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第35話 束の間の癒し。ついでに仕事

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/2/28 📚 シリーズ: 内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 📝 3,335文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 - 第35話 束の間の癒し。ついでに仕事

本文

澪side

あの悪魔実験事件から数週間。

「九重さん、南新興区(サザン・フロンティア)でゴーレムの不具合があると……」

「了解しました! すぐに向かいます!」

◇◇◇◇◇

「ふぅ〜……」

ゴーレムの不具合、というのは単に稼働部に小石が挟まっているだけだった。

市支課として現場を駆け回り、ゴーレム関連のトラブルも多く対応してきたからか簡単な修理や対処なら出来るようになってしまった。

「澪様、大丈夫ですか?」

「ええ、心配要りませんよ」

そう答えながら、私は肩を回した。

とわ言いつつ、正直体がバキバキだ。

連日の激務で、運動不足なのか逆に動きすぎなのかわからないけど、全身が凝り固まっている。

「澪、無理するなよ」

「無理なんてしていません。こうして皆さんを助けられているんですから、充実していますよ」

それは本心。確かに忙しいけれど、困っている人たちの役に立てている実感がある。

市支課の仕事は大変だけどやりがいがある。

ゴーレムの修理を終え、市支課に戻るべく駅に向かった瞬間。

『九重さん、今度は西旧市区(オールド・ウエスト)で下着泥棒が……』

「はい、すぐに向かいます!」

何で西旧市区はちょくちょく下着泥棒事件が起きるんだろう……

◇◇◇◇◇

その日の夕方、ようやく仕事が落ち着いた頃、携帯魔法波通信機の音が響いた。

「もしもし、九重です」

『Hello、澪』

「セラちゃん、どうしました?」

『休み、取れるわよね?』

「え? 急にどうしたんですか……?」

『温泉行かない? ナナ達も連れて』

「温泉、ですか……?」

『そう。澪、最近すごく疲れてるでしょう? 肩とか凝ってない?』

「そ、それは確かに……ですが急に休みを取るのは……」

『大丈夫よ。私がMTBの権限で休暇申請しておいてあげるわ。市支課にも話を通しておくから』

「えぇ……?」

『ね? 明日の朝、迎えに行くわね』

一方的にそう告げると、セラちゃんは通信を切った。

うーん? セラちゃんは決断力のある子だけど、こんなに強引な子では無い筈……

「デートか?」

「違う……のでは? ナナちゃん達と一緒にと言ってましたし」

「使い魔を“人”扱いする奇特な奴が二人も居るとはな」

「そもそもの話、ご主人様はセラさんの事をどう思ってるんです?」

「素敵な人……だと思ってますよ?」

そう、素敵なのだ。

年下ではあるけど、美人でスタイルも良くて。

18歳でMTBの第一線で活躍しているエリートで、正義感に熱くて。

そして……私の事を好いてくれている。

この前なんて同じベッドで……

「あ、あぅ……」

私は顔が熱くなるのを感じながら、心臓を落ち着かせようと深呼吸した。

◇◇◇◇◇

翌日の朝、約束通りセラちゃんが迎えに来た。

「おはよう、澪。準備はいい?」

「は、はい……」

私は小さな旅行鞄を持って、助手席に乗り込んだ。

ナナちゃんとスルナちゃんは後部座席。

「グラディエルさんは?」

「飛んでいくって。座ってたらいざって時に反応出来ないから」

「なるほど……ありがとうございます」

「お気になさらず。これが私の仕事ですので」

グラディエルさんは相変わらずの薄い表情。

いや、少し微笑んでた、かも?

