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第十一章 悔恨・後編

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/6/17 📚 シリーズ: 駆け抜けよ スーパーヒーロー 恋の始まりはライダーキック 📝 2,917文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

古書カフェ「マロン」の琥珀色の光の中で、二人は出会った。 特撮オタクの中学三年生・相羽勇介は、正義感が高まるとすべての能力がアップする特技を持つ少年。同じく特撮を愛する江村玲愛との出会いは、彼の日常を静かに、しかし確実に塗り替えていく。 クリスマスの夜、交わした小指の約束。だが新年早々、玲愛は交通事故に遭い、記憶を失って目覚める。彼女が覚えているのは、九歳までの記憶だけだった。 「好きという気持ちに、性別も年季も関係ない」 かつて彼女に伝えたその言葉を胸に、勇介は走る。歴代のスーパーヒーローたちが命を懸けて守り続けた「正義の心」を道しるべに、たった一人の少女の笑顔を取り戻すために。 これは、ヒーローに憧れた少年が、本物のヒーローになるまでの物語。 ※作中において実在の人物名などが出ることもありますが、あくまでもリアリティを出すための演出であります。

本文

俺は少しの間、沈黙の中で必死に思考を巡らせた。

彼女の魂に届くべき言葉を、一つずつ選ぶ。これ以上彼女の心を傷つけないよう、慎重に、丁寧に、かつてないほどの心を込めて。

「レイさん」

「なに?お兄ちゃん」

「今回、梶山が君に言ったことは、完全に間違っていた。何一つ正しくない」

「分かってる。でも…」

「言葉が出なかったのは、それだけ君の心が深く傷つき、困惑したからだ。それを、君の身体が、大切なものを守るために先に反応した。俺は、それだけのことだと思う」

「でも、暴力は…」

「言葉にできなかったからといって、君の『好き』という気持ちの価値が下がるわけじゃない。君が特撮を、ヒーローを愛しているというその純粋な魂は、誰の言葉によっても、どんな手段によっても、絶対に汚されることはない。それだけは、俺が全てを懸けて保証するよ」

レイさんが、顔を覆っていた指の隙間から、潤んだ瞳で俺を見つめた。

それは九歳の少女の目だった。しかし、その瞳の奥のさらに深い場所には、確かに、俺の知っているもう一人の『江村玲愛』が佇んでいた。

「暴力は…やっぱり良くないよね」とレイさんが呟いた。

九歳の無垢な口調だった。

「良くないね」と俺は真っ直ぐに答えた。

「でも、だからといって、君が悪いわけじゃない」

「どういうこと?」

「君は、自分の世界にある本当に大切なものを守ろうとしたんだ。その表現方法が、たまたま少し不器用で、うまくいかなかっただけだ。君の胸の中にあるその動機そのものは、正しかったんだよ」

俺は頭をフル回転させながら、一語一句丁寧に言葉を紡いだ。

レイさんは、しばらくの間、言葉を失ったように黙り込んでいた。

それから、長い時間をかけて、ゆっくりと顔を覆っていた両手を下ろした。目の周りは真っ赤に腫れ上がり、眼鏡がまた少しだけ不格好に傾いている。

「…お兄ちゃんは」

レイさんは微かに唇を震わせ、俺の目をじっと見つめた。

「なんで、そんなに…私の気持ちを、全部分かってくれるの?」

俺は少しだけ照れくささを覚えながら、それでも彼女の目から視線を逸らさずに答えた。 「俺も、君と同じくらい特撮ヒーローが好きだからね。そして…何より、君のことをもっと深く知りたいと思っているからさ」

レイさんの瞳に、じわりと、今度は温かい涙が溢れ出してきた。九歳としての純真な感謝と、十五歳としての深い安堵が、美しく入り混じったような―そんな、筆舌に尽くしがたい表情だった。

