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天津風4

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/7/31 📚 シリーズ: 天津風 📝 4,505文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

歳を取らない少女はいくつもの出会いと別れを経験してきた。 大切な人達との別れを経て変わっていった少女は、それでも大切な人達との約束を守り続ける。 これは百年以上を生きた少女、アマツの出会いと別れの物語。

本文

困った子たち

春。

外縁独立機動部隊教育隊。

入隊から二週間。

桜は散り始め。

若葉が風に揺れていた。

「納得できません!」

教官室に元気な声が響く。

「困りましたね。」

アマツは書類から顔を上げた。

目の前。

一人の新兵。

比嘉美月。

十八歳。

優秀。

成績上位。

そして。

問題児。

「私の案の方が合理的です!」

「そうかもしれません。」

「じゃあ!」

「ですが。」

「却下です。」

「えぇ!?」

美月は机に突っ伏した。

「なんでですか!」

「安全性です。」

「むぅ……。」

頬を膨らませる。

アマツは思わず瞬きをした。

「先生?」

「いえ。」

「どうしました?」

「少し。」

「懐かしくなりまして。」

「?」

美月は首を傾げた。

「先生。」

「はい。」

「昔にもいたんですか?」

「困った子。」

「ええ。」

「とても。」

「困った子でした。」

「失礼!」

「ふふ。」

珍しく。

アマツは声を出して笑った。

美月は目を丸くする。

「先生って。」

「そんな風に笑うんですね。」

「そうでしょうか。」

「もっと。」

「こう。」

「仙人みたいな人かと思ってました。」

「仙人ですか。」

「はい。」

「失礼ですね。」

二人は笑った。

夕方。

教官室。

書類を整理していた美月が、一枚の古い写真を見つけた。

「あ。」

写真。

百年以上前。

若い女性。

金髪。

碧眼。

そして。

満面の笑顔。

その隣で困った顔をしている少女。

「先生?」

「なんでしょう。」

「これ。」

「親子ですか?」

アマツの手が止まった。

「……。」

窓の外。

夕焼け。

「いいえ。」

穏やかな微笑み。

「家族です。」

「へぇ。」

美月は写真を見る。

「綺麗な人。」

「元気そう。」

「ええ。」

「とても。」

「元気な人でした。」

「先生。」

「はい。」

「会いたい?」

夕陽。

珈琲の香り。

優しい紅茶の香り。

そして。

春風。

「そうですね。」

「また。」

「一緒にお茶をしたいですね。」

「絶対楽しい人ですよ。」

「ええ。」

「賑やかですよ。」

「会ってみたかったなぁ。」

「そうですね。」

「きっと。」

「貴女と仲良くなれたと思います。」

「ほんとですか?」

「ええ。」

「少し。」

「似ていますから。」

美月は照れくさそうに笑った。

「じゃあ。」

「その人に怒られそうですね。」

「何をです?」

「合理的だからって無茶するなって。」

アマツは。

静かに目を丸くした。

『アマツ。』

『駄目。』

『それは危険。』

『却下です。』

『むぅ……。』

『不機嫌にならない。』

『朝ご飯食べて。』

『ちゃんと寝て。』

『命令です。』

懐かしい声。

優しい笑顔。

「先生?」

「……。」

「先生?」

「申し訳ありません。」

「少し。」

「昔を思い出していました。」

美月は微笑んだ。

「その人。」

「先生のこと大好きだったんですね。」

「……。」

アマツは答えなかった。

ただ。

小さく。

本当に小さく。

「ええ。」

「幸せでした。」

そう呟いた。

夕焼け。

窓辺。

三つのカップ。

珈琲。

紅茶。

そして。

春風が。

まるで百年以上前と変わらぬ優しさで、

静かにカーテンを揺らしていた。

ーーー

写真の中の人

六月。

梅雨の晴れ間。

外縁独立機動部隊記念資料館。

「先生!」

比嘉美月が慌てた様子で教官室へ飛び込んできた。

「大変です!」

「走ってはいけません。」

「すみません!」

「それで。」

「なんでしょう。」

「写真です!」

「写真?」

「展示室の古い写真。」

「額縁が外れそうなんです!」

「それは大変ですね。」

二人は展示室へ向かう。

歴代隊員たちの集合写真。

百年以上前。

少し色褪せてはいるものの、大切に保存された一枚。

「これです。」

「ありがとうございます。」

