【第三部:アリスの変化と試練】 第12話:秘密の庭で出会った幻想
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
修道院百合狂騒曲 〜転生したらシスター誘惑モードでした〜 - 【第三部:アリスの変化と試練】 第12話:秘密の庭で出会った幻想
本文
「おっとさん、これ以上あたしを退屈させるんじゃないよ」
修道院の厳格な教えに囲まれたアリスだったが、その反骨精神と生まれつきの好奇心は抑えきれないものだった。今日はどうしても行ってみたい場所があった。それは修道院の裏庭にある「禁じられた庭」。修道女たちは決してそこへ行ってはならぬと言っていたが、なぜなのかは教えてくれなかった。アリスの中の反骨精神が「行け」と囁いた。
「そんじゃ、お邪魔させてもらいやすよ」
慎重に周囲を見渡し、修道院の隅の古びた門の前へと向かった。門はいつも固く閉ざされていたが、今日は不思議なことにわずかに開いていた。まるで彼女を誘い込むように——。
「うふふ、これはご招待かねぇ?」
アリスは躊躇うことなく、するりと中へ滑り込んだ。そして——驚いた。
そこには、美しいバナナの木々が生い茂り、見渡す限りバナナが鈴なりになっていたのだ。
「へぇぇ、こいつぁ見事だねぇ! こんなにたくさんのバナナ、お店でも見たことがねぇや!」
彼女は目を輝かせながら、黄色く熟れたバナナに手を伸ばした。しかし、その瞬間——。
「待ちなさい。」
背後から、柔らかいがどこか威厳を感じさせる声がした。振り向くと、そこには黒いヴェールを纏った妖艶な女性が立っていた。
「おやまぁ……こんな美人がこんな場所に?」
アリスは思わず息を呑んだ。艶やかな黒髪、深い瞳、白磁のような肌——修道院では決して見かけることのない、まさに“禁断の美”だった。
「ここはあなたが来るべき場所ではないわ。」
「へぇ、そうかい? だけどあたし、ここに招かれた気がするんだけどねぇ。」
アリスはにっこり笑いながら、そっとその女性へ近づいた。彼女の目はまるで獲物を狙う猫のように妖しく輝いていた。
「それにしても、あんたぁ、ずいぶんと綺麗なお方だねぇ……。」
女は微笑んだが、その表情にはどこか憂いが混じっていた。
「人は、美しいものを求める。でも、それがただの幻だったら?」
「はてさて、これはまた哲学的なお話になりそうだねぇ。」
アリスは頬杖をつきながら、挑発するように女性を見つめた。そして、次の瞬間——。
「えいっ!」
アリスは迷いなく、女性に裸卍固めを仕掛けた!
「ふふ、捕まえたよ、姉さん!」
だが、その瞬間——。
アリスは気づいた。
「ん? ……おや?」
抱きしめたはずの女性の感触が、どこか馴染み深い。まるで、自分自身を抱きしめているかのような——。
「ちょ、ちょっと待っておくれよ!」
驚いて顔を上げると、目の前にいたのは——なんと自分自身だった。
「……って、えええええええええっ!? あたし!?」
アリスは仰天した。
「なんであたしがここに!? いやいや、こんな美人じゃないし!? いや、美人かもしれねぇけど!? って何を言ってんだあたし!」
混乱しているうちに、目の前の“自分”はふっと微笑み、煙のように消え去ってしまった。
「……夢か、幻か……いや、ただの妄想か?」
アリスは呆然と立ち尽くしたが、次の瞬間——。
「アリス!!! 何をしているのですか!!!」
修道院長が鬼の形相でこちらへ向かってきていた。
「あっ……。」
「ま、まずい……。」
「アリス、またお仕置きですね!!!」
「ちょっと待っておくれよ、これは違うんだよ、うん、ええっと……その、バナナの誘惑に負けたっていうか……!」
「そんな言い訳が通じると思いますか!!!」
——結局、アリスはまた修道院の隅でお仕置きを受けることになった。
「ちぇっ、せっかく綺麗な姉さんとイイ感じだったのになぁ……って、いや、自分だったんだけどね……。」
アリスは頬を膨らませながら、そっと呟いた。
そして、ふと庭の方を見ると、そこにはまだたくさんのバナナが揺れていた。
「……まぁ、バナナはまた今度ってことでね。」
彼女は苦笑しながら、また新たな冒険を夢見るのだった——。
作品統計
📚 本を探すなら「よみどき」(あいぺんが運営する本の発見サイト)
130万冊を超えるコミック・小説・書籍の順位と値段を毎日みて、いま読むものを決められます。