてあげてるっぽい。

「あたし、さ。中学ん時にこっちに越して来たんだけど、馴染めなくて……それで虐められて、お弁当捨てられた事があったんだよね」

「いじめ……?」

「そ。それで購買で買うのも怖くなって、泣きながら歩いてたらここら辺まで来ててね。

それで千紘さんに声掛けられたんだ。素うどんなら50円で出せるよって。

もうそれで良いやってなって、50円で素うどん頼んだらさ。

めっちゃ温かくて、美味しくて……そっから『まるふく』の素うどんが大好きになったんだよね」

「ゆ、柚葉もっ! 柚葉もお腹空いて、50円で素うどん食べて……あったかくて優しくて……美味しかった!」

「そっかそっか。じゃああたし等似た物同士じゃん! いぇーい!」

「いえーい?」

雲母は柚葉の両手を上げさせてハイタッチ。

これは……柚葉に同年代の友達が居ない事を察して歩み寄ってくれてるな?

全くもう、カッコつけちゃって。

実際有り難い。柚葉の周りは私みたいな大人か、駄菓子屋に通う子供ぐらいしか居ないから。

同年代も居ないでは無いけど少ない。女子ともなれば尚更だ。

「ゆずちースマホ持ってる? レインとか……」

「れいん?」

「あー……」

雲母がチラッとこっちを見て。

大丈夫、と頷くとホッと安心の表情。

「じゃああたしが設定したげる! 持ってこれる?

レインあればメールとか出来るからさ」

「ぁ、う……柚葉、漢字が良く分からなくて……」

「だったら平仮名でやればいーじゃん。あたしもそうするからさ」

「……う、うんっ」

柚葉は喜色満面にトテトテと裏の住宅部分に向かい、かー兄から貰ったお古のスマホを引っ掴んできた。

落としても良い様に、ゴム性のケースに納められている。

「ん、と。これで良し! メールのやり方教えるねー」

「ん!」

「そーそー、上手上手!」

「んふへへへ……」

嬉しそう。

こうやって少しずつ柚葉の世界が広がっていくのは私も嬉しい。

スマホの楽しみも増えれば、うっかり持ち忘れる事も少なくなる……筈。

徳さん茂さんとも交換してたけど、あの二人なら電話だろうなぁ。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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