第25話:湯上がりの露出狂と、選ばれしもこもこ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
地味子に擬態して童貞紳士を狙ったら、彼の理性が鉄壁すぎてご飯(精気)が食べられません! ~誘惑したい初心者サキュバス vs 守りたい最強の紳士~ - 第25話:湯上がりの露出狂と、選ばれしもこもこ
本文
「ふぅ〜、生き返ったわぁ」
お風呂から上がった私がリビングに戻ると、そこには信じられない光景が広がっていた。
「ちょ、ちょっとメリザちゃん!? 何その格好!!」
ソファーの上で、メリザがくつろいでいる。
問題なのは、その服装だ。
身につけているのは、面積の極端に少ない黒のレースの下着(ブラとショーツ)のみ。
濡れた髪から滴る水滴が、豊満な胸元や太ももを伝って光っている。
「何って? お風呂上がりだから涼んでるのよ。……あーあ、アランに買ってもらった部屋着、全部捨てられちゃったしぃ」
「だ、だからって、なんで下着姿なのよ! ここはケンジさんの家なのよ!?」
「だ・か・ら♡ サービスしてあげようと思って」
メリザは妖艶な笑みを浮かべた。
「あんたみたいな『もこもこパジャマ』の子供っぽい格好じゃ、男の性欲は刺激できないでしょ? 私が手本を見せてあげるわ」
彼女が指差したのは、私のパジャマだ。
ケンジさんの好みに合わせて買った、クリーム色のふわふわもこもこパジャマ(フードにうさ耳付き)。
確かに色気はないかもしれない。でも、暖かくて可愛いのに!
「バッカじゃないの! ケンジさんはそんな下品な露出、一番嫌いなんだから!」
「はぁ? 男なんてみんな、見えれば見るほど興奮する生き物なのよ。あんたこそ、現実見なさいよ」
バチバチと火花が散る。
その時、キッチンからケンジさんが戻ってきた。手には冷えた麦茶のポットを持っている。
「お待たせ、二人とも。水分補給しよ――」
ケンジさんは言葉を切り、ソファーの上のメリザを見て固まった。
「……ッ!!」
メリザが勝ち誇ったように胸を張り、挑発的なポーズをとる。
「どう、お兄さん? リリムのその『お子様パジャマ』と、私のこの『大人のランジェリー』……今夜のオカズにするなら、どっちが好み?」
直球すぎる質問。
私は祈るようにケンジさんを見た。
お願い、惑わされないで!
ケンジさんは顔を真っ赤にして、視線を泳がせた。
そして、震える声で答えた。
「……リリさんです」
「はぁ!?」
メリザが素っ頓狂な声を上げた。
「だ、だって……そんな下着姿、目のやり場に困ります! それに、そんな格好じゃ風邪を引いてしまいます!」
「そこ!?」
「それに比べて、リリさんのそのパジャマは……その……」
ケンジさんは、私の方を見て、ほぅ……と幸せそうなため息をついた。
「ふわふわで、温かそうで……まるで小動物みたいで、すごく守ってあげたくなる可愛さです。……最高です」
ド直球の賛辞。
私は嬉しさのあまり、フードのうさ耳ごと飛び跳ねそうになった。
「き、聞いた!? 聞いたわよねメリザちゃん!」
「う、嘘でしょ……? このナイスバディより、その着ぐるみがいいって言うの!?」
メリザは信じられないものを見る目でケンジさんを見た。
ケンジさんはソファーにあったブランケットを手に取り、バサッとメリザに投げかけた。
「とにかく、服を着てください! 隠してください! 僕の理性のために(※あまりに下品すぎて直視できないという意味で)!」
「きゃっ! なによもう、唐変木!」
ブランケットに包まれたメリザがむくれる。
勝負あり。
露出狂サキュバスの誘惑は、地味子好き紳士の「防寒意識」と「萌え」の前に完全敗北したのだ。
「リリさん、寒くない? もっと暖房強くしようか?」
「ううん、大丈夫です。……えへへ」
私はもこもこの袖で口元を隠しながら、勝利の余韻に浸った。
やっぱりケンジさんは最高だ。
――しかし。
問題はここからだった。
夜はまだ始まったばかり。
狭いワンルームには、ベッドが一つしかないのだ。
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