第42話 激闘キメラゴーレム! 聖魔が並び立つ!
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あらすじ
内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 - 第42話 激闘キメラゴーレム! 聖魔が並び立つ!
本文
ナナside
キメラゴーレムが咆哮を上げた。
その声は悪魔の叫び、天使の嘆き、精霊の悲鳴が混ざり合った不協和音だった。
聞いているだけで頭が痛くなる。
「くっ……!」
澪が防御結界を展開するが、ゴーレムの拳が容易く砕いた。
※幸い澪は避けたので大事には至らなかったが。
(※強いて言うなら思いっきり尻もちを着いた事か。あの薄い尻ではクッション性も期待出来ないだろう)
「澪!」
セラが視線を向けるがそれも一瞬。
すぐにゴーレムに向き合った。
だがその動きは鈍い。まだ完全には回復していない。
そもそも病み上がりだしな。
グラディエルも重傷だ。羽が裂け、魔力がほとんど残っていない。
剣を構えているが、まともに戦えるできる状態じゃない。
アタシとスルナも戦っているが、相手が悪すぎる。
上級の悪魔、天使、精霊を混ぜ込んだヒヒイロカネ搭載のゴーレム。
アタシの幻術も攻撃も効かない。スルナの魅了も通用しない。
「このままじゃ……!」
澪が立ち上がり、懐から黒い羽を取り出した。
「これは……」
「アステシアさんから貰った羽です」
澪が羽を握りしめる。
「助けてください……っ」
澪が魔力を込めると、羽が黒く光り始めた。
空間が歪み、そこから黒い翼を持つ堕天使が現れる。
「呼んだか、澪よ」
アステシアだ。以前に澪が助けた上級悪魔。
「助けてください! あのゴーレムを……」
「ふむ……」
アステシアがゴーレムを見て、眉をひそめた。
「厄介な相手だな。一撃で倒せれば良いが、それなりの時間を要するなら契約が必要だ」
「私が契約します!」
「駄目。澪の魔力じゃ足りないでしょ? 私が契約するわ」
「ですがセラちゃんは既にグラディエルさんと契約しています!
上級使い魔を二人同時に契約するのは、幾らセラちゃんでも……!」
「大丈夫よ。それぐらいなら行けるわ。今、調子が良いの。
体の一部がヒヒイロカネになってるからかしら?」
「セラちゃん……」
澪が不安そうに見つめる。セラは澪の肩に手を置いた。
「信じて、澪。迷ってる時間は無いわ」
「……わかりました。アステシアさん、お願いします!」
「承知した」
澪が頷くと、セラとアステシアが契約の儀式を始めた。
魔法陣が展開され、二人の魔力が繋がる。
「契約完了だ」
「さあ、スルナ。コア(羊皮紙)の場所はわかる?」
「は、はい! でも……頭と左胸と右胸をぐるぐると回っています!」
「弱点を絞らせないってことね。厄介だわ」
戦闘が再開した。
セラとアステシアが攻撃を仕掛けるが、ゴーレムは頑強だ。魔法を反射し、物理攻撃を弾く。
最上級魔法ならダメージは入るだろうが、あの長い詠唱が終わるまで大人しくしてくれる奴じゃないだろう。
グラディエルも参戦しようとするが、その剣は震えていた。まともに戦える状態じゃない。
「くっ……せめてグラディエルも万全なら……!」
「我なら回復魔法を使えるが……それでその天使の魔力まで回復するわけではない。
魔力を譲渡したとて、魔力の総量が増えるわけではないからな……」
「なら傷だけ治せ」
「ナナちゃん……?」
「魔力はアタシが補充する」
「アンタ、中級悪魔じゃない。グラディエルの魔力を満たすには足りないわよ」
「当てはある。信じろ」
「セラちゃん。私はナナちゃんが何をする気なのかは分かりません。
ですが……信じてください。きっと何とかしてくれます!」
「……わかったわ。アステシア、お願い」
「承知した」
アステシアがグラディエルに回復魔法をかける。
傷が癒えていくが、魔力は空のままだ。
アタシはグラディエルの前に立った。
※さて、やるか。
(※おい、お前。そこに居るお前だよ。
画面の前で眺めてるお前だ。
これまでお前の為に散々解説してやっただろ? その駄賃だと思え。
魔力なんて持ってない? 心配するな。感情エネルギーで良い。
アタシ達に勝ってほしいって思えば、それを魔力に変換させる。
事態が事態だ。許可は取らないぞ)
アタシは手を前に突き出した。
そして……感じた。
別の世界から流れ込んでくる、熱を伴ったエネルギー。
応援、期待、願い。
そういう感情が、魔力に変わっていく。
「……よし」
深く深呼吸してグラディエルに向き直る。
「おい、天使」
「……何だ、悪魔」
「魔力を譲渡する。緊急事態だ口移しで魔力を送る」
「……やむを得ん」
グラディエルが目を閉じた。
アタシは……本当に嫌々、グラディエルの唇に自分の唇を重ねた。
「んっ……」
魔力が流れ込んでいく。遠くから集まった感情エネルギーが、アタシの中で魔力に変換されて、グラディエルの体を満たしていく。
(クソが……こんな面白味の無い能面天使にキスをする日が来るなんてな……)
アタシは内心で毒づきながら、魔力を送り続けた。
グラディエルも、内心では屈辱だろう。悪魔に助けられるなんて、天使のプライドが許さないはずだ。
だが……今は、そんなこと言ってる場合じゃない。
ようやく唇を離すと、グラディエルの瞳が光を取り戻していた。
「……礼を言う、悪魔」
「言葉よりも行動で示せ。アタシはもう出涸らしだからな」
アタシはそっぽを向いた。
グラディエルが立ち上がり、剣を構える。
その姿は正に威風堂々と言った佇まいだ。
「お待たせ致しました、セラ様」
「ふふ、寝坊しちゃったわね。お互い」
グラディエルがセラの隣に立った。
セラの右にアステシア。左にグラディエル。
上級の悪魔と天使が、セラを挟んで並び立つ。
「さて、反撃開始……って言えれば良いんだけどね」
セラが冷や汗を流して……それでもキメラゴーレムに正面から相対した。
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