新婚旅行とフィールドテスト、ついでにクーデター④

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/4/23 📚 シリーズ: ラブコメはエンドロールのあとで~転生した元大賢者はn週目の人生でラブコメするようです~ 📝 2,847文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

これは、すでに終わった悲恋(ラブストーリー)の、幸せな続きである。 大賢者の物語も、世界を変えた魔導革命も、前世で愛した女性との別れも――全部、とっくに終わっている。 結果として、大賢者は最愛の妻を救えなかった。 恋をした、ただ一人のために世界を一変させた。だが、どうでもよかった。 得た権威も、名誉も全て、彼女を救うためにやったことだ。 それでも世界は残酷だった。 もう少しで彼女を救えたのに。なのに、間に合わなかった。 大賢者は最愛の妻を救えなかった。それでこの作品(本編)は終わりを迎えた。 だが、物語とは時に残酷なもので。どうやらこの世界は、バッドエンドで終わることを許さないようだ。 妻を救えなかったとしても。彼女の後を追って転生したとしても、この世界は終わらない。 そう――これは、その続きの話(後日譚)だ。 転生した元大賢者、ノルン・ウォルフラーレンは今日もラブコメをする。 前世チートで華麗に研究をこなすと思いきや、素人質問でたじろいだり。 帰宅すれば再会した前世の妻に膝枕される。と思いきや、些細な事でシバかれて逃げ出したり。 翌朝には娘たちにたたき起こされ、振り回される。 かつて世界を震撼させた伝説の賢者の末路がこれである。 この作品に大きな事件は起きない、世界の危機も訪れない。 ただ、何気ない日常のワンシーンをひとつひとつ切り取って並べただけの、ラブコメ風の短編集だ。 前世の物語なんて知る必要はない。少なくともこの世界では、もう終わったことなのだから。

本文

 次に気がついたとき、ノルンは雪の上に倒れていた。

 全身が痛かった。特に左腕。

 切り傷が開いていて、雪が赤く染まっている。

「間に合ったか……」

 少女の呼吸を確認する。

 浅いが、辛うじてある。

 周辺は森だった。

 深い針葉樹の林が続いている。雪が音を吸い込んで、静かだった。

 帝都の喧騒が、別世界のことのように遠い。

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 報告:転送術式トランスポートの実行完了。誤差50メートル以内。

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「上出来だ」

 少女を雪の上に横たえ、まず自分の左腕に布を巻いた。

 上着の裾を破って即席の止血帯を作る。粗末なものだが、今はこれで十分だ。

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 報告:回復術式キュアーの構築完了。実行しますか?(y/n)

