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配信43回目 体育祭前夜の噂が全部同じ場所に収束する

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/5/1 📚 シリーズ: 影森ゆらは今日も死ぬ ――死後も無理やり働かされます 📝 7,317文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

影森ゆらは今日も死ぬ ――死後も無理やり働かされます - 配信43回目 体育祭前夜の噂が全部同じ場所に収束する

本文

学校の怪異噂を集めたら、全部同じ方角を指していた。

 配信で視聴者に謎解きさせたら、コメント欄が先に答えを出した。

 答えが出たのに、全然よくなかった。

*   *   *

 体育祭前日の学校は、独特のテンションをしていた。

 廊下ですれ違うたびに「明日の順番どうする」「リレーのアンカー誰」「天気は?」という声が飛び交い、掃除の時間が終わっても誰も帰ろうとしない。クラスごとにざわざわと固まって、何かを相談したり揉めたりしている。

 こういう空気は嫌いじゃない。普通の学校の普通の放課後だなと思う。ただの女子高生として、体育祭を楽しみにしていられる。そういう自分が、半年前までは当たり前だったはずなのに。

「ゆらちゃん、明日のパン食い競争、出るぅ?」

「出る。てか出ないと変なバイト先にバレる」

「バイト先?あ~」

 夜宵やよいるなが目を丸くした。相変わらず顔が小さくて、そこだけ切り取ったら中学生みたいだ。

「あそこ、配信もしてるし。うちの学校の体育祭が映ったら恥ずかしい。ていうか絶対ツッコミ入れてくる」

「それって」

「やめろ、考えたくない」

「あの人、顔いいよね」

「やめろって言ってる」

「インスタムで見たことある」

「見るな見るな。いいのは顔だけだぞ」

 白澤しらさわ幽々ゆゆがちょっとだけ笑ってから、「でも本当に、今週は怪異噂が多くない?」と言った。

「多い?」

「うん。ちょっと集めてたんだけど」

 幽々が手帳を取り出す。この子は本当に、情報管理だけは異様に几帳面だ。

「体育館裏で変な光を見た、って子が三人。東棟のトイレの鏡が曇って顔が変だった、って子が二人。校舎の東側の窓から夜中に誰かが歩いてるのを見た、って話が一件。あと昨日の夕方、外周フェンス沿いで誰かに呼ばれた気がした、って子が一人」

「……それ、全部今週?」

「全部今週。三日間で」

 るなが「こわぁ〜」と言いながらコンビニ袋からポテトを取り出した。どこで買った。

「体育祭前だから敏感になってるだけとか?」

「かもしれない。でも、多い。質も違う」

「質って」

「目撃場所が、全部、学校の東側に寄ってるの。体育館裏が東側でしょ。トイレも東棟。校舎の窓も東側。フェンスも。全部、同じ方角を指してる」

 私は立ち止まった。

「全部?」

「全部。何かがそこにある気がして、でも何なのかが分からなくて」

 るなが「焼きそばとたこ焼き、おなじくらい好きだから選べないんだよねぇ」と的外れなことを言った。幽々と顔を見合わせた。

「るな、今の会話に参加してた?」

「してたよぉ、怖い話でしょ? おなかすく〜」

「そういう性質なんだ」

 幽々が手帳を閉じながら、「これは体育祭前に動いたほうがいい気がする」と言った。その声が少しだけ低かった。

―――

 事務所についたのは、その日の夜だった。

「全部同じ方角に寄ってる?」

 夜見よみ朔夜さくやが机の上に学校の地図を広げた。私が持ち込んだ手書きのメモと、幽々のスマホに保存してあった写真を並べて、黙ったまま確認している。その隣で毒島ぶすじま真琴まことがノートPCを開いて、何かを打ち込んでいた。

「体育館裏、東棟トイレ、東側校舎二階窓、外周フェンス東。全部、この角度で線を引いたら一点で交わる」

 朔夜が赤いペンで線を引く。四本の線が、体育館裏のさらに奥の一点で交差した。

「……一点に集まってる」

「目撃情報だけだと断定はできないが」

「まさにこれモキュメンタリーじゃないですか」

 真琴が言った。

「情報が収束するタイプの怪異。複数の無関係な目撃情報が全部一箇所を指してるやつ。最近ユービュー動画でも流行ってます。チャンネル登録者数の多いところがやると跳ねますね」