アマツは慎重に写真を外す。

「先生。」

「はい。」

「この人。」

美月は写真の中央を指差した。

金髪碧眼の若い少女。

その隣には優しそうな女性。

さらに後ろには白髪の女性。

「綺麗ですね。」

「ええ。」

「素敵な人たちでした。」

「先生。」

「はい。」

「知り合い?」

「ええ。」

「家族です。」

「へぇ。」

「この白髪の人。」

「なんか強そう。」

「ええ。」

「とても。」

「頼もしい方でした。」

「こっちの優しそうな人は?」

「いつも。」

「皆のことを心配していました。」

「で。」

美月は笑った。

「真ん中のこの人。」

「絶対問題児。」

アマツは思わず目を丸くした。

「どうしてです?」

「顔。」

「顔ですか。」

「なんか。」

「やりそう。」

「周りが苦労してそう。」

「ふふ。」

珍しく。

アマツは肩を震わせて笑った。

「その通りですね。」

「やっぱり!」

「大変でしたか?」

「ええ。」

「とても。」

「でも。」

「幸せでした。」

窓から夏の風が吹き込む。

美月は写真を見つめる。

「いいなぁ。」

「何がです?」

「こんな風に。」

「百年後も。」

「誰かが覚えてくれるの。」

「私は無理かな。」

「そんなことはありません。」

「え?」

「人は。」

「案外。」

「誰かの心の中で生き続けるものですよ。」

「そうかな。」

「ええ。」

「きっと。」

「貴女のことを大切に思う人がいます。」

「家族とか?」

「それもあります。」

「友人。」

「仲間。」

「そして。」

「教官も。」

「先生?」

「はい。」

「私は。」

「忘れませんよ。」

美月は照れ臭そうに笑った。

「百年後も?」

「ええ。」

「約束です。」

「先生。」

「はい。」

「それ。」

「ちょっとずるい。」

「そうでしょうか。」

「百年後なんて。」

「私はいませんよ。」

アマツは静かに微笑む。

「そうですね。」

「だから。」

「その分。」

「覚えておきます。」

夕方。

閉館後。

新しい額縁に収められた写真。

若き日のムスビ。

鈴華。

ヤマト。

そして。

幼い頃のアマツ。

夕陽が優しく照らしていた。

「鈴華。」

「今日。」

「貴女は問題児だと言われましたよ。」

しばしの沈黙。

そして。

アマツはくすりと笑う。

「ええ。」

「その通りでしたね。」

窓辺。

珈琲。

紅茶。

そして。

もう一つのカップ。

夏の風が静かに吹く。

「皆さん。」

「今年も。」

「賑やかですよ。」

夕焼けの中。

古い写真の笑顔だけが、

百年以上前と変わらぬ優しさで、

静かに微笑んでいた。

ーーー

名前

八月。

蝉の声。

青空。

外縁独立機動部隊記念資料館。

夏休みも終わりに近づき、館内は穏やかな時間が流れていた。

「先生。」

「なんでしょう。」

比嘉美月は歴史資料を整理しながら顔を上げた。

「変なこと聞いていいですか?」

「内容によります。」

「先生の名前。」

「アマツ先生って、本名なんですか?」

「ええ。」

「本名ですよ。」

「へぇ。」

「珍しい。」

「そうでしょうか。」

「漢字は?」

「天津。」

「天津飯の天津?」

「ええ。」

「同じ漢字です。」

「なんか。」

「可愛い。」

「ありがとうございます。」

二人は笑った。

「誰が付けたんです?」

窓から夏の風が吹く。

カーテンが揺れる。

「私の母です。」

「お母さん。」

「ええ。」

「素敵な人でした。」

「会ってみたかったなぁ。」

アマツは少し目を細めた。

「そうですね。」

「きっと。」

「貴女と仲良くなれたと思います。」

「ほんと?」

「ええ。」

「少し。」

「似ていますから。」

「えー!?」

「失礼ですよ!」

「そうでしょうか。」

「絶対怒られる!」

「ええ。」

「きっと。」

「まず朝ご飯を食べなさいと言われます。」

「うっ。」

「そして。」

「寝不足は駄目です。」

「うぅ……。」

「さらに。」

「危険なことは却下です。」

「厳しい!」

アマツは小さく笑った。

「ですが。」

「優しい人でした。」

「へぇ。」

「先生。」

「はい。」

「お母さんのこと。」

「好きだった?」

夏の風。

青空。

遠くの蝉の声。

「ええ。」

「大好きでした。」

「そっか。」

「はい。」

「今でも?」

「もちろんです。」

美月は微笑んだ。

「なんか。」

「いいですね。」

「そうでしょうか。」

「うん。」

「だって。」

「百年以上経っても好きって。」

「素敵。」

アマツは少し驚いた。

そして。

「そうですね。」

