聖徳太子2.0  第二章

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/1/11 📚 シリーズ: 聖徳太子2.0 📝 5,420文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

父・聖太、母・徳子。名前を組み合わせたら「聖徳太子」!名前を理由にいじられ続けた徳太は、祖父特製のAI傾聴システムで本物の聖徳太子を目指す。千人の声を聞き、学校を変える痛快学園コメディ。技術と心で紡ぐ、現代の傾聴物語。

本文

聖徳太子2.0  第二章

 六月。

 生徒会室は、改革プロジェクトの拠点となった。

 ホワイトボードには、徳太の集めた要望リストがびっしり書かれている。

「学食のメニュー改善、図書館の開館時間延長、エアコンの温度調整……」

 心陽がマーカーで印をつけていく。

「まずは実現可能なものから手をつけましょう」

「待って」

 悠斗が電卓を叩いている。

「エアコンの温度を教室ごとに変えると、電気代が月に約三万円増える。年間三十六万円だ」

「うわ、けっこう高い」

「でも、冷暖房効率を改善すれば、逆に削減できる可能性もある」

 悠斗は資料を広げた。

「窓の断熱フィルム、カーテンの見直し、扇風機の併用――これらを組み合わせれば、むしろコスト削減になる」

「さすが悠斗!」

 心陽が拍手する。

「じゃあ、その案で教頭先生に提案してみよう!」

 しかし、獅子丸は別のことを考えていた。

「太子?」

「何?」

「学食の唐揚げ定食、週三回に増やせませんかね」

「個人的な要望じゃん!」

「いや、でも需要は確実にあります」

 獅子丸は真顔で言った。

「俺の試算では、週三回にすれば売上が二倍になります」

「どういう試算だよ」

「俺が一回に三人前食べるので」

「それ試算じゃなくてお前の食欲じゃん!」

 そんなやり取りを繰り返しながら、彼らは少しずつ学校を変えていった。

 教頭との交渉も、意外とスムーズだった。

 最初は渋っていた教頭だが、徳太が分析した膨大なデータと、悠斗の論理的な説明に押され、徐々に態度を軟化させていった。

「確かに……生徒の満足度が上がれば、退学率も減るかもしれんな」

「それに」

 心陽の営業トークが決まる。

「こういう取り組みは、学校説明会でもアピールできますよ。『生徒の声を聞く学校』って」

「む……それは……」

 教頭の目が輝いた。学校の評判アップは、管理職の最大の関心事だ。 「わかった。試験的に、いくつか承認しよう」

[newline=center]◆ ◆ ◆[/newline]