「目撃情報が増えてるから、今配信すると伸びる。てことを言いたいの?」

「体育祭前日のピーク時に合わせて配信すると、視聴者参加型の謎解き企画として成立します。地図を見せて、情報を整理して、答えを視聴者と一緒に探す。モキュメンタリー的な演出として使えます」

「……それ、怪異が育ってる最中に燃料を足す話では?」

「伸びます」

「伸びますって――そういう話じゃないよ!」

 朔夜がペンを置いた。

「視線収束型だ」

「え」

「複数の人間の意識と視線が特定の場所に集中し続けた結果、そこに何かが育ち始める。噂を聞いた人間がその場所を意識するから、さらに意識が集まる。自己増幅型の怪異の発生パターンだ」

「噂が怪異を産んでるってこと?」

「正確には噂が引き金だ。元々境界が薄い場所があって、そこへ視線と意識が集中した結果、怪異が育ちやすい状態になった。体育館裏は以前から妙な場所だったんだろう」

「じゃあ、今夜動かないと」

「明日、体育祭本番で数百人が学校に集まって全員であの場所を意識したら、一気に完成する可能性がある」

 ぬいが机の端で丸まっていたのを起こして、地図をじろりと見た。

「育ちかけとる。今夜のうちに潰さないと、明日は本物になる」

「私の体育祭前夜が終わった......」

「バイト代は出る」

「そういう話でもない!」

 真琴がPCから顔を上げる。

「配信タイトル決めました。『【体育祭前夜】全ての怪異噂が一点に収束する学校、実際に行きます』。検索流入が見込めます」

「煽あおりすぎでしょ」

「体育祭ワードで検索流入が二割増しになります。配信時間は二時間想定。途中でリスナー参加型の謎解きパートを入れると離脱率が下がります」

「数字で語るな! 怪異の話してるんだけど!」

「数字がないと配信維持費が出ません」

「そこだけ返事が早い」

―――

 配信が始まった。

 タイトルは真琴の案がそのまま採用された。朔夜は特に修正しなかった。私の抗議は完全に無視された。

 配信開始から三分で、コメント欄が動き始めた。

《体育祭前日に何やってんだ》

《ゆらちゃんの制服だー》

《JK最高》

《JKじゃなくて案件の話をしろ》

《地図見せてほしい》

《モキュメンタリー系じゃん》

 朔夜が地図をカメラの前に出した。目撃情報の位置と、線の交差点が書き込まれたやつ。

《あ、収束してる》

《4点から線引いたら全部同じとこ通るじゃん》

《体育館裏の北東角では?》

《俺の地元でも同じ現象あった》

《全部同じ方角に向いてる、情報収束型だ》

《謎解き始まったぞ》

「謎解き始まってる」と私がモニターを指さすと、

「想定通りです」と真琴が言った。

「視聴者の謎解き参加率は、地図を見せた瞬間から上がります。情報をオープンにすることで、視聴者がリサーチャーとして機能します」

「怪異の謎解きを視聴者に外注してるんだ」

「効率的です。お金もかからないし」

「なんか嫌な大人の世界」

 朔夜がコメント欄を流し見ながら、「北東角、合ってる」と静かに言った。

《当たった?》

《じゃあ次は現地行くじゃん》

《怪異が育ってたりして》

《育ってたら笑えない》

《笑えないのに見たい》

「笑えないのに見たい、ってどういう感情なの」

「コメント欄はそういうものです」と真琴が言った。「笑えなくて見たいものほど再生数が伸びます」

「教えなくていい情報だよ」

 朔夜が立ち上がった。

「行く」

「やっぱり」

「今夜のうちに潰す。早いほうがいい」

「真琴さんは?」

「配信管理はここでやります。現場は体調崩すので。コメント欄は全部見てます」

「ありがとう」

「ゆらちゃんの悲鳴、タイムラグなく拾えるようにしますね」

「私の悲鳴前提にするな!」

―――

 夜の学校は、昼とは別の建物だ。

 昼間の喧騒ざわめきが全部消えて、廊下が長くなる。体育祭の準備で出しっぱなしになったゼッケンや得点板が、非常灯ひじょうとうの薄明かりの中でシルエットになっている。ロープやテント用のポールが壁に立てかけてあって、暗いところだとそれが人が立っているみたいに見える。

