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【18番外】 心を読む台

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/27 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 1,733文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

時環遊技場には、常連たちの間で妙な噂のある羽根モノが一台あった。

打つ人間の気分によって、玉の流れが変わる。

「俺、あの台は打つ人間の気分で玉の流れが変わると思うんだよ」

昼下がり、常連の一人がそう言うと、隣の男が呆れたように笑った。

「ま〜た始まったよ」

「いや、本当だって。この前、仕事でムカつくことがあってさ。イライラしながら打ったら、玉が全然落ち着かなかったんだ」

「それ、お前がハンドル強く握りしめてただけじゃない?」

「……!それはあるかもしれない」

「あるんかい!」

二人が笑う。

そこへ玉箱を運んできた従業員アンドロイドが通りかかった。

「台がお客様の心理状態を読み取る、ということでしょうか?」

「そうそう。そんな感じ」

「興味深いですね」

「お前、信じるの?」

「現時点では判断できません。観察してみます」

真顔で答えるアンドロイドに、二人はまた笑った。

夕方、その羽根モノに常連の男が座った。

仕事で嫌なことがあった。上司に言われた一言が頭から離れず、気分は晴れない。

ハンドルを握ると、玉が次々と打ち出されていく。

いつもなら気にも留めないような跳ね方なのに、今日は妙に落ち着かない。玉はあちらこちらへ弾かれ、羽根が開いても、なかなか拾われない。

「今日はダメだなあ」

隣の常連が笑った。

「台が?」

「……分からん」

それでも打ち続ける。

しばらくして。

一定のリズムで玉を送り出しているうちに、少しずつ頭の中のもやもやが薄れてきた。

最初は、なんであんな言い方をされたんだ、と腹を立てていた。

けれど、玉の音を聞いているうちに、ふと別のことを考え始めた。

――あのとき、俺も言い方が悪かったかもしれない。

そう思うと、少しだけ気持ちが軽くなった。

昨日、ああ言えばよかったのかもしれない。だったら、明日はこう話してみよう。

気がつくと、さっきまでせわしなく感じていた玉の流れが、少し穏やかになっていた。

開いた羽根に、玉が一つ吸い込まれるように拾われた。

「おっ」

役モノの中へ入った玉が、左右に揺れながら転がっていく。

常連は無意識に身を乗り出した。玉は一度弾かれ、もう一度転がる。

そして、今度はすっと中央へ寄っていった。

「……なんか、台が急に素直になったな」

隣の常連が笑う。

「お前が素直になったんじゃない?」

「それもあるかもな」

少し離れたところで見ていた従業員アンドロイドが、店主に声をかけた。

「店主。先ほどから、玉の軌道に変化があります」

「そうですか」

「お客様の表情も、先ほどより穏やかです」

「でしょうね」

「台が心理状態を読み取っている可能性は?」

店主はしばらく盤面を眺めた。

「あるかもしれませんね」

「店主は信じているのですか?」

「さあ」

店主は小さく笑った。

「台の気持ちが分かれば、苦労しないんですけどね」

常連はその後もしばらく打ち続けた。

仕事で嫌だったことも、自分の悪かったところも、明日どうすればいいかも、少しずつ整理されていく。

そして、羽根がまた開いた。玉が拾われ、役モノへ入る。

さっきよりも長く転がる。

右へ寄り、弾かれ、今度は左へ。もう駄目だと思ったところで、玉が中央へ戻ってくる。

コトン、とVに入った。

「よっしゃ!」

思わず声が出た。

常連は笑っていた。さっきまで険しかった顔は、もうすっかり晴れている。

「今日はいい日だなあ」

「ずいぶん機嫌よくなったな」

「だって当たったんだもん!」

「現金だなあ〜」

「いーんだよ。こういうのでいいんだよ!」

従業員アンドロイドも、その様子を眺めていた。

「先ほどより、さらに機嫌が良くなりました」

「そりゃ当たったからな」

常連は笑いながら、またハンドルを握った。

パチン、パチンと、玉が連続して打ち出される。

さっきまでとは違い、釘に当たりながらも、どこか素直に盤面を流れていく。

常連はその動きを眺めながら、ふと思った。

台が自分の心を読んでいるのか。

それとも、自分の心が落ち着いたから、玉の流れまで穏やかに見えているだけなのか。

「……やっぱり、この台、俺のこと分かってんのかな〜?」

隣の常連が笑う。

「知らねえよ」

「だよな」

二人は笑った。

店主は何も言わず、その様子を眺めていた。

パチン、パチン、と玉の音が続いている。

常連は、すっかり機嫌の良くなった顔で、楽しそうに打ち続けていた。

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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