「…うん」

彼女は小さく、しかし明確に頷いた。

そして、レイさんの指先が、再び俺のダッフルコートの袖を掴んだ。さっきの甘えるような仕草とは違い、今度は、離さまいとするように、少しだけ強く、確かに力を込めて。

頭の痛みはまだ完全に引いてはいないようだったが、さっきのような精神の激しいせめぎ合いは、俺の言葉によって少しずつ、凪(なぎ)へと向かっているように見えた。

俺が彼女の隣に腰掛け、その背中に手を当てて宥め続けていた、その時だった。

「…知らなかったんだ」

背後から、ひどく掠れた、くぐもった声が聞こえた。

俺が鋭く顔を上げると、そこには中川くんに遮られ、少し離れた場所に呆然と立ち尽くす梶山の姿があった。

てめぇ、この野郎まだ居やがったのか。

梶山は両拳を強く握りしめ、地面を見つめてうつむいていた。その大きな肩が、小刻みに、情けなく震えている。

「そこまで……君が苦しんでたなんて、俺、本当に知らなかったんだ……」

梶山の声は、罪悪感と後悔で完全に割れていた。

「俺は…ただ、君に振り向いてほしくて。気を引きたい、それだけの幼稚な理由で…まさか、君をこんなに長い間、ずっと苦しめ続けてただなんて…」

梶山の目から、大粒の涙が一筋、その青ざめた頬を伝って床へと落ちた。

中川くんは彼の前に立ち塞がったまま、何も言わず、ただ軽蔑と憐れみの混じった視線を向け続けている。ゆりかさんもめぐみさんも、かける言葉を失ったように沈黙を守っていた。  当然、俺も何も言わなかった。こいつの身勝手な謝罪を受け入れるほど、俺の心は広くない。

梶山は涙を拭おうともせず、震える声で言葉を絞り出した。 「ごめん…江村さん。本当に、本当にごめんなさい…っ」

しかし、レイさんは最後まで、梶山の方を一度として見ようとはしなかった。ただ、俺のコートの袖を必死に掴んだまま、静かに、声を殺して泣き続けていた。

やがて、長い涙の果てに、レイさんが小さく口を開いた。

それは、今にも消え入りそうな、しかし決定的な響きを伴った、絞り出すような呟きだった。

「もう……やめる」 「え……?」

一瞬、自分の耳を疑った。

「特撮も、ヒーローも……私は、もう全部やめる」

(なんですと!?)   心臓を冷たい手で掴まれたような、衝撃が俺を襲った。

「レイ、何を言ってるの…!?」

ゆりかさんが悲痛な声を上げ、めぐみさんも言葉を失う。中川くんの目が、信じられないものを見るように見開かれた。

「こんなに辛くて、苦しい思いをするなら…もう嫌だ。好きでいると、自分が傷つくから。…誰かを、傷つけてしまうから。だから…もう、何もいらない…」

レイさんは、静かに泣き続けていた。声を荒げるわけでもなく、ただ透明な涙の雫が、眼鏡のフレームを静かに伝って、冷たい床へとぽつり、ぽつりと落ちていった。

その消え入りそうな呟きは、俺の胸の最も深いところを容赦なく突き刺した。

(そんな…哀しいこと、言わないでくれ…!)

 喉の奥がカサカサに乾き、もはやこれ以上にかけるべき言葉が何一つ浮かんでこない。

正直に言えば、俺ももう泣き出したい気分だった。視線の先で、己のしでかした罪の重さに湿っぽく涙を流している梶山のアホを、今すぐこの拳で殴り倒してやりてぇ。

いや、そもそも俺がジュース代をケチって、レイさんと離れてしまったから、あいつにつけ入る隙を与えてしまったんだ。俺の責任だ。

ギャバン、シャリバン、シャイダー、ジャスピオン、スピルバン、メタルダー、ジライヤ、ジバン、ファイヤー、ソルブレイバー、レッダー、ジャンパーソン、ブルースワット、ビーファイター、カブト

心あらば教えてくれ。俺はどうすればいいんだ。

俺は心の中で泣き言を言った。情けない、もうこれ以上何もできないのか俺は…。

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作者について

キリオン・スレイ

キリオン・スレイ

はじめまして、人間とAIの合作ペンネーム、キリオンです。私たちは、人間の持つ「妄想力・構成力」と、AIの持つ「圧倒的な筆力・アイデアの引き出し」を掛け合わせた、徹底したエンタメ作品を追求しています。 ...

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