 最近ネットで知ったけど、人間は三つの点があるだけで顔に感じるシミュクラ現象んだって。――これはどうでもいいか。

「こういう時間の学校、初めて来た」

「そうか」

「怖い」

「それはそうだろう」

「もう少し共感してくれても、いいんですけど?」

「慣れろ」

「こんなのに慣れるかよ!バカ」

 ぬいが肩の上で耳を立てた。

「静かじゃ。でも、静かすぎる」

「静かすぎると何が問題なの」

「音がないんじゃない。聞・こ・え・な・い・んじゃ」

「……意味が違うの?」

「違う。空気が音を吸っとる。東側だけ、音の質が変わっとる」

 体育館の横を通った。昼間は生徒の声が響いているはずの空間が、今は完全に沈黙していた。体育館の壁に手を触れようとして、やめた。触らないほうがいい気がした。

 体育館裏へ回り込む。

 そこは、整然とした空間だった。体育祭の準備用のカラーコーン、折りたたんだテント、紐で束ねたポール。明日の本番のために並べられた備品が、非常灯に照らされて影を作っている。

 普通だ。怖いものは何もない。

 なのに。

「……なんか、見られてる」

「見られてるな」

 朔夜が静かに言った。

「何かいる?」

「いる。正確には、いようとしてる」

「いようとしてる?」

「視線が収束する場所に生まれる怪異は、最初から実体を持たない。人間の意識が集まった密度そのものが怪異の素体になる。今のこの場所の密度は、触れるぎりぎりのところまで来てる」

《ゆらちゃんの顔色が変わった》

《何もないのに怖いな》

《配信越しでも変な感じする》

《みんな今この場所を意識してるな》

《視聴者も加担してるじゃん》

《ごめん》

《ごめんなさい》

「コメント欄が謝り始めた」

「感情移入率が上がってます」と真琴の声がイヤホン越しに来た。

「そういう場合じゃないって」

「数字が伸びてます」

「だからそういう場合じゃない!」

 朔夜が護符ごふを構えた。

「影森、北東角の中央に立て」

「なんで私が中央?」

「お前は霊的な感度が高い。視線が集まる中心に立つと、怪異が先にそっちへ向く。その間に封印処理を組む」

「なんだそれ、完全に囮じゃん」

「囮だ」

「毎回そうじゃん」

「毎回そうだ」

「事前に言え!」

「言ったら嫌がるだろう」

「嫌だから先に言ってほしいんだよ!」

 ぬいが「夫婦漫才しとらんで、早くせんと育つぞ」と言った。

 私はため息をついてから、カラーコーンとテントの間、体育館裏の北東角のほぼ中央へ歩いた。

 足を踏み入れた瞬間、空気が変わった。

 重い。重いというか、濃い。空気に密度がある。息を吸うたびに肺の中に何かが詰まってくるみたいな感覚。体の外側から圧がかかっている。

 見られてる。さっきより、ずっと近く。

《あ、ゆらちゃんの表情が変わった》

《何かいる》

《配信見てる俺たちも今この場所を意識してるな》

《育てる側に回ってたんじゃないか》

《ごめん》

「コメント欄が正解を言ってる」

「視聴者の感度は高い」と朔夜が言った。

「それって視聴者も意識を向けてるから、今この瞬間に怪異が育ってることにならない?」

「……なる」

「配信しながら封印するの、構造的に最悪じゃない?」

「止めたら止めたで残った視聴者の意識が余計なことをする。だから早く終わらせる」

 朔夜が"収益変換"マネタイズの光を起動した。白い、少し金色がかった光が護符ごふから広がって、体育館裏の空気をじわりと圧する。

 ぬいが低く唸った。

「来るぞ」

「何が」

「視・線・が、まとまる」

 それが聞こえた瞬間、頭の奥に圧が来た。

 人の視線の圧じゃない。意識の集積だ。何十もの、何百もの、この場所へ向けられた意識が一点に凝縮されて、私を中心に収束する。怪異の密度に、私の霊的な感度が共鳴している。

