生き霊は嘘をつかない

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/1 📚 シリーズ: 時塔心霊探偵事務所 📝 6,794文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

再開発で社を失った路端の稲荷神は、生き延びるために人に化け、心霊探偵になった。 ――祈りも、欲望も、呪いも、まとめて引き受けるために。 これは人に化けた稲荷神と、神を信じない霊能者が怪異と人間の業の後始末をする、現代日本怪異譚。

本文

 その依頼は、あまりに普通だった。

 時塔心霊探偵事務所のドアが開いたのは、午後二時を少し回った頃。

 外は晴れていて、窓から差し込む光が、事務所の床に長い影を落としていた。

「……失礼します」

 そう言って入ってきたのは、二人連れだった。

 前に立っているのは、三十代半ばほどの男。

 細身で、背は高くも低くもない。

 スーツは着ていないが、服装はきちんとしている。

 ただ、落ち着きがない。

 視線が、絶えず泳いでいた。

 その半歩後ろ。

 男よりも年上の女性が、腕を組んで立っている。

 母親だろう、と創は一目で判断した。

 口元が固く結ばれている。

 息子の肩越しに、事務所の中を値踏みするような目。

 ――ああ、これは。

 創は、心の中で一つ、チェックを入れた。

「予約の……」

 男が名乗ろうとして、言葉に詰まる。

 代わりに、後ろの母親が一歩前に出た。

「息子がお電話した件です。浮気調査をお願いしたくて」

 ぴしり、とした声だった。

 迷いがない。

 そして、妙に攻撃的だ。

 創は、デスクに肘をついたまま二人を見る。

「心霊相談じゃないが」

「承知しています」

 母親は即答した。

「ですが、こちらで引き受けていると聞きました。探偵業も」

 朔夜が、そっと視線を上げる。

 創は、少しだけ眉を動かした。

 噂が回るのは早い。

 特に、この街では。

「内容を聞こう」

 そう言って、創はソファを顎で示した。

 二人が腰を下ろす。

 男は、座った瞬間、膝の上で指を絡めた。

 ぎゅ、と。

 必要以上に力が入っている。

「妻が……浮気をしていると思うんです」

 男が、ようやく口を開いた。

 声は低い。

 だが、張り付いたような必死さがある。

「今、別居中で……妊娠しているんですが」

 朔夜の視線が、ほんの一瞬だけ上がった。

 創は、何も言わない。

「検診の日に、男と一緒にいるのを何度か見たと知人から言われて、それで……」

「それで、決定的な証拠が欲しい、と」

 創が、淡々と続きを引き取る。

 男は、驚いたように顔を上げてから、小さく頷いた。

「はい」

「写真でも、動画でも、はっきりしたものがあれば……」

 そこで、母親が口を挟んだ。

「このままじゃ、息子が壊れてしまうんです。お腹の子が本当に息子の子なのかも分からない」

 言葉は冷静だが、目が笑っていない。

 守るつもりなのか、縛るつもりなのか。

 判断がつかない。

 創は、椅子にもたれかかった。

 ――浮気調査。

 心霊探偵事務所に持ち込まれる、人間案件の代表格だ。

 本来なら、断ってもいい。

 だが。

 頭の片隅に、今月のテナント料が浮かぶ。

「……手付金と、奥さんの写真は?」

「用意しています」

 母親が、迷いなくバッグを開いた。

 写真と封筒がテーブルに置かれる。

 封筒の中身は、軽くない。

 創は、それを見てから、視線を男に戻した。

「今日の奥さんの予定は分かるか?」

「……妻は、午後三時半に城南区のA産婦人科です」

 男の声が、少しだけ強くなる。

「最近は、毎回その男と一緒に産婦人科に行っているようだとも聞いていて……」

 創は、短く息を吐いた。

「分かった」

 椅子から立ち上がる。

「今日は下見だ。証拠が出るかどうかは分からん」

 男が、縋るように顔を上げる。

「それでも僕は……」

「いい」

 創は、手を上げて遮った。

「行くだけ行く」

 朔夜が、静かに立ち上がった。

「城南区なら、裏道使った方が早いですね」

「ナビ頼む」

「はい」

