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第17話 オールスター

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/17 📚 シリーズ: 王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 📝 1,614文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 - 第17話 オールスター

本文

オールスター当日

――同じベンチ、違う鼓動

王都のスタジアムは朝から騒がしかった。

普段の試合とは明らかに違う。

旗。

飾り。

仮設の屋台。

肉の焼ける匂いと、甘い菓子の香りが混ざり合い、通路を満たしている。

祭りだ。

誰もがそれを否定出来ない。

だけど。

空気は、どこか張りつめていた。

⸻

観客は多い。

いつもの試合より、明らかに多い。

ただし。

歓声は、まだ控えめだった。

誰かが拍手をすると、周囲が様子を見る。

誰かが声を上げると、少し遅れて続く。

探り合い。

この祝祭を、どう受け取ればいいのか。

誰もが、測っている。

⸻

選手達は、二つのオールスターチームに分かれている。

三対三。

球団も、種族も、混ざった編成。

魔族投手のバルト選手は、一方のベンチ。

ケンタウロスとのハーフ、マクセルダ選手は反対側。

同じユニフォーム。

同じ帽子。

それだけで、違和感がある。

客席では短い会話が交わされていた。

「……初めてだな、こんな並び」

「だな」

ぎこちない。

でも、露骨な拒絶は無い。

マクセルダ選手が、水を飲みながら楽しげに笑っていた。

⸻

特別席。

エステル様は既にご満悦だった。

「見よイオリ! この串焼き美味しいのじゃ!」

「エステル様、さっきも食べたばかりですよ」

「祭りなのじゃ! 今日くらい良いではないか!」

そう言いながら、手には甘い菓子、もう片方には肉。

「お腹を壊しますから、少し控えてください」

「むぅ……イオリは心配性じゃのう」

頬を膨らませるエステル様。

可愛い。

可愛い、けど。

「……後でジェラルド様に言いますよ?」

「それはやめよ! あやつは怒ると怖いのじゃ!」

慌てる姿に、少しだけ緊張が解けた。

⸻

スタンドの一角。

ルメルーナの旗が揺れる。

「バルト!」

声援が、確かにある。

別の方向。

コナの色。

「マクセルダ、頼むぞ!」

その声は少し戸惑いを含んでいる。

どちらも完全ではない。

でも。

確かに、存在している。

⸻

この日は、勝敗の為の試合ではない。

評価の為の試合でもない。

同じ場所に立てるかどうかを、確かめる為の一日だ。

同じベンチ。

同じ空。

同じ歓声。

異様な空気の中で、

選手達は、確かに肩を並べていた。

試合が始まると、

客席は一層、静かになった。

誰もが様子を見ている。

この試合を、どう見ればいいのか。

⸻

バルト選手がマウンドに立つ。

普段なら、相手チームのファンが多い席。

でも、今日は違う。

同じユニフォーム。

同じ帽子。

「……抑えろよ」

小さな声。

次の瞬間、三振。

「おお……」

拍手が、起きる。

最初は遠慮がちだった。

けれど。

「今の、良い球だな」

「コントロール良いなぁ」

球団名は、呼ばれない。

ただ、今のプレーが語られる。

⸻

次はマクセルダ選手。

打席に立つとざわめきが走る。

普段なら、敵だ。

でも今日は。

「……頼むぞ」

誰かが、そう言った。

打球が、外野の頭を越える。

長打。

スタンドが、沸く。

「よし!」

「行け!」

声が、混ざる。

どこのファンか、分からない。

ただ、同じチームの声援。

マクセルダ選手が塁上で手を上げて。

それに、拍手が返る。

⸻

誰かが笑って言った。

「不思議だな」

「敵じゃないとこんなに見やすい」

別の声。

「……悪くない」

普段は言わない言葉。

今日だから、出てきた。

⸻

好守。

好投。

好打。

一つ一つに、拍手が増える。

まだ、完全な受容ではない。

でも。

拒絶は、この場には無かった。

⸻

静かに息を吐く。

横を見ると、エステル様が身を乗り出している。

「凄いのじゃ!」

「エステル様、身を乗り出し過ぎです」

「むぅ、だって楽しいのじゃ!」

頬を緩めるその顔を見て、

私は、少しだけ笑った。

⸻

夜――寝室

夜。

エステル様はベッドの上でうんうんと唸っている。

「うぅ……」

「だから、食べ過ぎです」

「祭りだったのじゃ……」

小さな声。

私はそっとお腹に手を置く。

撫でるように。

「大丈夫ですよ。少し休めば」

「……イオリ」

「はい」

「今日は……楽しかったのじゃ」

「そうですね」

ゆっくりと、呼吸が落ち着いていく。

異なる者が、同じ色で応援された一日。

その余韻が、静かに夜に溶けていった。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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