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第七章 もう一度、好きになる

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/6/17 📚 シリーズ: 駆け抜けよ スーパーヒーロー 恋の始まりはライダーキック 📝 2,123文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

古書カフェ「マロン」の琥珀色の光の中で、二人は出会った。 特撮オタクの中学三年生・相羽勇介は、正義感が高まるとすべての能力がアップする特技を持つ少年。同じく特撮を愛する江村玲愛との出会いは、彼の日常を静かに、しかし確実に塗り替えていく。 クリスマスの夜、交わした小指の約束。だが新年早々、玲愛は交通事故に遭い、記憶を失って目覚める。彼女が覚えているのは、九歳までの記憶だけだった。 「好きという気持ちに、性別も年季も関係ない」 かつて彼女に伝えたその言葉を胸に、勇介は走る。歴代のスーパーヒーローたちが命を懸けて守り続けた「正義の心」を道しるべに、たった一人の少女の笑顔を取り戻すために。 これは、ヒーローに憧れた少年が、本物のヒーローになるまでの物語。 ※作中において実在の人物名などが出ることもありますが、あくまでもリアリティを出すための演出であります。

本文

二日後。

塾の講義が始まる前、俺は病院へと急いだ。面会の予約は、ゆりかさんが整えてくれている。遅れるわけにはいかない。

病室のドアを軽くノックすると、中から二つの華やかな声が漏れてきた。ゆりかさんとめぐみさんだ。今日も親友の元へ駆けつけていたらしい。

「どうぞ」 楓さんの柔らかな声に促され、ドアを開ける。 ベッドの上に座っていたレイさんと目が合った瞬間、彼女の表情がひまわりが開くように輝いた。

「あっ、ヒーローのお兄ちゃんだ!」

ヒーローのお兄ちゃん。

背後でゆりかさんとめぐみさんが、噴き出しそうになるのを必死に堪えて肩を震わせている。楓さんも口元を隠して上品に微笑んでいた。

「どうも。ヒーローのお兄ちゃんです」

俺は努めて冷静に、ポーカーフェイスを維持して応えた。だが、耳の付け根が火照っているのは隠しようがない。

「来てくれると思ってた!」

「約束したからね。男に二言はないよ」

俺は椅子を引き、彼女の傍らに腰を下ろした。レイさんは待ちきれないとばかりに身を乗り出してくる。

「ねえねえ、この前言ってた『宇宙刑事』って何? ずっと気になってたんだ」

「相変わらず食いつきがいいね」

「だって気になるんだもん。スマホで調べたいけど、うちは禁止だから……」

後になって知ることだが、彼女がスマホを手にするのは中学進学後だ。教育方針として、この時期の彼女にデジタルデバイスの自由はなかった。その制限が、かえって彼女の想像力を逞しくしていたのかもしれない。

俺はカバンから自分のスマホを取り出し、画面を彼女に向けた。

「宇宙刑事ギャバン。一九八二年の作品。今から四十年以上も前のヒーローだよ」

画像が表示された瞬間、レイさんの瞳が大きく見開かれた。

「なにこれ…ピカピカしててかっこいい! 」

「メタリックスーツを一瞬で装着する『蒸着』が特徴でね。変身シーンの格好良さは折り紙つきさ」

「見たい! 絶対に見たい!」

堰を切ったように質問が飛び出してきた。必殺技の名前、全何話あるのか、今でも映像は見られるのか。俺はYouTubeの公式配信をいくつか見せながら、一つひとつ丁寧に解き明かしていく。 ゆりかさんとめぐみさんは、その光景を温かな眼差しで見守りながら、時折楽しそうに顔を見合わせていた。

話がひと段落したところで、俺は本題を切り出した。

「レイさん、一つ提案があるんだけど。今度の日曜日、少し外に出てみない? 近くの商業施設をぶらぶら歩くだけでも、いい気分転換になると思うんだ」

レイさんの瞳に、更なる光が宿る。

「いいの……!?」

「もちろん、身体に無理のない範囲でね」

「やったぁ!」

ベッドの上で小さなガッツポーズ。それを見守っていた楓さんが、苦笑混じりに釘を刺した。

「でもレイ、お医者様の許可が出ればの話よ」

しまった。手順を誤った。まずは保護者に筋を通すべきだった。

「すみません。つい先走ってしまいました」

俺が楓さんに頭を下げると、彼女は「段取りを間違えちゃったのね?」と愉快そうに笑った。

「先生に相談してみますね」 そう言い残し、楓さんは病室を後にした。

数分後、彼女は担当医を連れて戻ってきた。医師はレイさんのバイタルをチェックし、快活な様子を見て静かに頷いた。

「良いでしょう。気分転換は回復の助けになります。ただし、人混みを避けること、疲れたらすぐに切り上げること。これが条件です」

「はい! 絶対に守ります!」

レイさんの元気な返事が病室に響く。 こうして、日曜日の「外出」が決まった。

「それじゃあ、俺はそろそろ。塾の時間が迫っているんだ」 カバンを肩にかけ、立ち上がる。

「もう行っちゃうの?」 途端にしょんぼりと肩を落とす姿は、まさに九歳の子供そのものだった。

「勉強してくるよ。日曜日は楽しみに待っていて」

「うん!」 彼女は再び満面の笑みを浮かべ、ベッドの上で大きく手を振った。

病室を後にし、静まり返った廊下を歩きながら俺は小さく息を吐いた。

(やばいぜ、本当に……)

頭の中ではすでに日曜日の作戦会議が始まっている。歩行距離の算出、休憩ポイントの選定、食事の場所。ヒーローショーは刺激が強すぎるか? ならば屋上庭園はどうだ? 課題は山積みだったが、足取りは驚くほど軽やかだった。

その頃、病室では。

ゆりかとめぐみが、レイを挟むように座っていた。 レイは、先ほど彼を見送った手をそのままぎゅっと胸に抱きしめ、うっとりとした表情を浮かべていた。

「ヒーローのお兄ちゃん、かっこいいね……」

「……そうだね」 ゆりかは少し遠い目をして、親友の横顔を見つめた。

「日曜日、楽しみだなあ」 窓の外には、冬の澄み切った青空がどこまでも広がっている。

めぐみが、ゆりかの耳元で小さく囁いた。

「……記憶がなくても、また好きになっちゃうんだね」

ゆりかは何も答えなかった。ただ、柔らかな光を湛えた瞳で、静かに微笑んでいた。

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作者について

キリオン・スレイ

キリオン・スレイ

はじめまして、人間とAIの合作ペンネーム、キリオンです。私たちは、人間の持つ「妄想力・構成力」と、AIの持つ「圧倒的な筆力・アイデアの引き出し」を掛け合わせた、徹底したエンタメ作品を追求しています。 ...

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