コンシェルジュ(四)漫画脚本
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
漫画脚本は♡趣味です♡
本文
コンシェルジュ(四)漫画脚本
第4話 王国の宰相と、琥珀色の誘惑
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【1ページ】
1コマ目
夕暮れのグランド・マオ・ホテル。
大理石のフロアを、ゴブリンのスタッフたちが丁寧に磨いている。
ナレーション
「夕闇が魔王城を包み込む頃――」
2コマ目:スタッフたちが一糸乱れぬ動きで仕事をしている。
ナレーション
「かつての魔王城は、世界最高峰のホテルへと姿を変えていた。」
3コマ目:ホテルのカウンター。
佐藤純が今日の予定を確認している。
4コマ目:黒いスリーピーススーツ姿の魔王が、タブレットを持って現れる。
魔王
「佐藤、今日のVIPスケジュールを確認したが……」
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【2ページ】
1コマ目:魔王がタブレットを見ながら険しい顔。
魔王
「今夜、人間界の大国から宰相が来る」
2コマ目:純が静かに聞いている。
魔王
「それも、とびきりの頑固者だ」
3コマ目:魔王の脳裏に、怒鳴り散らす宰相の姿。
魔王
「我が城の歴史を呪い、人間界の恥だと叫んで回っている男だ」
4コマ目:純が微笑む。
純
「宰相閣下でございますね」
純
「承知いたしました」
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【3ページ】
1コマ目:ホテルのエントランス。
自動扉が大きく開く。
2コマ目:白髪を逆立てた宰相が、武装した騎士たちを従えて入ってくる。
宰相
「ここが魔王の巣窟か!」
3コマ目:宰相が杖を床に突く。
宰相
「不浄な地を汚した罪を贖わせてやる!」
4コマ目:ラウンジの勇者たちが振り返る。
勇者
「うわ……」
戦士
「また面倒なのが来たぞ」
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【4ページ】
1コマ目:宰相の前に、いつの間にか純が立っている。
純
「いらっしゃいませ」
2コマ目
純、完璧な角度で一礼。
純
「当館へようこそお越しくださいました」
3コマ目:宰相、怒った顔。
宰相
「歓迎など必要ない!」
4コマ目:純は動じない。
純
「長旅、誠にお疲れ様でございます」
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【5ページ】
1コマ目:純が宰相の顔をじっと見る。
純
「宰相閣下」
2コマ目:宰相が怪訝そうにする。
宰相
「なんだ」
3コマ目:純が静かに微笑む。
純
「さぞかし国家の重責に押しつぶされそうな日々を、お過ごしなのですね」
4コマ目:宰相、目を見開く。
宰相「……っ」
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【6ページ】
1コマ目:純がさらに一歩近づく。
純
「お顔の端に、深刻な『疲労の皺』が刻まれております」
2コマ目:
宰相の顔アップ。
純
「それは国民のために尽くしてこられた、勲章のようなものでございますね」
3コマ目:宰相、言葉を失う。
宰相
「…………」
4コマ目:張り詰めていた宰相の肩が、ほんの少し下がる。
ナレーション
「敵意に満ちていた男の肩から――」
ナレーション
「ほんの少しだけ、力が抜けた。」
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【7ページ】
1コマ目:宰相が顔を背ける。
宰相
「……ふん」
2コマ目:宰相。
宰相
「口先だけは達者だな」
3コマ目:純が銀色のトレイを取り出す。
4コマ目:トレイの上に、美しいグラス。
中には琥珀色の液体。
純
「では、こちらを」
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【8ページ】
1コマ目:琥珀色の酒のアップ。
純
「魔王城地下深層から湧き出る、五百年熟成の蜂蜜酒でございます」
2コマ目:宰相が疑い深くグラスを見る。
宰相
「……毒ではあるまいな?」
3コマ目:護衛騎士が前に出る。
騎士
「宰相閣下! まずは私が毒見を――」
4コマ目:宰相が手で制する。
宰相「よい」
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【9ページ】
1コマ目:宰相がグラスを手に取る。
2コマ目:香りを確かめる。
宰相
「……甘い香りだ」
3コマ目:一口飲む。
4コマ目:宰相の瞳が大きく開く。
