第22話:屈辱の招待状と、リベンジ・ダブルデート
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第22話:屈辱の招待状と、リベンジ・ダブルデート
本文
図書館での一件から数日後。
私とケンジさんがカフェでくつろいでいると、テーブルに一枚の派手なカードが叩きつけられた。
「ごきげんよう、リリム。……と、その彼氏さん」
現れたのは、またしてもメリザだった。
今日の彼女は、露出度高めの勝負服(人間界向けアレンジ)に身を包み、腕には長身のイケメンモデル風の男を絡ませている。
「な、なんの用……?」
「ふん。先日は失礼したわね。……で、これはお詫びの印」
彼女はカードを指先で弾いた。
そこには『遊園地 Wデートご招待券(VIPパス)』と書かれている。
「私の今のカレ、アランよ。彼と私、そしてアンタたち二人で、今度の日曜にダブルデートしましょうよ」
「えっ……」
「まさか逃げないわよね? 『地味子カップル』がお似合いだって証明したいなら、私たち『極上カップル』の隣で、その愛を見せつけてみなさいよ」
メリザは挑発的な笑みを浮かべた。
その目は笑っていない。「公開処刑にしてやる」と語っている。
彼女はそれだけ言うと、アランと呼ばれた男を引き連れて颯爽と去っていった。
残された私とケンジさん。
ケンジさんは眉をひそめ、招待券を手に取った。
「……捨てよう」
「えっ?」
「こんなの、行く必要ないよ。明らかに悪意がある」
ケンジさんは私の顔を覗き込んだ。その目は優しさで満ちている。
「リリさん。君は優しいから、幼馴染の誘いを無下にできないのかもしれない。でも、無理しなくていいんだよ」
「ケンジさん……」
「あんな人たちと張り合う必要なんてない。僕たちは僕たちのペースで、静かに過ごせればそれでいいじゃないか。……君が傷つくところを、僕は見たくないんだ」
彼の言葉は、どこまでも温かい。
以前の私なら、間違いなく「はい、逃げましょう」と頷いていただろう。
あんなカースト上位のメリザと張り合うなんて、自殺行為だ。
……でも。
私の脳裏に、メリザの言葉が蘇る。
『アンタにはお似合いの残り物』
『いつか吸い尽くされて死ぬ』
彼女は私だけじゃなく、ケンジさんのことも馬鹿にした。
それに、このまま逃げ続けたら、彼女はずっと私のストーカーをして、いつか本当にケンジさんに危害を加えるかもしれない。
何より――。
(私の選んだ『ご飯』が、あんなチャラ男(アラン)よりも極上だってことを、認めさせたい……!)
サキュバスとしての、小さなプライド。
そして、ケンジさんの恋人としての意地が、私の中でメラメラと燃え上がった。
「……行きたいです」
「え?」
「ケンジさん。私、ダブルデートに行きたいです」
私は顔を上げ、彼の目を真っ直ぐに見つめた。
「私、悔しいんです。ケンジさんのことを馬鹿にされたままなんて、絶対に嫌です」
「リリさん……」
「私、見返してやりたいんです! 私たちが……ううん、ケンジさんがどれだけ素敵な人か、あの人たちに見せつけてやりたい! だから……協力してくれませんか?」
私は彼の手をギュッと握りしめた。
ケンジさんがハッとして、それから少し照れくさそうに頬を掻いた。
「……そっか。僕のために、怒ってくれたんだね」
(あ、いや、自分のためも半分あるけど……ま、いっか)
「分かった。君がそこまで言うなら、僕も覚悟を決めるよ」
ケンジさんの表情が引き締まった。
聖騎士モードのスイッチが入った顔だ。
「行こう、リリさん。僕たちの絆が、あんな表面的なカップルに負けないことを証明しよう」
「はいっ!」
こうして、私たちはメリザの挑戦を受けることになった。
戦いの舞台は遊園地。
サキュバスのリリム&童貞(卒業済)のケンジ vs ギャルサキュバスのメリザ&チャラ男(恐らくサクラ)。
プライドと性癖をかけた、泥沼のダブルデートが幕を開ける。
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