「素敵ですね。」

と微笑んだ。

夕方。

閉館後。

館長室。

窓辺。

珈琲。

紅茶。

そして。

もう一つのカップ。

本棚の上。

古い写真。

若き日の川崎鈴華。

優しい笑顔の新垣真由美。

白髪の大城雪夏。

そして。

幼い自分。

アマツは写真立てを真っ直ぐに直した。

「鈴華。」

「今日。」

「名前の話をしました。」

夕陽。

茜色の空。

「天津。」

「良い名前ですね。」

「私は。」

「好きですよ。」

静かな部屋。

誰もいない。

返事もない。

それでも。

夏の終わりの風が。

優しくカーテンを揺らした。

『アマツ。』

『気に入った?』

百年以上前。

少し照れくさそうに笑う金髪碧眼の少女。

『天津風って格好いいでしょ?』

『風みたいに自由で。』

『どこまでも行ける。』

『そんな子になってほしいなって。』

『えへへ。』

懐かしい声。

懐かしい笑顔。

アマツは目を閉じる。

「ええ。」

「鈴華。」

「私は。」

「幸せですよ。」

「貴女の娘になれて。」

夏の終わり。

優しい風が吹く。

まるで。

遠い昔から。

変わることなく。

ずっと。

天津風が吹き続けているかのように。

ーーー

古本屋

九月。

涼しい風が吹き始めた頃。

休日。

アマツは一人、街を歩いていた。

珍しいことではない。

百年以上前から。

休日になると。

よく誰かに連れ回されていた。

「新しいお店!」

「絶対美味しい!」

『鈴華さん。』

『昨日も行きましたよ?』

『いいじゃん!』

『アマツも行こう!』

懐かしい声。

懐かしい笑顔。

アマツは小さく微笑む。

「今日は。」

「一人ですね。」

静かな商店街。

そして。

小さな古本屋。

「……。」

立ち止まる。

古びた看板。

昔ながらの店。

少しだけ。

懐かしい匂い。

「こんにちは。」

「いらっしゃい。」

店主は若い女性だった。

「先生!」

「比嘉さん?」

「えへへ。」

「アルバイトです。」

「そうでしたか。」

「先生も本読むんですね。」

「ええ。」

「好きですよ。」

「意外。」

「そうでしょうか。」

「なんか。」

「全部覚えてそう。」

「忘れますよ。」

「人並みに。」

「百年分?」

「それ以上です。」

二人は笑った。

しばらくして。

美月が棚から一冊の本を持ってきた。

「先生。」

「これ。」

「なんでしょう。」

「珈琲特集。」

「喫茶店巡り!」

「写真もいっぱい。」

アマツは本を受け取る。

そして。

表紙を見たまま。

動かなくなった。

「先生?」

「……。」

『アマツ』

『見て』

『新しいカフェ』

『鈴華さん。』

『今月五軒目です。』

『いいじゃない』

『ムスビも来るでしょう?』

賑やかな声。

幸せな時間。

秋の日差し。

珈琲の香り。

「先生?」

「申し訳ありません。」

「少し。」

「懐かしくなりまして。」

美月は優しく笑った。

「その顔。」

「好きだった人?」

「ええ。」

「二人ほど。」

「二人!?」

「はい。」

「一人は珈琲が好きで。」

「もう一人は。」

「紅茶が好きでした。」

「先生。」

「はい。」

「幸せそう。」

「そうでしょうか。」

「うん。」

「すごく。」

アマツは少し驚く。

「幸せそうですか。」

「うん。」

「そんな顔。」

「初めて見た。」

夕方。

帰り道。

紙袋の中。

古い喫茶店特集。

そして。

三人分の栞。

「……。」

秋風が吹く。

「鈴華。」

「ムスビさん。」

「今度。」

「新しいお店を見つけました。」

「きっと。」

「鈴華は。」

「また全部行きたいと言うのでしょうね。」

「ムスビさんは。」

「困った顔をしながら。」

「付き合ってくれるのでしょう。」

誰もいない。

返事もない。

それでも。

アマツは微笑んでいた。

「困りました。」

「私も。」

「行ってみたくなりました。」

夕焼け。

赤く染まる空。

そして。

秋風が優しく吹く。

まるで。

遠い昔。

三人で笑いながら歩いた帰り道のように。

変わらぬ優しさで。

静かに。

天津風が吹いていた。

ーーー

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作者について

紫陽花工房

紫陽花工房

家事や仕事の間にAIに物語を書いてもらってます。 好きな花は紫陽花。 座右の銘、チャンスをもたらしてくれるものは冒険である 夢うつつな時に閃くものがネタだったりします(笑)

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