第18話:暴かれた快楽と、隠し通した秘密
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第18話:暴かれた快楽と、隠し通した秘密
本文
ケンジさんの熱い手が、私の眼鏡に伸びてきた。
外される、と思った。
けれど、彼の手はフレームを優しくなぞっただけで、止まった。
「……そのままで」
「へ?」
「眼鏡も、三つ編みも……そのままでいてほしい。今のリリさんが、俺は一番好きだから」
彼の瞳は本気だった。
エロ本と同じだ。「地味子マニア」の性癖は本物だった!
眼鏡のレンズ越しに、彼の情熱を帯びた瞳と視線が絡み合う。
それは、裸を見られるよりも遥かに恥ずかしくて、そして胸の奥がキュンと疼くようなシチュエーションだった。
「は、はい……♡」
私が頷くと、彼は満足そうに微笑み――そして、私を優しく押し倒した。
重ねられる唇と、体温。
触れ合う面積が増えるたび、彼から発せられる凄まじい「気」が私を包み込んでいく。
(あ、熱いっ……! なにこれ、すごいエネルギー……っ!)
サキュバスの私の想像を遥かに超えていた。
まるでダムが決壊したような精気の奔流。
私は彼を「食べる」つもりだったのに、逆に圧倒的な熱量に「満たされて」、溺れてしまいそうだ。
思考が真っ白に塗りつぶされていく。
眼鏡がズレるのも構わず、私たちは互いを求め合った。
「リリさん、リリさん……っ!」
「あひっ、んっ! すご、いっ、ケンジさぁっ♡」
高まる鼓動が限界点を突破する。
まずい。サキュバスとしての許容量(キャパ)を超えそう。
理性が飛んで、変身が解けちゃう――!
ボフンッ!!
感情が昂ぶった、その瞬間。
私の背中から、黒い「コウモリの羽」がバサリと飛び出し、お尻からは「ハートの尻尾」がピーンと伸びてしまった。
(ひいいぃぃぃっ!! 出ちゃったぁぁぁ!!)
心臓が止まるかと思った。
これを見られたら終わりだ。「やっぱり悪魔だったんだ!」と退治されてしまう!
その時、ケンジさんが不思議そうに身を起こし、私の顔を覗き込もうとした。
「リリさん、大丈夫!? 今、何か背中で音が……」
絶体絶命。
羽が丸見えになる――!
「だ、大好きぃぃぃっ!!」
私は破れかぶれで叫ぶと、彼の首に腕を回し、力任せに抱き寄せた。
背中に回した羽を、彼の体で押し潰すようにして隠し、尻尾は必死にシーツの下へねじ込む。
「えっ、リリさん!?」
「離さないでっ! 恥ずかしいから、顔見ないでぇっ!」
火事場の馬鹿力でしがみつく。
羽がミシミシ言っている気がするが、正体がバレるよりはマシだ。
ケンジさんは一瞬驚いたようだが、すぐに優しく私を抱きしめ返してくれた。
「……俺もだよ。大好きだ、リリさん」
彼は、私の必死の隠蔽工作を、「愛の告白による抱擁」だと完全に勘違いしてくれたのだ。
彼の温かい腕の中で、私は安堵と心地よい熱に浮かされながら、ゆっくりと意識を手放した……。
***
チュン、チュン……。
翌朝。小鳥のさえずりと共に、私はケンジさんの腕の中で目を覚ました。
羽と尻尾は、彼が寝静まった後にこっそりと戻した。セーフだ。
「……おはよう、リリさん」
ケンジさんが目を覚ます。
その穏やかな顔を見て、私は確信した。
彼は昨夜の正体(羽)に気づいていない。
そして――私を見る目が、昨日までよりもずっと甘く、熱くなっていることに。
(……ふふっ)
サキュバスのリリム。
人間とのマッチングを経て、紆余曲折の末に……どうやら「固定客(恋人)」をゲットすることに成功したようだ。
しかも、この人は極上の精気を持つ「特上物件」。昨晩の余韻だけで、肌のツヤが段違いだ。
「おはようございます、ケンジさん……♡」
私は眼鏡の位置を直し、最高に清楚で、とびきりあざとい笑顔を向けた。
――こうして、私たちの奇妙な関係は幕を開けた。
昼は「清楚な地味子と優しい彼氏」。
夜は「腹ペコサキュバスと絶倫(無自覚)の彼氏」。
秘密を抱えたままの、第二のアプリ生活が始まるのだった。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。