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第20話 灼熱の夏

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/20 📚 シリーズ: 王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 📝 1,829文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

王女の一言から始まる、異世界野球リーグ設立奮闘記 - 第20話 灼熱の夏

本文

季節は確かに進んでいた。

太陽は高く、照り返しは強い。

スタジアムの空気は重く、試合前の準備運動だけで汗が噴き出す。

それまで当たり前のようにグラウンドに立っていた主力達に、少しずつ影が差し始めた。

走塁の切れが鈍る。

集中力が一瞬だけ途切れる。

ベンチに戻る背中が、わずかに重い。

「……休ませた方が良いな」

監督の声は低い。

無理をさせれば、取り返しがつかない時期だった。

⸻

そして、呼ばれる。

これまで控えだった選手達の名前が。

躍動する。

暑さを苦にしない選手達が。

最初に目立ち始めたのはドワーフだった。

元々、鍛治の種族。

炉の前に立つ仕事を続けてきた身体は、暑さを敵としない。

投手としてマウンドに立てば、変わらずその鉄腕を発揮する。

球速は突出していない。

変化も派手ではない。

それでも。

「まだ投げれるか?」

捕手が声を掛ける。

「問題ない」

短く、それだけ。

回を重ねても、腕は落ちない。

呼吸も乱れない。

鉄のような安定感がベンチを落ち着かせた。

⸻

リザードマンは、むしろ今からだと言わんばかりだ。

蒸し暑さが増すにつれて、動きが良くなる。

鱗に汗は浮かばない。

呼吸も一定だ。

投打共に、動きのキレが増している。

「この時期にこんなに安定するのか」

解説席が驚きを隠さない。

観客も少しずつ気づき始める。

暑さで落ちる選手と、

暑さで上がる選手が居る事を。

⸻

ベンチスタートだった選手が好投する。

守備固めの選手が試合を締める。

拍手が起きる。

最初は控えめだった。

けれど、それが勝利に繋がると、変わる。

「よく耐えた!」

「ナイス!」

主力ではない。

スターでもない。

それでも、必要な選手として認められた瞬間だった。

⸻

私は静かに見ていた。

エステル様はアイス(エステル様の強い要望でヴァルドハイムにノウハウを持ち込んだ)を食べながら観戦。

「新しい選手が出てきたのぅ」

「はい。主力の衰えや不調で、代わりに抜擢された選手がチャンスを掴む……そういう事はこの先も起こり得るでしょう」

「ふむ……」

エステル様は更にアイスを一口。

分かっているのかいないのか。

取り敢えず、分かりやすく伝えるには……

「積み重ね、ですね」

⸻

シーズンは、長い。

最初に輝いた者だけでは走り切れない。

耐える者。

支える者。

ここぞで応える者。

それらが、勝敗を分け始めている。

観る側の目も少しずつ変わっていく。

夏は選手だけでなく、リーグ全体を成長させていた。

⸻

それは、ある日の酒場から始まった。

試合の無い夜。

客の多い店で、ひそひそと交わされる声。

「明日……ルメルーナが勝つ」

「そろそろマクセルダも打たない日が来るだろ」

笑いながら金貨が動く。

最初は誰も気にしなかった。

勝敗を予想する程度ならどこにでもある、と。

でも。

私は、野球が賭け事に使われる事を許容出来なかった。

⸻

調査を頼んだ。

結果は限定的。

選手達は関与していない。

あくまで外部の人達が予想して行っていただけ。

それでも。

「もし……知らないだけで選手が関わってたら?」

その言葉が、重く残った。

⸻

上層部の会議室で告げた。

「賭け事は禁止します。何事も、例外無く」

反発はあった。

「熱が冷める」

「金が動かなくなる」

「野球は勝負です。信用が無くなったら終わりです」

その言葉にエステル様も頷いた。

「我も……それは嫌じゃな」

決定は早かった。

⸻

近頃王都の街角に、見慣れない人が増えていた。

他国の服。

見慣れない種族の人も居る。

「本当に魔族が投げてるのか?」

「獣人の走塁が見たい」

外国からの観光客だった。

かつて、別の勇者が野球を広めた国々。

彼らにとって、ここは新しい舞台だった。

スタジアムの客席は少し賑やかになる。

拍手のリズムも少し違う。

でも。

好プレーには、同じように沸いた。

⸻

問題はすぐに浮上した。

「選手は?」

「外国人は入れるのか?」

このリーグは融和を目的にしている。

だからこそ慎重だった。

議論の末決まった。

来季から。

制限付きで、外国選手の入団を認める。

人数制限。

育成枠。

登録条件。

「この国のリーグである事は、変わりません。でも、閉じる理由もありません」

⸻

スタジアムでは更に多くの歓声が上がるようになった。

最初は、戸惑い。

次に、好奇心。

そして。

「今のは、上手いな」

種族も、国も関係なく。

その一言が増えていく。

⸻

特別席でエステル様は満足そうに足を揺らした。

「世界は広いのう」

「はい」

「……うむ」

こちらを見て、笑う。

「我らがヴァルドハイムのリーグじゃ」

その言葉は無邪気で、誇らしげだった。

リーグは思った以上の速さで、外へと繋がり始めていた。

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作者について

生獣(ナマ・ケモノ)

生獣(ナマ・ケモノ)

ほのぼのな百合も過激な百合も好き。

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