 創は上着を手に取りながら言う。

「運転はするから、お前は外、見てろ」

 朔夜は、こくりと頷いた。

 朔夜は免許を持たない。

 視えすぎる人間は、ハンドルを握れない。

 それを、朔夜は身をもって知っている。

 一方で。

 創は鍵を指で回しながら、ちらりと笑った。

「狐は化かすもんだ」

 事務所唯一の車が、エンジン音を立てる。

 この時点ではまだ、これはただのよくある人間の揉め事に見えた。

※※※

 城南区の住宅街は、午後になると妙に落ち着いていた。

 遠くで子どもの声がする。

 洗濯物が風に揺れる音。

 車通りは少なく、空気は穏やかだ。

 その一角に、A産婦人科はあった。

 白い外壁に、ガラス張りの入口。

 「産婦人科」という文字が、控えめに掲げられている。

「……ここですね」

 助手席の朔夜が、小さく言った。

 創は、産婦人科のすぐそばにあるコインパーキングに車を停め、エンジンを切る。

「十五時半って言ってたな」

「はい。定期検診だそうです」

 フロントガラス越しに、入口を見張る。

 人の出入りは、まばらだ。

 妊婦と付き添い。

 看護師が一人、書類を抱えて外へ出て、すぐ戻る。

 ごく普通の光景。

 浮気調査でなければ、気にも留めない場所だ。

「……平和ですね」

 朔夜が、ぼそりと呟いた。

「平和に見えるのが一番厄介だ」

 創は、腕を組んだまま言う。

 十五時二十五分。

 一台の車が、産婦人科の前に止まった。

 ドアが開き、妊婦がゆっくりと降りてくる。

 腹部を庇うような動き。

 年齢は二十代後半。

 表情は、穏やかだ。

 続いて、男が降りた。

 背が高く、清潔感のある服装。

 自然な仕草で、妊婦の腕を支える。

「……あの人、ですね」

 朔夜が、スマートフォンを構えながら言う。

「依頼人の奥さん」

「浮気相手付き、ってやつか」

 創は、淡々と答えた。

 朔夜は、さりげなくシャッターを切る。

 ガラスに映り込まない角度。

 慣れた手つきだ。

 ――その瞬間。

 朔夜の視線が、わずかに揺れた。

 妊婦の背後。

 男が、もう一人いる。

 中年。

 顔色が悪く、目が血走っている。

 足は地面についていない。

 妊婦の背中に、異様なほど近い距離で張り付いている。

「……生き霊ですね」

 朔夜が、低く言った。

「本人か」

「はい。たぶん」

 創は、驚いた様子もなく答える。

「まあ……飛ばしたくもなるか」

 別居中の妻。

 妊娠中。

 そこに、男。

 感情を拗らせれば、生き霊くらい飛ぶ。

 理屈としては、あり得る。

 朔夜は、もう一枚写真を撮った。

 写るのは、妊婦と男だけ。

 生き霊は、当然写らない。

 そのときだった。

「なにしてんの?」

 不意に、声がした。

 朔夜は、視線を動かさずに答える。

「浮気調査です」

「へえ」

 声は、妙に楽しそうだった。

 朔夜の隣。

 いつの間にか、若い男の幽霊が立っている。

 学生風で、暇を持て余した顔。

「さっきの妊婦さん?」

「そうですね」

「後ろに、でっかいの付けてたけど」

「生き霊です」

「うわあ……重そう」

 幽霊は、興味津々といった様子で入口を見た。

「で、誰と浮気してんの?」

「付き添っている男性と。素性はこれから調べます」

「顔かぁ。やっぱ顔なのかなぁ」

 幽霊が、勝手に盛り上がる。

 そこへ。

「違う違う!」

 甲高い声が割り込んだ。

 いつの間にか、年配の女性の幽霊が立っている。

 腕組みをして、首を振っていた。

「あれ、旦那!」

 朔夜が、一瞬だけ視線を向ける。

「……え?」

「優しそうな方が、本物の旦那さん!」

 おばちゃん幽霊は、指をビシッと生き霊の方へ向けた。

「ヤバいのは、あっち! 生き霊飛ばしてる方!」

 幽霊は、顔をしかめる。

「あの男、会社で揉めまくってるよ。早良区のB株式会社! 最近、しょっちゅう怒鳴り込みに行ってる!」

 創が、ゆっくりと息を吐いた。

「……なるほどな」

 ただの浮気調査では、ない。

 そう判断するには、十分だった。

「行くぞ」

 創は、キーを回す。

「次の現場だ」

「……はい」

