朝の妖精たち
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
それは、彼方から届いた、ちょっと不思議な物語。ショートショート
本文
朝の妖精たち
朝になる前の、まだ空が薄暗いころ。
誰も気づかないうちに、小さな妖精たちが家の中へやってきます。
「今日は少し疲れてるみたいだね」
一人がそう言うと、みんな静かにうなずきました。
窓辺の妖精は、カーテンをほんの少しだけ開けて、やわらかな朝の光を部屋へ招きます。
台所の妖精は、コップをそっと机の上へ置きます。
パンの袋を開ける妖精。
時計を見守る妖精。
どの妖精も、大きなことはしません。
ほんの少しだけ、その人の朝が始めやすくなるように動くだけです。
やがて部屋の中で、小さく寝返りを打つ音がしました。
「もうすぐ起きるかな」
妖精たちは顔を見合わせて微笑みます。
「今日は、ゆっくりでいいよ」
「急がなくても、朝は逃げていかないから」
その言葉は届きません。
それでも不思議と、その朝は少しだけ体が軽く感じられました。
布団から出るまでに時間はかかったけれど、窓から入る光はやさしく、部屋の空気もどこか穏やかです。
その人は小さく息をついて、ゆっくり立ち上がりました。
妖精たちは満足そうにうなずきます。
「今日も朝を迎えられたね」
誰にも気づかれないまま、小さな妖精たちは静かに姿を消しました。
朝は毎日やってきます。
だから妖精たちも、毎朝そっとやってくるのでした。
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