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 回復術式を実行して、ようやく全身の痛みが治まった。

 あとは国境間にある、転移阻害の結界を超えれば安全だ。

 ノルンは少女を抱きかかえ、国境を目指す。

 ノスティア王国領内に入ったところで、少女が目を覚ました。

「目覚めたか」

 ノルンが声をかけると、少女は一瞬硬直した後にノルンの腕を振りほどきその場に怖気づいた。

「大丈夫だ、俺は味方だ」

 ノルンが敵意の無さを示すように両手を上げる。

「あ……貴方は……?」

「ノルン。ノルン・ウォルフラーレンだ」

「ノルン・ウォルフラーレン様……」

 少女はうろ覚えのようにその名を呟き、それから自分の胸元に手を当てた。

 ドレスは裂け、胸部が鮮血に染まっている。だが、先ほどまで自分を苛んでいた焼けるような痛みは消えていた。

「傷が……治っている……?」

「応急処置だ。まだどこか痛むか?」

 ノルンが問いかけると、少女は困惑したように黄金の獣耳を震わせた。

「貴方は、お医者さま……なのですか?」

「なに、通りすがりの一般人だ。医師ではない」

 ノルンはそう言って、遠くに見えるリースフィリア皇国の方向に視線を向けた。

 あちら側では、未だに黒煙が上がり、カルヴァン将軍が引き起こした騒乱の余波が続いている。

「君の安全は確保した。ようこそ、ノスティア王国へ」

「助けてくれたの、ですか……?」

「助けたのは単なる結果論だ、成り行きと言うべきかな」

 少女は力なく、しかし縋るような瞳でノルンを見上げた。

 彼女が纏っているのは、血と煤に汚れ、無惨に裂けた豪奢なドレスだ。

 先ほどまで帝都の王宮で起きていた惨劇――カルヴァン将軍によるクーデターの激しさを物語っている。

「さて、君を助けて安全を確保したところまではいい。問題は……これから、どうするかだ。もし行くあてがあるのなら、そこまで送ってもいいんだが……」

 普通に考えて、彼女をリースフィリア皇国に帰すのは危険すぎる。

 カルヴァン将軍も老竜も倒せていない。

 そんな状況で帰したら、今度こそ確実に殺されるのは明白だ。

 ノルンの問いに、少女は震える唇を噛みしめ、絶望に染まった顔で力なく首を振った。

「……ありません。きっとお父様もお母様も、あそこで……。私は、死んだことになっているはずです」

 黄金の獣耳が、心細げにぐったりと伏せられる。

 彼女の立場は、ノルンが詳しく聞くまでもなく察しがついた。

 帝国の高位貴族、あるいは皇族に近い血筋。カルヴァン将軍が実権を握った今、彼女の生存が公になれば、間違いなく消される。

 ノスティア王国に逃げ込んだと知れば、国境を越えて刺客が放たれる可能性すらあった。

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 推測:対象の生存が発覚した場合、リースフィリア皇国新政権による越境追跡、および外交問題に発展する確率は99.7%

 推奨:秘匿性の高い場所での保護、および偽装身分の付与を強く推奨

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「秘匿性、か……」

 AILICEの淡々とした回答が、ノルンの思考を後押しする。

 助けた以上、ここで放り出して死なせるのは自分のポリシーに反する。かといって、公的機関に預ければ、その瞬間に彼女の正体が露見するだろう。

「……一つ、提案がある。乗りかかった船だ、俺の家に来ないか」

「え……?」

「俺はこの国で魔法の研究をしているんだが、研究に没頭するあまり家事は全部妻任せなんだ。幸い、俺の家はそれなりに広いから、今度、住み込みでメイドを雇おうと考えていて……まあ、細かいことはいい。君の正体を知る者がいない場所で、別の誰かとして生きるなら、将軍の目も誤魔化せるだろう」

「私を……匿ってくださるというのですか? 見ず知らずの私を……」

「言っただろ、成り行きだ。それに……ここで見捨てるのは俺としても気が引ける」

 少女は戸惑い、迷うように視線を彷徨わせたが、やがて決意したように小さく頷いた。

「……お願いします。貴方に、この命を預けます」

「決まりだな。名前を聞いてもいいが……今はやめておこう。君が何者でもない方が、今の君にとっては安全だろう」

 ノルンはそう言って立ち上がり、自分の上着を脱いで少女の肩にかけた。

 大人の男ものであるそれは、華奢な彼女の身体をすっぽりと包み込み、ボロボロになったドレスと鮮血を覆い隠した。

「当面の間、君は俺のメイドだ。世間にはそう説明する。それでいいな?」

「はい……ノルン様」

 少女は震える手で、まだ温もりの残る上着の襟をぎゅっと握りしめた。

「さて、ティーにどう説明するかな……」

 帝国軍の追手や老竜の脅威よりも、今は『新婚旅行の途中に、血まみれの見知らぬ美少女を連れて帰った自分』をティファニアにどう説明するかという問題の方が、ノルンにとってはるかに難問だった。

(AILICE、言い訳のパターンをAからZまで用意しておけ。特に、ティーの機嫌を損ねないやつを最優先でな!)

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 最適解の検索を開始……健闘を祈ります、マスター

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 雪原に二人の足跡が刻まれていく。

 こうして、世間的には「死んだはずの皇女」と「変わり者の魔法研究者」の、奇妙で騒がしい主従関係が幕を開けた。

 ◆◆◆

「——それが、お前と初めて言葉を交わした日の話だったな」

 書斎に、ノルンの声が静かに落ちた。

 セレスティアはしばらく何も言わなかった。

「覚えていてくださったんですね」

「覚えてたわけじゃない。記憶しているのはAILICEだ」

「それでも、話してくださるのはノルン様だけですよ」

 ノルンは日記から目を上げなかった。

「あのとき助けてもらえなかったら、今日のコーヒーもなかったですね」

「そうなるな」

「冷めないうちにどうぞ」

 ノルンが日記を閉じた。 コーヒーカップに手を伸ばす。

 一口飲んで「……うまいな」とだけ言った。

 セレスティアが小さく笑う。

「ありがとうございます、ノルン様」

 窓の外で、桜の木が揺れていた。

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作者について

てぃむ

てぃむ

アイコンはchatGPT作です。 カバー画像は昔やりこんでいた某RPGの公式から。 

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