「っ、」

 足に力が入らなくなる。膝ひざが折れそうになる。体の芯が外から引っ張られる感覚。向こう側へ引かれているんじゃない。この場所の核へ、この怪異の密度の中心へ向かって、体の輪郭りんかくが溶けていく。

「朔夜、」

「待て、あと少し」

「あと少しってどれくらい...!?」

「黙れ、術が崩れる」

「崩すな、速くして!」

 視界が二重になった。体育館裏の夜の景色と、もう一枚別の景色が重なる。全方向から、目が見ている。輪郭のない、実体のない、でも確かに「見ている」圧だけがある何かが、私を中心に無数に集まっていた。

「あ、だめだ、これ――」

 次の瞬間、足元が消えた。

 立っているのに、立っていない感覚。体の重さが消えて、でも落ちていない。ただ、輪郭だけが薄くなっていく。この場所の「密度」に溶け込もうとしている。

「っ、朔夜——」

「影森!」

 術式の光が一気に広がった。でも私の体の感覚は、もうそれより先に——

     ◇

 今回の向こう側は、静かな場所だった。

 明るいわけでも暗いわけでもなく、ただ、音がなかった。学校の体育館裏、のはずなのに、体育祭の備品も非常灯もコーンも何もない。ただ、白くも黒くもない薄灰色の、何もない空間がある。

「また来た」

 独り言が吸い込まれる。反響しない。音が届かない場所だ。

 全方向から、視線がある。上にも下にも横にも。でも見ている「何か」の実体はない。意識だけが詰まった場所。実体のない「見ていること」だけが積み重なった空間。これが視線収束型の怪異の内側だ。

