第44話 決着! 私達の未来への表紙画像

第44話 決着! 私達の未来へ

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/3/9 📚 シリーズ: 内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 📝 3,171文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

内閣魔導院・魔法生活安全局、対魔法市民支援課の生真面目公務員と皮肉屋悪魔 - 第44話 決着! 私達の未来へ

本文

ナナside

キメラゴーレムの撃破から5日後。

アタシたちはセラの病室を訪れていた。

病室は静かで窓から差し込む陽光が白いシーツを照らしている。

グラディエルが室内の隅で立ち、アステシアは外で警護についていた。

「調子はどうですか?」

澪が尋ねると、セラは背もたれを起こしたベッドに寄りかかったまま苦笑した。

「予想通り、体の一部がヒヒイロカネ結晶になってるみたい」

「ヒヒイロカネが……」

「医者は『体内の魔力が結晶化した物』だと診断してるわ。

ヒヒイロカネは世間に知られてないから、そう判断するしかないわよね」

セラが肩をすくめた。

「魔力は跳ね上がったけど、代償に体調の波が激しくなった。今日は調子がいい方よ」

「そんな……」

「それだけじゃないの。ヒヒイロカネで【隷属魔法】が強化されてしまったみたい。もう、解除できないわ」

「え……あぁ……っ、ごめんなさい、ごめんなさい……! 私の判断ミスです……っ!」

「澪」

セラが涙を流す澪の頬に手を当てて雫を拭う。

「澪になら、いいわ」

「セラちゃん……」

「貴女が私の主人なら、むしろ誇らしいぐらい」

「そんな……!」

「それよりも」

セラが人差し指を澪の唇に当てて言葉を封じる。

「澪、あなた本当に”あの”九重家の末裔だったのね」

「はい……。九重家は昔、日本で隆盛を誇っていた防御魔法の名家でした。

九重姓自体は珍しくありませんが、私の場合は……“その”九重なんです」

「昔の文献で読んだことあるわ。

戦国時代、多くの権力者が九重家の防御結界を求めたって。でも、ある時を境に衰退したとか」

「はい。一族が反政府側についたことで、弾圧されました。

あの時使った奥義は禁術です。かつて反政府側に付いた九重家が使っていた物で……それを使ったとあらば、何をされるか分かりません。

そして、それを見たセラちゃん達も……」

「あの魔法のおかげで助かったんだから、気にしないでいいのよ。私たちはもう一蓮托生でしょ?」

「ありがとう、ございます……」

「うん。あとはアレね。ナナ」

「ん?」

「まさかアンタがあんな大物だったなんてね、ナナ。

いえ、グランルメリア・ナナーギルド?」

「ぐらん……?」

「良く調べたな。この名前を使っていたのは随分昔なんだが」

「※澪の……九重家を調べてる時にちょっとね」

(※恐らく特権を使って極秘資料の類を見たんだろう。コイツはコイツで愛が重いというかストーカーっぽいと言うか)

「その、九重家とナナちゃんに何か関係が?」

「グランルメリア・ナナーギルド……ナナは次元の壁を越える力を持つ魔神だったの。

グラディエルに供給した魔力も別の次元から引っ張ってきたんでしょ?」

「ああ。まあ、調子に乗りすぎてボコられて、今じゃこのザマだがな。

中級程度の力しか残ってない。余りに昔すぎて、今じゃ古い文献にしか残ってないだろうに。

それでまぁ……昔のアタシを退治したのが、九重家だったんだよ」

「えぇ……⁉︎」

「あの時は本気で死ぬかと思った。九重の防御魔法を攻撃に転用する奴が居てな。

防御の極致は攻撃でもある、ってやつだ」

(因果な物だな。今思えば、澪が酔っ払って買った供物ではなく、澪の血の縁で呼ばれたのかもな)

