第1話「100円の奇跡」
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
あらすじ 中学二年生・神崎恭也は、いつかカプセルウォーズを遊ぶことを夢見ていた。 しかし、一回一万円もするロボットガチャなど、学生の小遣いでは到底回せない。 ある日、商店街の片隅で「ハズレ品・在庫処分」と書かれた100円のクジガチャを見つける。 暇つぶしのつもりで回したそのカプセルには、本来なら一万円でしか手に入らない超高級ロボット―― 《クイーン》 が入っていた。 しかもクイーンは、普通のプレイヤーが知らない謎の機能を秘めた特別な機体だった。 偶然から始まった出会いは、やがて恭也をカプセルウォーズ界の頂点を巡る戦いへと導いていく。
本文
「カプセルウォーズか……。」
ショッピングモールのゲームコーナー。
巨大なガチャマシンの中で、金色のカプセルがゆっくりと回っていた。
『ロボットガチャ 一回 10,000円』
その文字を見て、中学二年生・神崎恭也は小さくため息をつく。
「一万円……。一回で俺の一か月の小遣いが消えるじゃん。」
隣ではスーツ姿の会社員が迷うことなく一万円札を投入していた。
ガコン。
金色のカプセルが落ちる。
「よっしゃ! ナイトだ!」
周囲の大人たちが羨ましそうに集まる。
「いいなぁ。」 「チェスフレームは最近出にくいからな。」
恭也は少しだけ立ち止まり、その光景を見つめた。
(いつか俺もやってみたい。)
だが現実は厳しい。
ロボットだけで一万円。
武器ガチャでも一回千円。
学生には手が届かない世界だった。
「帰るか……。」
そう呟き、商店街への近道を歩いていると、一軒の古びた玩具屋が目に入る。
店先には錆びたガチャマシンが一台だけ置かれていた。
『100円 くじガチャ 何が出るかはお楽しみ!』
「今どき百円?」
近づいて中を見ると、カプセルの色も大きさもバラバラだった。
「在庫処分かな。」
財布を見る。
百円玉が一枚。
「まあ、暇つぶしにはなるか。」
コインを入れ、ハンドルを回す。
ガコン。
転がり落ちてきたのは、漆黒のカプセル。
「黒?」
普通のガチャでは見かけない色だった。
カプセルを開ける。
中には銀色に輝く、小さな女性型ロボット。
流れるような装甲。
王冠を思わせる頭部。
そして台座には刻まれた文字。
QUEEN
「え……?」
恭也は息を呑む。
「クイーンって……まさか。」
震える手でスマホを取り出し、検索する。
『チェスフレーム クイーン』
検索結果を見た瞬間、思わず声が漏れた。
「嘘だろ……。」
画面にはこう表示されていた。
チェスフレームシリーズ最高レア。
排出率0.01%。
中古市場価格 二百万円以上。
「なんでこんなのが百円ガチャに……?」
そのとき。
手の中のクイーンが、一瞬だけ淡い青い光を放った。
「……今、光った?」
気のせいかと思ったその瞬間。
頭の中に、透き通るような少女の声が響く。
『──マスター認証を開始します。』
「えっ!?」
『適合率……確認。』
『神崎恭也。認証完了。』
『初めまして、マスター。私はチェスフレーム《クイーン》。あなたの勝利のために戦います。』
恭也は思わずクイーンを取り落としそうになった。
「しゃ、しゃべったぁぁぁ!?」
夕暮れの商店街に、少年の叫び声が響き渡った。
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