 ぞっとした。怖いとか痛いとかじゃない。ただ、見・ら・れ・て・い・る・ことだけがある場所が、怖い。

「……早く帰りたい」

 その次の瞬間、白い光が走った。

 "境界切断"ボーダー・カットの光だ。空間が割れる感触があって、そのまま——

―――

「っ、はっ——」

 息が戻った。

 地面が冷たい。体育館裏のコンクリートの冷たさが、顔の横から伝わってくる。転がっている。

「影森」

 朔夜の声。遠くもなく、近くもなく、いつもの距離だった。

「生きてる」

「……生きてる」

「封印処理は通った。今夜のうちに収束する」

「よかった」

 私はゆっくり起き上がろうとして、気づいた。びしょ濡れだ。

「あれ?私、なんで濡れてるの」

「向こう側の空間が水気を持っていた」

「何それ」

「知らん。そういう怪異だった」

「知らんで済ますな!知れよ!」

「済む。着替えは事務所に戻ってからしろ」

「明日体育祭なんだけど」

「関係ない」

「関係あるよ! 濡れたまま朝になったら風邪引く! 私の! 体育祭が! 台無しに!」

「生きてるだけましだ」

「そこだけ正論言うな!」

 ぬいが肩の上でぬくぬくしながら「無事でなによりじゃ」と言った。こいつだけ常に乾いている。不公平だ。

 イヤホンから真琴の声が来た。

「封印完了確認できました。コメント欄が落ち着いてきています。オフショット撮れそうですか」

「この状態で? びしょ濡れで?」

「再生数伸びます」

「もう、伸びなくていい!」

 それでも配信カメラを向けられて、私はびしょ濡れのまま「体育祭、無事に終わりますように」と言った。コメント欄が《笑》で埋まった。

《ゆらちゃんなんで濡れてるの》

《そっちが気になる》

《どんな怪異だったの》

《次の体育祭ちょっと怖くなった》

《北東角には近づかない》

《良い体育祭を》

「『良い体育祭を』って言ってくれてる。普通にありがとうって感じがする」

「それで十分だろう」と朔夜が言った。

 配信を閉じようとした、その時だった。

《え、今の映像の右端に映ってる人、紅坂ミリアじゃない?》

 コメントが流れた。

「は?」

《フェンスの向こうに配信機材持ってる人いる》

《本当だ》

《夜見さんの配信と時間被ってる》

《向こうも体育祭ネタだったの?》

《コラボしてほしい》

《夜見さんとミリアって知り合い?》

《関係教えて》

 真琴の声が来た。

「配信の三十七分十二秒、ゆらちゃんが体育館裏から戻った際の映像、右端のフェンス越しに人影が映っています。配信機材と思われる機器を持っています。この学区で同時刻に怪異系配信をしていたアカウントは、紅坂ミリアさんのチャンネル一件のみでした」

 私は朔夜を見た。

 朔夜は配信モニターを一瞬だけ見て、それから何も言わなかった。

「……ミリアとコラボしなくてよかったの?」

「黙れ」

「それしたかったってことじゃん」

「黙れ」

「コメント欄がすごい勢いで聞いてるんだけど」

「黙れ」

「朔夜が三連続で同じこと言ってる、史上初じゃないかな」

「閉じろ、真琴」

「閉じます。お疲れ様でした」

 配信が終わった。コメント欄が《謎が増えた》で埋まったまま閉じた。

 私はびしょ濡れのまま夜道を歩きながら、明日の体育祭だけは晴れてほしいとだけ思った。向こう側が水っぽかったのは今週の雨のせいだと思うことにした。理由なんて何でもよかった。ただ、明日が晴れてほしかった。

*   *   *

■ 今回の登場人物

・影森かげもりゆら

 体育祭前夜に案件を持ち込まれ、びしょ濡れで帰宅した。向こう側が水っぽかったのは怪異の都合であり、本人は明日のパン食い競争に予定通り出る気でいる。

・夜見よみ朔夜さくや

 「黙れ」を三連続で使ったのは今回が初。配信の端に映った人物について何も言わなかった。言わなかったことが全部だった。

・ぬい

 体育館裏の異変を最初に「音が聞こえない」と感知した。今回も帰り道で銭原の口調うつりが再発していた。

・毒島ぶすじま真琴まこと

 今回の配信を視聴者参加型の謎解き企画として設計した張本人。「体育祭ワードで流入二割増し」「悲鳴はタイムラグなく拾えるようにします」など随所でやや怖い仕事人ぶりを発揮した。

・紅坂べにさかミリア(映像の右端に一瞬だけ)

 配信の三十七分十二秒、フェンス越しに配信機材を持ったシルエットが映り込んだ。同学区で同時刻に怪異系配信をしていたアカウントは本人のみ。朔夜との関係についてコメント欄が大騒ぎしたが、朔夜は何も言わなかった。

■ 今回の怪異について

 今回の怪異は**視線収束型怪異**です。

 「あの場所に何かいる」という意識が複数の人間から同じ場所へ集中し続けることで、その密度が実体を持ち始めるタイプの怪異です。噂話、目撃情報の共有、SNSでの拡散——どれも「その場所を意識させる」行為であり、意識が集まるほど怪異は育ちます。

 今回は体育祭前日という特殊なタイミングが重なりました。翌日の本番で数百人の生徒が「体育館裏の噂」を頭の片隅に置いたまま同じ空間に集まれば、密度は一気に臨界を超えていた可能性があります。

 また今回は、配信視聴者が謎解きに参加した結果、リアルタイムで怪異の密度が上昇するという事態が発生しました。「誰かに向けられた意識」は、インターネット越しであっても同様に機能します。視聴者の皆さんが謝っていましたが、怪異は謝罪を受け付けません。

 封印は完了しています。ただし同じ場所で同じように噂が育てば、また発生します。

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作者について

勇者ヨシ君

勇者ヨシ君

愛知県安城市で「ギルド酒場るすと」というゲームバーをやりながら、小説を書いています。 レトロゲーム、ボードゲーム、シーシャ、酒場の空気感が好きです。 異世界×ゲーム×酒場の作品や、 ホラー×...

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