うん。後ろのナナちゃんはケッ、と悪態を吐いてたからたぶん笑ってた。

「それで、どこの温泉に行くんですか?」

「北の山奥にある温泉宿よ。景色も綺麗だし、料理も最高なの」

セラちゃんは嬉しそうに説明してくれた。

その横顔を見ながら、私は少しだけ緊張が解けていくのを感じる。

確かに、最近は忙しすぎた。たまには、こういう休息も必要かもしれない。

◇◇◇◇◇

やがて車は街を抜け、徐々に山道へと入っていく。

窓の外には緑豊かな景色が広がっていた。

「ねえ、澪」

「はい?」

「最近、この辺りで妙な報告が上がってるの」

「妙な報告……ですか?」

「山の霊脈エリアで異変が起きてるって。精霊の姿が見えなくなったり、自然環境がおかしくなったり」

「それは……」

私は眉をひそめた。精霊の消失は、自然の魔力循環に深刻な影響を及ぼす。

それに、精霊もまたヒヒイロカネの素材になる。

単なる偶然では済ませられない。

「だから、調査も兼ねてるのよ 。澪のケアと一石二鳥ってわけ」

「セラちゃん……」

素直に嬉しいと思う。

だけど、所作や気遣いがスマートすぎてそういうのに慣れてるのかな? とも思ったり。

いや、慣れててもおかしくは無いんだけど。モテるだろうし。

「でも、今日はまず温泉でゆっくりしましょう。調査は明日から。ね?」

「はい」

温泉宿に到着すると、女将さんが出迎えてくれた。

「いらっしゃいませ。朝霧様、お待ちしておりました」

「よろしくお願いします」

案内された部屋は広々としていて、窓からは美しい山の景色が見える。

「さ、お風呂に行きましょう」

「え、もうですか……?」

「当然じゃない。温泉宿に来たんだから」

「あぅあぅ」

セラちゃんに手を引かれて、私は露天風呂へと向かった。

露天風呂は、想像以上に素晴らしかった。

湯気が立ち上り、周囲の山々が見渡せる。

「気持ちいいわね」

セラちゃんが隣に座った。肩が触れ合う。とても近い。

「せ、セラちゃん、もう少し離れて……」

「嫌よ。私は澪とくっついてたいの」

「う〜……」

湯気越しに、セラちゃんがこちらを見つめてくる。

その視線に、私は思わず目を逸らして腕を胸に当てた。

「そんなに綺麗なのに隠したら勿体ないわ」

「ひゃっ……!」

耳元で囁かれて顔が一気に熱くなる。お湯のせいだけじゃない。

「せ、セラちゃん、そういうことは……」

「事実を言っただけよ」

セラちゃんはほんのり嬉しそうに微笑んでいた。

私は恥ずかしさで死にそうになりながら、熱くなった顔を誤魔化すように口元までお湯に浸かった。

確かに体の凝りがほぐれていく。気持ちいい。

「澪、本当に疲れてたのね。肩、ガチガチよ」

「そう……ですか?」

「ほら、こっち向いて」

セラちゃんが私の肩を揉み始めた。その手つきは優しくて、でも的確にコリをほぐしていく。

「ん……気持ちいいです……」

「でしょ? もっと自分を大切にしなさいよ」

「すみません……」

「謝ることないわ。澪の真面目なところ、好きだもの。

市民に対する愛情をもう少し自分に向けてほしいってだけ」

「はい……」

セラちゃんの言葉に、私は何も言えなくなった。

その声色が、本当に優しいものだったから。

夕食後、私たちは女将さんからお話を伺った。

「何か変わった事、ですか?」

「はい。どんな些細な事でも良いんです」

「変わった事と言えば……最近この辺りの様子がおかしいんですよ」

女将さんは心配そうに語り始めた。

「ちょっと前までは風の精霊の声が聞こえたり、水の精霊がはしゃいでいたのに、最近はまったく……山が死んでいくみたいでね」

「精霊の声が……」

「それだけじゃないんです。地下水が濁ってきたり、植物の成長が鈍くなったり、動物の姿も減ってきて……」

「それは深刻ですね……」

「ええ。この温泉も、いつまで保つか……」

女将さんが戻ると、セラちゃんが地図を広げた。

「女将さんの話と、MTBの報告を照らし合わせると……精霊がいなくなった地域が、広範囲に広がってるわ」

「まるで、何かが精霊を消しているみたいですね……」

「ええ。悪魔が増えたかと思ったら、今度は精霊消失事件だなんてね」

セラちゃんは溜め息一つ。

私も頭が痛い。

「あ、あのっ!」

「スルナちゃん?」

そんな中、スルナちゃんが意を決した表情で口を開いた。

「実はスルナ、ずっと妖精の気配は感じてました。

だから、この山から精霊が消えつつあるっていうのもピンと来なくて……」

「それは……セラちゃん!」

「えぇ、それなら精霊はまだこの山に居る。だけど自然と関わってはいない……つまりこの山の何処かに捕らわれている可能性が高いわ。

お手柄よスルナ! これなら方針も立てやすくなるわ」

「え、えへへ……お役に立てて光栄ですっ」

「凄いです!」

スルナちゃんの頭を撫でる。

シームレスにご褒美としてキス(吸精)されてしまったけど、スルナちゃんはそれだけの結果を出してくれたので受け入れよう。

私は頭をぐりぐりと押し付けてくるスルナちゃんを撫でながらは窓の外を見る。

美しい山々が、月明かりに照らされている。

この美しい自然が脅かされている。

人々の生活と密接な関係がある山の精霊達に危険が迫っている。

……絶対に助けないと。

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生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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