 朔夜は、最後にもう一度、産婦人科の入口を見た。

 妊婦と男は、仲良く中へ入っていく。

 背後に、生き霊を引き連れたまま。

※※※

 B株式会社のビルは、通りに面した中規模のオフィスビルだった。

 ガラス張りのエントランス。

 外観は整っているが、近づくにつれ、空気が張りつめているのが分かる。

「……あれ、ですね」

 助手席の朔夜が、小さく言った。

 創は車を路肩に停め、エンジンを切る。

 ガラス越しに見えるエントランス内。

 受付前で、男が声を荒げていた。

「だから! 話があるだけだって言ってるだろ!」

 聞き覚えのある声。

 依頼人の男だ。

 その隣には、母親。

 腕を組み、顎を突き出すように立っている。

 社員たちは距離を取り、誰も近づかない。

 だが、誰も慌てていない。

 対応が早い。

 創は、そこで察した。

「……初めてじゃねえな、これ」

 朔夜も頷く。

「社員さん、慣れてます」

 その時点で、すでに異様だった。

 普通、こんな揉め方は想定されていない。

 だが、会社側は想定内の動きだった。

 朔夜の視線が、ふっと宙を滑る。

 ――いる。

 エントランスの周囲。

 街路樹の影。

 自販機の上。

 歩道の縁石。

 幽霊が、やたらと集まっている。

 しかも、どれも落ち着きがない。

「おー、今日も派手だねえ」

「また来たよ、あの人」

「今回は昼間かぁ」

 ひそひそ声。

 だが、どこか弾んでいる。

 完全に、火事場の野次馬だ。

「……常連、ですか」

 朔夜が小声で言う。

「みたいだな」

 創は視線をエントランスに戻す。

 中では、社員の男性が淡々と対応していた。

「何度も申し上げていますが、その方は現在、産休・育休中です。会社にはおりません」

 依頼人の男が、苛立ちを露わにする。

「だから何だ! 籍があるなら、ここにいるだろ! 合わせろ! 直接話がある!」

 母親が、すかさず続ける。

「息子の妻なんです! 家庭の問題なんだから、会社が口出しすることじゃないでしょう!」

 社員の声は、変わらない。

「申し訳ありませんが、社員の安全確保は会社の義務ですので」

 その言葉に、男の顔が歪んだ。

 朔夜は、はっとして視線を外へ向ける。

 ビルから少し離れた場所。

 歩道の脇に、妊婦が立っていた。

 城南区の産婦人科で見た女性だ。

 隣には、あの優しそうな男。

 二人とも、明らかに不安そうにこちらを見ている。

 そして、妊婦の背後。

 あの生き霊がぴったりと張り付き、女性の耳元で執拗に囁くように口を動かしている。

 凄まじい執着が伺えた。

 野次馬幽霊たちも、その生き霊には距離を取っている。

「うわ、あれ重いやつだ」

「妊婦さん、つらそう」

「でもさ、やっぱ見どころは中じゃない?」

 野次馬幽霊たちは、興奮と警戒を半々に混ぜて囁く。

 エントランス内で、社員の声が一段低くなった。

「これ以上ここで騒がれる場合は、警察を呼びます」

 その一言で、空気がさらに張りつめる。

 依頼人の男は、否定しない。

 引き下がりもしない。

 ただ、強く睨み返している。

 創は、その様子を一通り見てから踵を返した。

「行くぞ」

「……もう、いいんですか」

「十分だ」

 低く、確信を込めて言う。

「これは俺たちの領分じゃない」

 歩き出しながら、付け加える。

「下手に触れば、拗れるだけだ」

 背後で、幽霊の声が弾む。

「うわ、警察コースだ」

「今日こそ来るんじゃない?」

「何回目だろ、これ」

 創は、振り返らない。

 浮気調査は、完全に終わった。

※※※

 B株式会社の前から戻った夜、創は事務所のデスクに肘をついた。

 薄い蛍光灯の光が、紙の端を白く浮かせる。

 競馬新聞は畳んだまま、横に置いた。

「……連絡、入れますか」

 朔夜が言う。

「入れる」

 創は即答した。

「無連絡は揉める。揉めたら――あいつは来る」

 朔夜は何も言わず、事務所の公式メール画面を開いた。

 テンプレはある。だが今回は、余計な言葉が一番危ない。

 創は椅子にもたれ、淡々と言った。

「書くのはこれだけだ」

 朔夜の指が、キーボードを叩く。

『件名:ご依頼の進行について(重要)