宰相
「……これは……」
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【10ページ】
1コマ目:宰相の顔がわずかに上気する。
宰相「甘美な……」
2コマ目:もう一度グラスを見る。
宰相
「だが……力が満ちる……」
3コマ目:純が静かに微笑む。
純
「お気に召していただけましたでしょうか」
4コマ目:宰相、強がる。
宰相
「べ、別に……悪くはない」
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【11ページ】
1コマ目:純がさらに案内する。
純
「今夜は特別大浴場も貸し切りでご用意しております」
2コマ目:宰相の耳がピクリと動く。
純
「魔王城特製、溶岩ホットストーンスパもございます」
3コマ目:宰相の脳裏。
「湯」「温泉」
「マッサージ」が浮かぶ。
4コマ目:純が穏やかに言う。
純
「今夜だけは、国家のことも、魔王のこともお忘れくださいませ」
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【12ページ】
1コマ目:純の横顔。
純
「ただ一人の――」
2コマ目:宰相を見る。
純
「『癒やしを求める旅人』として、お休みになる権利がございます」
3コマ目:宰相の目が揺れる。
4コマ目:宰相の足が、自然とソファへ向かう。
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【13ページ】
1コマ目:護衛騎士たちが驚く。
騎士
「閣下……?」
2コマ目:
宰相がソファに腰を下ろす。
宰相
「……風呂、か」
3コマ目:
宰相が遠い目をする。
宰相
「ここ数年、ゆっくりと湯に浸かった記憶すらない……」
4コマ目:純が一礼。
純
「かしこまりました」
純
「すぐにご用意いたします」
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【14ページ】
1コマ目:純がインカムに手を当てる。
純
「こちらVIP、宰相閣下」
2コマ目:
ホテルスタッフが一斉に動き始める。
純
「極上の安眠ハーブティーと、特製ローブをご用意」
3コマ目:
浴場スタッフが温度計を確認する。
純(インカム)
「浴室の温度は、もっとも心地よい黄金の四十二度に」
4コマ目:
魔王がその様子を眺めている。
魔王
「……見事なものだ」
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【15ページ】
1コマ目:魔王が純の肩を叩く。
魔王
「宰相が、あんなに大人しくなるとはな」
2コマ目:魔王が苦笑。
魔王
「お前という男は、本当に魔法使いより恐ろしいな」
3コマ目:純が微笑む。
純
「いいえ、魔王様」
4コマ目:純の目元アップ。
純
「魔法よりも強力なのは――」
純
「相手の『隙間』を埋める、おもてなしの心でございます」
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【16ページ】
1コマ目:大浴場。 宰相がゆったりと湯に浸かっている。
宰相
「…………」
2コマ目:宰相の目から、一筋の涙。
ナレーション
「その夜――」
3コマ目:湯気の向こうで、宰相が静かに目を閉じる。
ナレーション
「人間界の最高宰相は、何年ぶりかの安らぎに涙を流したという。」
4コマ目:翌朝。 宰相が手紙を書いている。
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【17ページ】
1コマ目:
手紙の文字。
宰相 「来月の予算会議の会場を――」
2コマ目:宰相、真剣な表情。
宰相 「ここ、グランド・マオ・ホテルにする」
3コマ目:騎士たちが呆然。
騎士 「閣下……!」
4コマ目:宰相が満足そうに頷く。
宰相 「国家の重要会議にこそ、最高の環境が必要なのだ」
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【18ページ】
1コマ目:朝のグランド・マオ・ホテル。
純がカウンターで優雅にグラスを磨いている。
ナレーション 「魔王城が差し押さえられることは――」
2コマ目:
ホテルの入口。 宰相が振り返りながら去っていく。
ナレーション 「――なかった」
3コマ目:純の完璧な笑顔。
純 「またのお越しを、心よりお待ちしております」
ナレーション 「むしろ――」
4コマ目: ホテルの宿泊台帳に、新たな名前が加わる。
ナレーション 「グランド・マオ・ホテルに、もう帰れない客が一人、また増えた。」
完
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