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第43話 決着、キメラゴーレムと九重の禁術

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/8 📚 シリーズ: 内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 📝 2,322文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 - 第43話 決着、キメラゴーレムと九重の禁術

本文

澪side

グラディエルさんが復帰し、戦況は少し好転した。

セラちゃん、アステシアさん、グラディエルさんの三人がゴーレムに攻撃を仕掛ける。けれど決定打を与えられない。

問題は羊皮紙だ。あのコアを破壊しなければ、ゴーレムは倒せない。

「くっ、硬い……!」

「三人分の最上級魔法なら倒せるのでは?」

「それは無理よ、スルナ」

セラちゃんが首を横に振る。

「普通に最上級魔法をぶっ放したら、この建物が崩壊する。私達も囚われた悪魔達も巻き込まれるわ」

「じゃあ……」

「私達で一点に集中させた最上級攻撃魔法を、ピンポイントに打ち込むしかないわね。

でも、そのためには呪文を詠唱する時間が必要。どうにかして時間を稼がないと……」

「それなら、私に任せてください」

「澪? でも貴女じゃ……」

セラちゃんが不安そうに見つめる。

確かに、私の魔力ではこのキメラゴーレムを抑えることはできない。

……普通なら。でも、方法はある。

「信じてください」

私はセラちゃんの目を見つめた。

「私は”九重”ですから」

「……!」

セラちゃんの目が見開かれた。そして、ニヤリと笑って頷いてくれる。

「そういうこと……何かすることはある?」

「準備を終えるまで時間を稼いでください」

「時間稼ぎをするために時間を稼げってことね」

セラちゃんがくすりと笑った。

「ふふ、やってやるわよ!」

セラちゃん、グラディエルさん、アステシアさんがゴーレムを牽制し始めた。

その間に私は……

「ナナちゃん、私の腕を切ってください」

「やるのか?」

「はい」

「はぁ……」

ナナちゃんは溜め息を吐いて爪を伸ばした。

「後悔すんなよ」

鋭い爪が私の腕を切り裂く。痛い。だけど歯を食いしばって声は我慢する。

血が流れ出る。私はその血を使って床に魔法陣を描く。

九重家に代々伝わる、防御魔法陣。

私の一族……九重家は、昔の日本で隆盛を誇った防御魔法の名家だった。

戦国時代、多くの人が九重家の防御結界を求めた。

その力は絶大で、どんな攻撃も防ぐと言われていた。

でも時代が変わった。

戦闘は高速化して、入念な準備が必要な九重一族は衰退した。

今ではその血を引く者はほとんどいない。

私もその秘術を使うことを禁じられていた。

九重家の秘術は、使用者の魔力ではなく命を削る。強力な分、代償が大きい。

だから、父も母も、決して使うなと言っていた。

(ごめんなさい、お父さん、お母さん)

私は魔法陣を描きながら、心の中で謝った。

(先祖の人達も、ごめんなさい)

一族の禁を破る。それは、先祖への裏切りだ。

(そして……セラちゃん、ナナちゃん、スルナちゃん……巻き込んでしまって、ごめんなさい)

一族以外でこの術を見た人は……

でも……

それでも私は自分の正義に従う。

間違っているかもしれない。愚かかもしれない。

でも、目の前で苦しんでいる人たちを見捨てることはできないから。

「準備完了しました! 呪文の詠唱を!」

「わかった!」

セラちゃんが頷く。

セラちゃん、グラディエルさん、アステシアさんが最上級魔法の詠唱を始めた。

三人の魔力が共鳴し、空気が震える。

ゴーレムがそれを察知し、こちらを向いた。

口が開き、魔力が集束する。魔砲だ。

「来ます……!」

私は魔法陣の中心に立ち、両手を前に突き出した。

「禁術・九重防壁術――九重障壁展開!」

私の周囲に、九枚の光の壁が現れた。

一枚、二枚、三枚――九枚の障壁が重なり合い、強固な防御を形成する。

キメラゴーレムの魔砲が放たれた。

凄まじい魔力の奔流が、私たちに襲いかかる。

第一の障壁が砕けた。

第二の障壁が砕けた。

第三、第四、第五――

次々と障壁が破壊されていく。

痛い。

体が軋む。魔力が急速に失われていく。

(でも……まだ……!)

第六、第七、第八……

残るは最後の一枚。

「ああああああっ!」

私は叫びながら、最後の障壁に全魔力を注ぎ込んだ。

――そして、魔砲が止まった。

九枚の障壁全てで、防ぎ切った。

「今よ! スルナ、コアは⁉︎」

「頭ですっ!」

「了解!」

セラちゃん、グラディエルさん、アステシアさんの三人が同時に魔法を放った。

三つの最上級魔法が一点に集中し、ゴーレムの頭部を貫く。

ゴーレムの頭が砕け、中から羊皮紙が飛び出す。

そして――炎に包まれて、燃え尽きた。

ゴーレムの体が崩れ落ちる。巨大な金属の塊に悪魔や天使

の体が縫い付けられた異形が床に倒れ込んだ。

「やった……」

力が抜けてその場に膝をついた。

視界がぼやける。体が動かない。

「澪!」

ぼんやりとした視界の中で、セラちゃんが駆け寄ってきた。

「大丈夫……ですよ……」

上手く、笑えているだろうか。

気がつくと、セラちゃんの腕の中にいた。

「澪……! 良かった、目を覚まして……」

「セラちゃん……」

「無茶しすぎよ……」

「ごめんなさい……」

「謝らないで。あなたのおかげで、みんな助かったんだから」

セラちゃんが私を抱きしめた。その温もりに泣きそうになってしまった。

研究所は壊滅。

私たちは囚われていた悪魔たちも解放した。

培養カプセルを破壊し、拘束を解き、魔界への帰還を促がす。

どうしても言う事聞いてくれない人は、グラディエルさんやアステシアさんに睨んでもらったけど。

精霊たちも、結晶化を免れた者たちは自然へと還っていった。

天使たちは傷だらけのまま天界へと戻った。

そして――静寂が訪れた。

私たちは、ガランとした研究所の中に立っていた。

「終わったのね……」

「はい……」

私は頷いた。

でも、分かってる。

今回は現場の暴走。

ヒヒイロカネ計画はまだ続いている。

私たちが戦わなければならない相手は、まだいる。

それでも……今は、この小さな勝利を喜んでもいい筈。

「帰りましょう、セラちゃん」

「ええ」

私達は研究所を後にする。

夜明けの光が静かに疲れた体に降り注いだ。​​​​​​​​​​​​​​​​

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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