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 七月。

 生徒会の最初の成果が出始めた。

 学食のメニューが増え、図書館の開館時間が延長された。エアコンの温度調整も柔軟になった。そして何より――黄金唐揚げ定食が、週三回に増えた。

「太子! やりました! 月・水・金、全て買えるチャンスが!」

「そんなに食べて大丈夫なの?」

「柔道の稽古で消費するので問題ないです!」

 獅子丸は満面の笑みだった。

 生徒たちの反応も上々だった。

「なんか最近、学校が楽しくなってきた」

「生徒会、マジで仕事してるよな」

「太子のおかげじゃね?」

「太子って誰?」

「ほら、あの聖徳太子コスプレしてる奴」

「してないから!」

 徳太のツッコミは、もはや日常の一部になっていた。

 しかし、問題はここからだった。

 ある日、一年生の女子生徒が生徒会室を訪ねてきた。

 小谷優香という名前の、小柄で大人しそうな生徒だ。

「あの……相談があるんです」

 彼女は震える声で言った。

「私、クラスで、いじめられてるんです……」

 心陽が優しく椅子を勧め、徳太も隣に座った。

「具体的に、どんなことをされてるの?」

「無視されたり、持ち物を隠されたり……SNSでも、悪口を書かれて」

 優香の目に涙が浮かぶ。

「先生に相談しても、『気にしすぎだ』って……誰も助けてくれなくて」

 徳太は獅子丸と顔を見合わせた。

 これは、唐揚げ定食とはレベルが違う。

「わかった。少し時間をもらえる? 生徒会で対応を考えさせて」

 心陽が優しく言った。

「必ず、力になるから」

 優香が帰った後、生徒会室に重い空気が流れた。

「先生が動いてくれないなら、俺たちが動くしかない」

 獅子丸が拳を握りしめる。

「でも、証拠がないと……」

 悠斗が腕を組んだ。

「いじめって、見えないところで行われるから厄介なんだ。優香さんの証言だけじゃ、『言った言わない』の水掛け論になる」

「……俺が、確認してくるよ」

 徳太が静かに言った。

「確認?」

「俺のAIデバイスで、優香さんのクラスの様子を聞き取ってみる。実際にいじめが起きているのか、どんな言葉が飛び交っているのか」

 心陽が頷いた。

「わかった。お願い」

◆

 翌日、徳太は優香のクラスがある校舎の廊下に立った。

 耳元の装置に触れ、AIシステムを起動する。スマホの画面に、教室内の会話が次々と文字化されて流れ込んでくる。

『小谷、マジうざい』

『あいつ、なんでいるの?』

『消えればいいのに』

 徳太の表情が曇った。

 これは――間違いなく、いじめだ。

 彼は記録を続け、一週間分のデータを収集した。AIシステムは、発言者の声の特徴から人数を識別。発言の頻度や内容を自動で分析してくれた。

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 放課後、生徒会室。

 徳太はスマホの画面を三人に見せた。

「一週間の記録がこれ。AIが分析した結果、主な加害者は三名。発言回数は計四十二回、内容は全て悪口や嫌がらせに分類されている」

「……ひどい」

 心陽が眉をひそめる。

「こんなに頻繁に……」

 悠斗が画面を凝視した。

「許せねえ……」

 獅子丸が震える声で言った。

「これを証拠に、教頭に提出すれば――」

 徳太がそう言いかけたとき、悠斗が口を挟んだ。

「待って。それ、プライバシーの問題にならないか?」

「え……?」

「徳太のAIは本当に便利だけど、本人の許可なく会話を記録してる。それを証拠として使うのは……」

 悠斗は眼鏡を外して、目頭を押さえた。

「法的にグレーゾーンだ。最悪『盗聴』と言われるかもしれない。こっちが訴えられる可能性だってある」

 生徒会室が沈黙に包まれた。

 獅子丸が叫んだ。

「でも、このままじゃ優香ちゃんが!」

「わかってる! わかってるけど……」

 悠斗も歯噛みする。

「俺だって助けたい。でも、間違った方法で助けたら、徳太が責任を問われる可能性がある」

 徳太は――考えた。

 そして、ある結論に達した。

「優香さんに、同意をもらおう」

「同意?」

「生徒会として、優香さんのクラスの状況を調査したこと。そこで得た情報を、解決のために使うことに同意してもらう」

「本人の同意があれば……」

 悠斗が考え込む。

「でも、それだけじゃ不十分だ。加害者側のプライバシーも……」

「だから、直接的な証拠としては使わない」

 徳太は立ち上がった。

「カウンセラーの先生を呼んで、優香さんから正式に被害を報告してもらう。俺のデータは、あくまで『いじめの実態を示す参考資料』として、匿名の通報という形で学校側に提出する」

「なるほど……」

 心陽が頷いた。

「直接の証拠じゃなくて、状況証拠として使うのね」

「そう。それなら、プライバシーの問題もクリアできるはず」

 獅子丸が勢いよく立ち上がった。

「さすが太子!」

「いや、これ普通の解決法だから……」

「やっぱり太子は天才!」

「だから天才じゃ……」

「太子の御託宣は絶対!」

「御託宣じゃないから!」

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 翌日、優香を再び生徒会室に呼んだ。

「小谷さん、実は生徒会で独自に調査をして――」

 徳太は慎重に言葉を選んだ。

「君のクラスで、実際にいじめが起きていることを確認できた」

「本当ですか……?」

 優香の目に希望の光が灯る。

「ただ、その情報を使って学校側に働きかけるには、君の同意が必要なんだ。生徒会が調査したことと、その結果を使うことに、同意してもらえる?」

「……はい」

 優香は涙を浮かべながら頷いた。

「お願いします。助けてください」

[newline=center]◆ ◆ ◆[/newline]

