番外編 林武の過去の表紙画像

番外編 林武の過去

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/23 📚 シリーズ: イケメンにも恋の病は必要だよね! 📝 1,672文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

大学2年生の橘ひなたは、ごく普通の女子大生。ある日、学校一のイケメンと噂される林武蓮と同じゼミになったことで、自然と彼を意識するようになる。 しかし蓮は恋愛に全く興味がなく、女の子から告白されても断り続けるクールな男。ひなたが話しかけても素っ気ない態度ばかり。 それでも一緒にいる時間が増えるうちに、ひなたは彼の不器用な優しさに少しずつ惹かれていく。 恋愛に無関心なイケメンが、初めて「恋の病」にかかるまでのドキドキラブコメ!

本文

林武が最初に付き合う怖さを感じたのは、小学校三年生の頃だった。

友達の家に遊びに行って、夕方になっても帰らずにいたある日。玄関を開けた瞬間、母親が仁王立ちで待っていた。

「武、何時だと思ってるの」

時計を見ると、六時を少し過ぎていた。門限は六時だった。

「ごめん、友達と遊んでて」

「ごめんじゃないでしょ。ルールはルールなの。次やったら、もう友達の家には行かせないから」

有無を言わさない口調だった。林武は何も言えずに、俯いた。

父親がリビングから顔を出した。

「まあ、少しくらいいいんじゃないか。子供なんだから」

「よくないの。ルールを守れない子になったら困るでしょ」

父親は少し口を開きかけて、それから黙った。母親の目を見て、何かを諦めたような顔をして、またリビングに引っ込んだ。

林武はその背中を見ていた。

小学校五年生の時、クラスメートにゲームを借りた。家に帰って、こっそりやっていたら、母親に見つかった。

「武、そのゲームどうしたの」

「友達に借りた」

「返しなさい。ゲームは集中力を奪うの。あなたの将来のためにならない」

「でも、みんなやってるよ」

「みんながやってるから何?うちはうちのルールがあるの」

ゲームは翌日、友達に返した。友達は「え、もういいの?」と不思議そうな顔をしたが、林武はうまく説明できなかった。

その夜、父親が林武の部屋に来た。

「武、まあ、お母さんの言うことにも一理あるから」

「うん」

「お父さんも、もう少し上手く言えればよかったんだけど」

父親は困ったように笑って、それだけ言って部屋を出た。庇おうとしてくれているのはわかった。でも、結局は何も変わらなかった。

林武はベッドに横になって、天井を見つめた。

お父さんも、最初は何か言おうとする。でも、最終的にはお母さんには勝てない。

そういうものなのかな、と思った。

中学に入った頃から、林武は母親の言動を少し違う目で見るようになっていた。

門限は変わらず厳しかった。部活の後に友達と寄り道をすれば、電話がかかってきた。勉強以外のことに時間を使っていると、遠回しに責められた。

父親はその頃から、ほとんど何も言わなくなっていた。母親が何かを決めると、黙って頷いた。家の中での発言権が、どこかのタイミングで完全になくなってしまったように見えた。

ある日、林武は父親に聞いた。

「お父さん、お母さんのこと怖くないの」

父親は少し驚いた顔をして、それから苦笑いをした。

「怖いとかじゃないけど……まあ、お母さんの言うことの方が正しいことも多いから」

「でも、全部じゃないでしょ」

「……まあ、そうだけどな」

父親は答えを濁した。林武はそれ以上聞かなかった。

その夜、布団の中で林武は考えた。

お父さんは最初、庇おうとする。でも最終的には、いつも諦める。見て見ぬふりをする。

それは弱いからなのか、それとも長く一緒にいると、そういうふうになってしまうのか。

——結婚すると、こうなるのかな。

付き合う、結婚する。そういうことになると、女の人はああなるのかな。最初は違っても、いつかああなるのかな。

子供の頃から見てきた母親の姿が、林武の中で「女性」の一つの形として刻まれていた。理不尽なルール。有無を言わさない口調。父親の諦めた顔。

全員がそうだとは思っていなかった。でも、心のどこかで、踏み込むことへの恐れが生まれていた。好きになっても、深く関わったら、関係が変わってしまうかもしれない。

だから、告白されるたびに断った。

悪い人だとは思わなかった。ただ、踏み込めなかった。それだけだった。

高校を卒業して、大学に入った。

一人暮らしを始めてから、少し楽になった。母親の目がない場所で、自分のペースで生活できることが、こんなに気楽なものだとは思っていなかった。

それでも、恋愛に対する感覚は変わらなかった。告白されるたびに、同じ答えを返した。好きじゃない、それだけだ、と。

本当に好きじゃなかったのか、と聞かれたら、正直わからなかった。ただ、踏み込む前に、気持ちに蓋をしてしまう癖が、いつの間にかついていた。

そのままの自分が、大学二年生になった春も続いていた。

ジャンル・タグ

,

作品統計

👁️ 閲覧数: 0 👍 いいね: 0 📚 本棚登録: 0

作者について

たかの岳

毎日1話投稿! AI連載作品をたくさん出したいなと思います!

👥 フォロワー: 2人

作者ページを見る