「うぅ、ごめんなさい……」

「別に澪も九重家も恨んじゃいない。中級悪魔生活も気楽で良いもんだしな」

「でも……」

「ナナもそう言ってるんだし良いじゃない。それよりも、聞いてほしいことが……」

セラが何か言おうとした時――

ドアがノックされた。

「失礼する」

重厚な声と共に、一人の男が入ってきた。

高級なスーツに身を包み、威厳のある佇まい。

恐らく政府上層部の人間。

「国家安全保障局次官、柳 俊之だ」

「柳次官⁉︎」

「あぁ、楽にしてくれ。時間は取らせないから。

君たちの活躍は聞いている。おかげでヒヒイロカネ計画は一時中断してしまったがね」

愚痴めいた口調だったが、その表情には敵意はなかった。

「だが、君たちの働きは認めよう。多くの命を救った。素晴らしい働きだった」

「あの、禁術については……」

「把握済みだ。だがそれはこちらで握り潰しておいた。悪いことに使ったわけでもないしな」

「本当にいいんですか……?」

「ああ。しかし、あの術は君の命を削る。あまり使ってほしくはないな」

「はい……」

「なっ⁉︎ そんな事一言も言ってなかったじゃない!」

「す、すみません! ですがあぁでもしないと防げなかったので……

それで、その……本当にお咎め無し、ですか?」

「我らの主義として、君たちを害したり邪魔立てはしない。

しかし、こちらも自分の正義に従ってヒヒイロカネ計画を進めている。

今後も全力で進めるし、君たちの手から逃げ続けるだろう」

「それは……」

「だから、まあ、阻止したいのならば頑張りたまえ。

最高の計画であるヒヒイロカネを阻止するのが、確固たる正義を持つ君たちならば……日本の未来も任せられるからな」

そう言い残して、柳瀬は部屋を出て行った。

「変な人ね。上層部は皆そうだけど」

「だからこそ、ですけど。己の正義に従っているからこそ曲げる事は無いでしょうし」

「それはこっちも同じだけどね」

「ですね。あ、セラちゃん。さっき聞いてほしいことがあるって言ってましたよね?」

「そうそう」

セラが澪の両手を握り、真剣な表情で目を真っ直ぐ見つめる。

「一緒の部屋で暮らさない?」

「え……?」

「元々、情報共有のためにちょくちょく集まってたし、私が捕まった以上は澪も危ないし。

……それに、単純に澪と同棲したいし?」

「ど……⁉︎」

澪の顔が真っ赤になった。

ただ、澪の顔を見る限り満更でも無いらしい。

「か、考えておきます……っ」

「む! ご主人様がセラさんと同棲しても、スルナは吸精は止めませんよ。命に関わるので!」

「私は吸精とか関係なくキスするけどね」

「ちょ、ちょっと……二人とも……!」

セラとスルナがわーわーと言い合い始めた。澪は困った顔でオロオロしている。

「※まったく……ん?」

(※なに? 澪に対してどう思ってるかって?)

※あの時、魔力を分けてくれた存在。お前たちが、話しかけてきたのか。

別にお前達に言う必要は無いだろ?

(※ あーうるさいうるさい! 感情エネルギーを分けた? 説明への駄賃としては高い?)

※くそ、しつこい奴らだな。

(※わかった、わかった! 一度だけ……言ってやる!)

深呼吸して、澪の方を見た。

澪は相変わらず、セラとスルナに挟まれて困っている。でも、その顔は幸せそうだ。

澪は……馬鹿だ。

真面目すぎて、他人のことばかり考えて、自分を犠牲にする。

でもだが、だからこそ、アタシは面白い奴だと思う。

澪が笑ってるのを見るのは、悪くない。

澪が泣いてるのを見るのは、嫌いだ。

澪が困ってるのを見ると、助けたくなる。

※それが……アタシの気持ちだ。満足か?

(※それを澪に言え、だと? 分かった! それを言ったら金輪際静かにしろよ!)

アタシは立ち上がって、澪の元へ歩いて行った。

「おい、澪」

「な、ナナちゃん……?」

「あのな」

くそ、なんでこんな小娘に照れなくちゃならないんだ。

「お前、クソ真面目だが……嫌いじゃない」

「はい……?」

「だから……これからも、アタシの側にいろ」

「な、ナナちゃん……」

「泣くな、馬鹿」

「はい……ありがとうございます」

澪が微笑んだ。

その笑顔を見て、アタシは――少しだけ、心が温かくなった。

……これからも、こいつらと一緒か

セラとスルナが澪に抱きつき、グラディエルが呆れた顔で見ている。

アステシアは……そもそもアタシ達に興味があるのか?

まったく、騒がしい連中だ。

だが、悪くない。

窓の外を見る。

青い空が広がっている。

戦いはまだ続く。

ヒヒイロカネ計画はあくまで一時中断。また再開するだろう。

そして澪もセラもそれに立ち向かっていくんだろう。

それなりに長く生きてきたが……これほど賑やかな時間もそう無い。

だから、まぁ……アタシなりに目一杯楽しむさ。

ジャンル・タグ

, , , , , ,

作品統計

👁️ 閲覧数: 2 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

👥 フォロワー: 8人

作者ページを見る