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となりの心配

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/6/23 📚 シリーズ: イケメンにも恋の病は必要だよね! 📝 1,904文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

大学2年生の橘ひなたは、ごく普通の女子大生。ある日、学校一のイケメンと噂される林武蓮と同じゼミになったことで、自然と彼を意識するようになる。 しかし蓮は恋愛に全く興味がなく、女の子から告白されても断り続けるクールな男。ひなたが話しかけても素っ気ない態度ばかり。 それでも一緒にいる時間が増えるうちに、ひなたは彼の不器用な優しさに少しずつ惹かれていく。 恋愛に無関心なイケメンが、初めて「恋の病」にかかるまでのドキドキラブコメ!

本文

その日、ひなたは講義室に入った瞬間、窓際の列に黒髪を見つけた。

また、いる。

先週は反対側に座って隣を避けられたけれど、今日はうまくいかなかった。教室に入るのが少し遅れたせいで、空いている席が窓際の一列しかなかったのだ。仕方なく、ひなたは林武の隣に腰を下ろした。

「……」

林武は何も言わなかった。いつもなら一瞬視線をくれるくらいはするのに、今日は全くこちらを見なかった。机に視線を落としたまま、ノートを開く動作も、いつもよりゆっくりだった。

ひなたはちらりと横目で確認した。

顔色が、いつもより白い気がする。普段から色白な方ではあるけれど、今日は明らかに違う。

頬のあたりに赤みもなく、唇の色も薄い。額にはわずかに汗のようなものが浮かんでいるようにも見えた。

寝不足なのかな?

そう思った瞬間、林武が小さく咳をした。一度だけ、抑えるように口元を押さえて。それからまた静かにペンを持ったが、その手の動きがどこかぎこちなかった。

鬼島教授が入室し、講義が始まった。ひなたはノートを開きながらも、意識の半分は林武に向いていた。

林武は普段、姿勢を崩さない。背筋がぴんと伸びていて、ノートをとる手も迷いがない。でも今日は、時々肩が小さく落ちているように見えた。ペンを持つ手も、いつもより重そうに見えた。

講義が30分ほど進んだ頃、林武がふっと深く息を吐いた。微かな音だったけれど、隣にいるひなたには聞こえた。

流石に声をかけるべきか、ひなたは迷った。でも下手に声をかけて「大丈夫」とでも言われたら、それで終わりだ。あの様子だと、心配されることを嫌がりそうな気もする。

それでも、気になって仕方なかった。

ノートに視線を落としながらも、ひなたは何度も横目で林武の様子を窺った。額の汗は、さっきより少し増えている気がする。呼吸も、いつもより浅いような気がした。

多分無理してるな。

ひなたの中で、確信に近いものが固まっていった。誰がどう見ても、本調子ではない。

なのに本人は、何事もないように振る舞おうとしている。それがまた、なんというか——らしいな、と思った。

講義の途中、教授が「では各自で問題を解いてみるように」と言って、教室がざわめいた。その隙に、ひなたは思い切って小声で声をかけた。

「……大丈夫?」

林武がわずかに顔を上げた。一瞬、驚いたような表情が浮かんだ。すぐにいつもの平坦な顔に戻ったけれど、ひなたは見逃さなかった。

「……何が」

「顔色、悪いから」

林武は少し黙った。それから、小さく答えた。

「…平気だ」

その声が、いつもより少しだけかすれていた。平気には到底聞こえないものだ。

ひなたは何か言おうとしたが、林武がすでにノートに視線を戻していたので、それ以上は言わなかった。これ以上踏み込んでも、突っぱねられるだけだろう。

それでも、気にならないわけがなかった。

講義の残り時間、ひなたはほとんど内容が頭に入らなかった。隣で静かに耐えている人がいる。それなのに、自分にできることが何もない。ただ隣に座っているだけ。

——別に、私が心配する必要なんてないはず。

そう思おうとしても、視線は何度も林武よ方に流れた。

講義が終わると、林武はいつもより少し遅れて席を立った。立ち上がる瞬間、わずかにふらついたように見えた。ひなたは反射的に手を伸ばしかけたが、林武はすぐに体勢を整え、何事もなかったように鞄を持った。

「……大丈夫だから」

ひなたの伸ばした手に気づいたのか、林武が小さく言った。視線は合わせなかった。

「誰も大丈夫って聞いてないけど」

「……そうか」

林武はそれだけ言って、いつもよりゆっくりとした足取りで教室を出ていった。

ひなたはその背中をじっと見つめた。普段の静かな存在感とは違う、なんだか頼りない後ろ姿だった。

廊下に出ると、さくらが小走りで追いついてきた。

「ひなた、今日も隣だったね」

「うん」

「どうだった?」

ひなたは少し考えてから答えた。

「……なんか、体調悪そうだった」

「え、そうなの?」

「顔色悪かったし、咳もしてたし。本人は平気って言ってたけど」

さくらが眉をひそめた。

「無理してそうだね」

「うん。なんか、放っておけない感じだった」

口に出してから、ひなたは自分の言葉に少しだけ驚いた。放っておけない、と思っている自分がいることに。

「ひなた、心配してるじゃん」

さくらがにやりとした。

「心配じゃないよ。ただ……気になっただけ」

「それを心配って言うんだよ」

ひなたは何も言えなくなって、黙って歩き出した。窓の外を見ながら、もう一度さっきの横顔を思い出す。あの白い顔、かすれた声。

大丈夫じゃないくせに、大丈夫だと言い切る、その不器用さが——なぜか、頭から離れなかった。

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作者について

たかの岳

毎日1話投稿! AI連載作品をたくさん出したいなと思います!

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