佐山様

本件につきまして、現地確認の結果、当事務所での調査継続は安全上の理由により困難と判断いたしました。

調査は本メール送信時点で終了とし、契約を解除いたします。

お預かりした手付金は全額返金いたします。返金方法(来所/振込)をご指定ください。

なお、調査内容の詳細および証拠提出はできません。

今後のご連絡・ご来所は、必ず事前予約の上お願いいたします。

時塔心霊探偵事務所』

 朔夜が画面を見せる。

「これで、十分ですか」

「十分だ」

 創は頷いた。

「あなたの言ってることは妄想だなんて一文字も入れるな。あれは、言った瞬間に燃料になる」

 送信ボタンを押す。

 ぴ、と乾いた音。

 念のため、と朔夜が言った。

「電話も?」

「短くな」

 創は受話器を取った。

 相手が出たら、言うことは一つ。

 数コールの後、男の声が出る。

『……はい』

「時塔だ。メール送った」

『……何の』

「浮気調査はここで終了。返金する」

『は? 終わり? ふざけんなよ!』

 声のトーンが跳ね上がるのを、創は受け流す。

「返金方法だけ決めろ。来るなら予約しろ」

『お前――!』

「今から言う」

 創は声量を変えず、ただ業務連絡だけを置いた。

「予約なしで来るな。騒ぐなら警察呼ぶ」

 一拍。

『……脅しか?』

「違う。ルールだ」

 創はそこで切った。

 受話器を戻すと、指先がじわりと痺れた。

 朔夜が、息を吐く。

「……来ますね」

「来る」

 創は乾いた笑いを漏らした。

「来るからこそ、先に言う」

 静かに、事務所の空気が固くなる。

 数日後。

 インターホンが鳴った。

 随分と乱暴な押し方で。

※※※

  事務所のドアが、叩き壊す勢いで開いた。

「なんで調査をやめた!!」

 男の声が、室内に叩きつけられる。

 顔は赤黒く、目は焦点を失っていた。

 言葉より先に、怒鳴り声が飛ぶ。

「証拠は!? あの男だろ! 見ただろうが!!」

 創は、椅子に座ったまま答える。

「これ以上は受けられない」

 それだけだった。

 次の瞬間。

 拳が、創の肩に叩き込まれた。

 全力。

 躊躇なし。

 鈍い音がして、創の体が揺れる。

「ふざけるな!!」

 男は叫びながら、さらに掴みかかろうとする。

 同時に、母親が動いた。

「何様なのよ!」

 朔夜の腕を掴み、引きずる。

 爪が食い込み、服が引き裂かれる。

「この子を追い詰めて! 責任取れるの!?」

「離してください」

 朔夜は抵抗しない。

 それが、さらに火をつけた。

「逃げるな!」

 母親が、朔夜を突き飛ばそうとした瞬間。

 創が立ち上がる。

「――通報しろ」

 低い声だった。

 朔夜は、迷わずスマートフォンを耳に当てる。

「暴力行為です。場所は――」

「やめろォ!!」

 男が叫び、再び創に殴りかかる。

 肩。

 胸。

 腕。

 力任せで、理性の欠片もない。

 その時。

「警察です!」

 ドアの向こうから、声が響いた。

 二人の警官が踏み込んでくる。

「落ち着いてください!」

「うるせぇ!!」