 結局、その件は慎重に進められた。

 まず、徳太のAIが分析した詳細データ――加害者の人数、発言内容のパターン、いじめの頻度と時間帯――を整理し、『匿名の情報提供』として教頭に提出した。

 同時に、優香の同意を得て、カウンセラーを交えた面談を設定。優香から正式に被害を報告してもらった。

「匿名通報」と「被害者の証言」、二つが揃ったことで、学校側も動かざるを得なくなった。

 さらに生徒会は、AIの分析データを活用し、『いじめ防止週間』を企画。

「いじめは見えないところで起きている」

「悪口は、言われた本人が一番傷つく」

 具体的な数字とデータを示しながら、全校で啓発活動を行った。

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 数週間後、優香が生徒会室を訪ねてきた。

「あの……ありがとうございました」

 彼女は深々と頭を下げた。

「皆さんのおかげで……最近、悪口を言われることが減ってきたんです。無視されることも、少なくなって」

 優香の目には、まだ不安も残っているが、確かに希望の光が灯っていた。

「完全になくなったわけじゃないんですけど……でも、前よりずっと、学校に来るのが怖くなくなりました」

「良かった」

 心陽が微笑む。

「まだ時間はかかるかもしれないけど、何かあったら、いつでも相談してね」

「はい!」

 優香が帰った後、獅子丸が言った。

「太子、やっぱりすごいっすよ」

「別に、俺一人でやったわけじゃない」

「いや、でも太子がいなかったら、優香ちゃんを助けられなかった」

 獅子丸は真剣な顔で続けた。

「俺、わかりました。太子についていく理由が」

「今さら?」

「最初は唐揚げ定食のお礼だったけど」

 獅子丸は拳を握った。

「でも今は違う。太子は、本当に人を救える人だ。そういう人の力になりたいんです」

 徳太は少し照れくさそうに笑った。

「獅子丸……」

「だから! これからも太子の第一の弟子として……」

「やっぱり弟子なんだ!?」

「当たり前じゃないですか!」

 悠斗が呆れた顔で言った。

「お前ら、いつまでやってるんだ」

「えー、でも悠斗先輩も楽しんでるでしょ?」

「別に楽しんでないから」

 悠斗は眼鏡を光らせた。

「ただ、徳太の力が生徒会にとって有益だと判断しているだけだ」

「素直じゃないなあ」

「うるさい」

 心陽がクスクス笑った。

「みんな仲良しね」

◆

 八月の終わり、夏休み最終日。

 徳太は祖父の研究室を訪ねていた。大学の工学部の一角にある、機材だらけの部屋だ。

「じいちゃん、この装置って……本当に正しい使い方なのかな」

 祖父は穏やかに笑った。白髪の優しい老人で、元はAI研究の第一人者だった。

「何か、気になることがあったのか?」

「うん。七月に、いじめの相談があってさ」

 徳太は窓の外を見た。

「その時、俺はAIで相手の会話を記録して、証拠として使おうとしたんだ。でも生徒会の副会長に『それって盗聴じゃないか』って言われて」

「ほう」

「結局、被害者の同意を得て、状況証拠として使った。プライバシーの問題はクリアできたと思う。でも……」

 徳太は装置に触れた。

「それから、ずっと考えてるんだ。俺が必要だと判断したときに記録するのは、本当に正しいのかって」

「ほう」

 祖父は興味深そうに眉を上げた。

「徳太、お前、成長したな」

「いや、褒められてる場合じゃないでしょ」

「褒めてるんだよ。技術の便利さに溺れず、倫理的な問題に気づいて、さらにその先まで考えられたんだから」

 祖父は古ぼけた本を一冊、棚から取り出した。

「お前は、聖徳太子の伝説を知っているか?」

「十人の声を同時に聞き分けたって話?」

「その通り。でもな、徳太」

 祖父は本のページをめくった。

「あれは物理的な能力の話じゃないんだ」

「え?」

「考えてみろ。本当に十人が同時に喋ったら、それはもう騒音だ。聞き分けるどころじゃない」

「あ……」

「聖徳太子の伝説は、『人々の声に真摯に耳を傾ける理想の為政者』という象徴なんだよ」

 祖父は徳太の肩に手を置いた。

「十人の声というのは、多様な意見を尊重し、一人一人を大切にする姿勢のことだ」

「つまり……」

「技術は手段に過ぎない。大切なのは、その技術をどんな心で使うかだ」

 徳太は深く頷いた。そして、ふと思った。

「じいちゃん、じゃあなんでこんな装置作ったの?」

「ん?」

「だって、使い方次第で盗聴器になっちゃうじゃん、これ」

「……」

 祖父は少し困った顔をした。

「いや、それは……もともと聴覚支援技術の研究だったんだ。複数の音声を分離して聞き取りやすくする、っていう」

「へえ」

「でも、お前が中学で愚痴ってたのを聞いて、『これ、徳太に使えるんじゃないか』って思ってな」

「泣いてないよ! ちょっと愚痴っただけ!」

「でも、けっこう深刻な顔してたぞ」

「そりゃ中学三年間いじられ続ければ……」

 徳太は頭を掻いた。

「まあ、いいや。おかげで学校が楽しくなったし」

「それは良かった」

 祖父は微笑んだ。

「で、これからどうするんだ?」

「うーん……」

 徳太は考えた。

「AIの使い方、変えようと思う」

「ほう」

「俺が必要だと思ったときに記録するんじゃなくて、相談システムに特化させる。困ってる人が自分から声を出せる仕組みにしたい」

「なるほど」

 祖父は満足げに頷いた。

「それがいい。技術を押し付けるんじゃなく、必要な人が使えるように」

「うん」

「ただし」

 祖父は真顔になった。

「一つだけ、気をつけろ」

「何?」

「AIには限界がある」

 祖父は窓の外を見た。

「AIは便利だけどな、人間の『なんとなく察する』っていう能力には敵わない。表情、声のトーン、言葉にならない間……そういうものを理解するのは、まだ人間にしかできないんだ」

「……」

「最後は、人間が人間の話を聞かないといけないんだ」

 徳太は深く頷いた。

「わかった。AIと人間、両方の良いところを使う」

「そうだ」

 祖父は笑った。

「それが、本当の聖徳太子だ」

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作者について

あいの

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あいぺん毎日更新中! AIと読書が趣味なのでAI小説を作り始めました。自分の想像した世界を、AIの力を借りながら文字に起こす毎日を楽しんでいます。

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