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第19話 ドラフト戦略

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/19 📚 シリーズ: 王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 📝 1,659文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 - 第19話 ドラフト戦略

本文

紅白戦は一度きりでは終わらなかった。

定期的に行われるようになり、回を重ねるごとに動きが変わっていく。

声が出る。

連携が生まれる。

そして――

名前が、残る。

⸻

最初に話題になったのはリザードマンの青年だった。

左利き。

投げ下ろす角度が独特で、湿った日でも制球が崩れない。

「雨の日でも同じところに来るな」

誰かが、そう言った。

次は獣人の少女。

外野守備。

一歩目が速い。

打球音がした瞬間、もう走り出している。

「……取れる前提で動いてる」

評価は静かだった。

でも、確実だった。

⸻

そして――

一人誰もが口をつぐむ存在が居た。

ハーフ。

オークの血を引く大柄な少年。

粗い。

振りは大きいし三振も多い。

それでも。

当たった時の音が違う。

「あれは、見ていてスカッとするな!」

誰が言ったのか分からない。

でも、誰も否定しなかった。

⸻

その報告をまとめる。

「候補はもう出始めてます」

エステル様が目を輝かせる。

「ほ、本当か!?」

「はい。まだ荒削りですけど、確かに芽はあります」

ナオがにやりと笑う。

何度見ても腹の立つにやけ顔だ。

「揉めるねぇ?」

「うん。だからこそ先に説明しないと」

⸻

王都。

各チームの代表が集まる。

議題は、一つ。

ドラフト制度。

資料を机に置く。

「このリーグでは完全ウェーバー制を採用します」

ざわめき。

「つまり前季成績の下位から指名権を持ちます。戦力均衡の為です」

誰かが腕を組む。

「……つまり、強いチームはドラフトでは不利になる」

「はい。これは国が運営するリーグです。

 勝ち続けるチームを作る為ではなく、長く続くリーグを作る為の制度です」

ラピッドファングの代表が肩をすくめる。

「納得はする。勝ってる側まで良い奴を独占しちゃあ、な」

ルメルーナの代表は静かに頷いた。

「ドラフト以前の振り分けでバルトが来た以上、文句は言えないな」

王都側は少し苦い顔。

それでも。

「……説明は、筋が通っている」

完全な賛成ではない。

でも、拒否も無い。

⸻

会議が終わる。

ふぅ、と一息つく。

ドラフトはまだ先だ。

でも。

もう、目は向けられている。

名も無いアマチュア達が名を呼ばれる日へ。

物語は次の段階に入った。

⸻

各球団の執務室では、同じような光景が広がっていた。

紙の束。

簡易な成績表。

走り書きの評価。

「即戦力は要らん。将来性だ」

そう言うのは、勝っているチームの代表だ。

戦力に余裕があるからこそ、数年後を見据えられる。

一方で、下位に沈む球団は違う。

「一年目から使える選手が欲しい」

「客を呼べる顔だ」

勝てない時間が長いほど、焦りは強い。

けれど、完全ウェーバー制は変わらない。

その事実が、思惑をより露骨にした。

⸻

選手達は静かだった。

誰もが自分の名前が呼ばれるかどうかを考えている。

リザードマンの青年はグラブを磨いていた。

左腕は、評価されている。

それは分かっている。

でも。

「……都会に行くのか」

小さく、呟く。

故郷を離れる不安が、胸をよぎる。

⸻

獣人の少女は黙々と走っていた。

呼ばれたら、離れる。

呼ばれなければ、ここに残る。

どちらでも良い……そう思おうとして、

出来なかった。

⸻

オークの血を引く少年は夜遅くまで素振りを続けていた。

三振の数も

囁かれる評価も

全部、知っている。

それでも。

「……当たれば、全部ひっくり返る」

自分に言い聞かせるように、振る。

⸻

コーンウォリスの外れ。

畑を耕す手が、少しだけ止まる。

「行く事になったら……止めはしない」

そう言う親も居れば。

「危ない所じゃないのか?」

不安を、隠せない家族も居る。

特に魔族やハーフの家庭では。

指名される事は誇りであり。

同時に、晒される事でもある。

⸻

エルフの長老は静観している。

評価されるなら、それで良い。

ただし、数字だけで測られる事には未だ、距離があった。

獣人達は実力主義。

「勝てるなら、誰でも良い」

それが本音。

オークの集落では期待の方が大きい。

「あの子が行くなら胸を張れる」

⸻

資料を閉じる。

このドラフトは誰かの人生を変える。

救う事もあれば、迷わせる事もある。

それでも。

やらなければ、

前には進まない。

「……選ぶんじゃない。繋ぐんだ」

誰に聞かせるでもなく、そう呟いた。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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