 男が、警官に向かって突進した。

 拳が振り上げられ、警官の肩に当たる。

 一瞬で空気が変わる。

「公務執行妨害!」

 腕を取られると、男はさらに暴れた。

「触るな!!」

 母親も叫び、警官に掴みかかる。

「離しなさい! この子は――!」

 床に倒れる音。

 手錠の金属音。

 男はなおも暴れ、引きずられていく。

 母親の叫び声が、廊下に消えていった。

 ドアが閉まる。

 事務所に、静寂が戻った。

 創は、殴られた肩を軽く回した。

「……派手だったな」

 朔夜は、乱れた袖を直しながら頷く。

「いっそ清々しいほどでした」

 生き霊は嘘をつかない。

 怪異より、生きている人間の方がよほど厄介だった。

※※※

 数日後。

 事務所は、何事もなかったかのように静かだった。

 警察からの連絡も、もう来ない。

 創は、ソファに座り、競馬新聞を広げていた。

「……くそ」

 低く呟く。

 赤ペンで丸を付けた印は、無惨に外れている。

 紙面の端に書かれた数字が、現実を突きつけてくる。

「今日も、ダメですか」

 向かいで、朔夜がスマートフォンを見ていた。

「ダメも何も、かすりもしねぇ」

 創は新聞を畳み、机に放る。

「ついてねぇ時は、とことんついてねぇな」

 テナント料の振込期限は、明日だ。

 朔夜は、しばらく黙ってから言った。

「……俺、買ってます」

 創が、眉を上げる。

「は?」

「三連単。さっき結果出ました」

 スマートフォンを差し出す。

 画面には、確定の文字。

 創は、一瞬、理解できなかった。

「……当たった?」

「大穴です」

 淡々とした声だった。

 創は、数秒、画面を見つめたまま動かない。

 それから、ゆっくり息を吐いた。

「……マジか」

「ええ」

 朔夜は、視線を外して付け加える。

「この前の修羅場、ちょっと疲れたんで。気分転換に」

 創は、頭を掻いた。

「……狐より、よっぽど持ってんな」

「貸しですからね」

 きっぱり言う。

 創は、思わず笑った。

「分かってるよ」

 封筒に入れた現金を思い浮かべる。

 これで、今月はどうにかなる。

 創は、立ち上がり、湯を沸かし始めた。

「――生き霊は嘘をつかない」

 ぽつりと言う。

 湯呑みに湯を注ぎながら、続けた。

「一番信用ならねぇのは、生きてる人間だ」

 朔夜は、小さく笑った。

「否定しません」

 湯気が、ゆっくりと立ち上る。

 事務所の外では、今日も街が動いている。

 人は悩み、拗れ、勝手に壊れる。

 それでも、テナント料は払えた。

 それで十分だ。

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作者について

絢雲 蒼雪

絢雲 蒼雪

ホラーとファンタジーが好物! 小野不由美といえば十二国記ですが、個人的には残穢が好きです。 超ビビリのくせに読破。 怖くてガチで1週間寝付けなかった。 映画も観たよ。 もちろん十二国記も...

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