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第24話:転落した女王と、強行突破の同棲宣言

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あらすじ

地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第24話:転落した女王と、強行突破の同棲宣言

本文

遊園地での修羅場から数時間後。

 私とケンジさんは、疲れ果てて彼のアパートへと帰ってきた。

「大変だったね、リリさん。……あんなことになるなんて」

「はい……でも、ケンジさんがいてくれてよかったです」

 いろいろあったけれど、結果的に私たちの絆は深まった。

 今日はもう、このまま彼の部屋で甘えて、あわよくば泊まって……。

「……ぐすっ。……うぅ」

 部屋のドアの前から、すすり泣く声が聞こえた。

 うずくまっている影がある。

 派手なワンピースが雨と泥で汚れ、メイクも崩れた女性。

「……メリザちゃん!?」

「リ、リリムぅ……」

 メリザは涙目で顔を上げた。

 あの高飛車な態度はどこへやら、捨てられた子猫(というか濡れ鼠)のような有様だ。

「ど、どうしたの? アランは?」

「あいつ……本命にバレたからって、私の荷物を全部マンションから放り出したのよ! カードも止められたし、行くところがないの……!」

 彼女はわっと泣き出した。

 自業自得だ。完全に自業自得だけど……さすがにちょっと可哀想かも。

「でも、実家(魔界)に帰れば……」

「帰れるわけないでしょ! 『人間界で玉の輿に乗るまで帰らない』って大見得切って出てきたのに! こんな負け犬の姿で帰ったら、一族の恥よ!」

 メリザはケンジさんのズボンの裾にすがりついた。

「お兄さん……お願い。私、今夜泊まるところがないの。……なんでもするから! エッチなことでもなんでもするから、部屋に入れてぇ!」

 なりふり構わない懇願。

 普通なら「警察に行け」と言うところだ。

 けれど、私の彼氏は「普通」じゃなかった。

「……分かりました」

「えっ、ケンジさん!?」

「リリさんのご友人(?)を、このまま路上に放置するわけにはいきません。……とりあえず、中へ入ってください。タオルとお湯を用意します」

 ケンジさんは優しい顔で、ドアを開けてしまった。

(ちょ、ちょっと待って! この女を部屋に入れるの!?)

 私は焦った。

 メリザは腐ってもサキュバスだ。今は弱っているけれど、回復したら絶対にケンジさんを誘惑するに決まっている。「なんでもする」って言ったし!

 ケンジさんは私を見て、「大丈夫だよ、リリさん。一晩くらいなら、ソファーで寝てもらうから」と微笑む。

 ダメだ。この人は聖人すぎて、サキュバスの危険性を分かってない!

 もし私が帰った後、二人きりの夜に間違いが起きたら……?

 私は、覚悟を決めた。

「……分かりました。メリザちゃんを泊めるんですね」

「うん。困った時はお互い様だか――」

「じゃあ、私も泊まります!!」

 私は大声で宣言し、メリザより先に部屋の中に飛び込んだ。

「えっ、リリさん!?」

「メリザちゃん一人じゃ心配です! 看病も必要だし、見張りも……とにかく、私も一緒にいます!」

「い、いや、でも俺の部屋、狭いし……」

「床でもいいです! とにかく、私はここから一歩も動きませんからっ!」

 私は玄関に仁王立ちした。

 ここを動くものか。ここは私のテリトリーだ。

 私の大事なご飯(ケンジさん)を、こんなハイエナに横取りさせてたまるか!

「……ふふっ」

 ケンジさんは困ったように、でもどこか嬉しそうに笑った。

「そっか。リリさんは優しいね。友達のために、そこまでしてくれるんだ」

「(あ、いや、違うんだけど……ま、いっか)」

「分かった。じゃあ、三人でどうにかしよう。……男一人に女性二人、賑やかになりそうだね」

 こうして、奇妙な同棲生活が幕を開けた。

 家主のケンジさん。

 居候の転落サキュバス・メリザ。

 そして、防衛のために押しかけた恋人サキュバス・リリ。

 狭いワンルームで、秘密と性癖とプライドが入り乱れる、波乱の毎日が始まった。

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りくりな

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