コンシェルジュ(五)漫画脚本
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
漫画脚本は♡趣味です♡
本文
コンシェルジュ(五)漫画脚本
第5話 ~別棟編~
ミッドナイト・マスカレードと、夜の貴人たち
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【1ページ】
1コマ目・夜の魔王城。
本館から少し離れた場所に、巨大な別棟がそびえている。
月明かりに照らされたその建物は、本館の華やかさとは違い、どこか静謐で幻想的。
ナレーション
深夜二時。
グランド・マオ・ホテルには、昼とはまったく違う顔がある。
2コマ目・別棟エントランス。
巨大な魔銀の燭台。
佐藤純が、一本ずつキャンドルに火を灯していく。
純
「……今夜も、よい夜になりそうですね」
3コマ目・炎が灯る。
薄暗かったホールが、柔らかな琥珀色の光に包まれる。
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【2ページ】
1コマ目・カウンター。
魔王が黒いスーツ姿でブランデーグラスを傾けている。
魔王
「佐藤、今夜の別棟は一段と空気が引き締まっているな」
2コマ目・純。
純
「今夜は特別な夜会がございますので」
3コマ目・純の横顔。
純の背後に、幻想的な別棟の内部。
純
「ミッドナイト・マスカレード」
4コマ目・別棟の案内板。
ナレーション
「昼の光を好まれないアンデッドの貴族様」
「そして、人間界の政争に疲れた要人の皆様」
長い年月を生きてきた者たちが――
今夜、種族を越えて集う。
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【3ページ】
1コマ目・自動扉。
スーッ……。
2コマ目・入ってくる長身の男。
漆黒のベルベットコート。
青白い肌。
冷たい瞳。
ナレーション
最初の客は――
かつて夜の闇を統べたアンデッドの貴族。
3コマ目・その後ろ。
仮面をつけた人間界の貴族や音楽家たちが続く。
純
「今夜は――種族を越えた『夜の貴人』が集まります」
4コマ目・貴族がホールを見回す。
貴族「ほう……」
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【4ページ】
1コマ目・香木から立ち上る煙。
貴族
「本館から離れたこの別棟に、これほど上質な香木を焚いておるとはな」
2コマ目・純を見る。
貴族
「人間界のどんな高級ホテルでも、これほど洗練された夜の空間は滅多にお目にかかれぬ」
3コマ目・貴族不敵な笑み。
貴族
「だが――」
4コマ目・アップ。
貴族
「余の退屈を紛らわせるだけの夜会が、本当に用意されているのだろうな?」
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【5ページ】
1コマ目・純が一歩前へ。
純
「ようこそお越しくださいました」
2コマ目・完璧な一礼。
純
「夜の帳を愛するお客様のために、最上階『ムーンライト・サロン』をご用意しております」
3コマ目・銀のトレイ。
その上には、一輪の蒼い薔薇と美しいグラス。
純
「まずはこちらを」
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【6ページ】
1コマ目・グラスのアップ。
深い赤橙色のカクテル。
純
「特製、冷製ブラッドオレンジ・カクテルでございます」
2コマ目・純。
純
「月光のエネルギーを凝縮し、夜を愛する皆様のために仕立てました」
3コマ目・貴族がグラスを手に取る。
貴族
「……ほう」
4コマ目・一口。
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【7ページ】
1コマ目・貴族の瞳がわずかに見開かれる。
貴族
「……これは」
2コマ目・グラス。
貴族
「冷たさの奥に、芳醇な果実の甘み……」
3コマ目・純の微笑み。
貴族
「見事だ」
純
「お気に召して光栄にございます」
4コマ目・純が続ける。
純
「そして今夜は、もう一つ特別なご用意がございます」
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【8ページ】
1コマ目・音楽家たち。
楽器を準備している。
純
「魔界と人間界の著名な音楽家による、生演奏でございます」
2コマ目・貴族の顔。
純
「演目は――古典の調べを中心に」
3コマ目・貴族が驚く。
貴族
「……古典?」
4コマ目・純。
純
「お客様がお好きだった夜会の曲も、数曲ご用意しております」
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【9ページ】
1コマ目・貴族の表情が変わる。
先ほどまでの冷たい表情が、わずかにほどける。
貴族
「私の……お気に入りの夜会曲だと?」
2コマ目・純。
純「はい」
3コマ目・純の穏やかな目。
純
「お客様の『懐かしい思い出』に寄り添うことも、コンシェルジュの大切な務めでございます」
4コマ目・貴族。
しばし沈黙。
貴族「……お前」
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【10ページ】
1コマ目・貴族が純を見つめる。
貴族
「客の心の奥底まで見通しているのか?」
2コマ目・純。
純
「いいえ」
3コマ目・純が微笑む。
純
「お客様が残してくださった、ほんの小さな情報を大切にしているだけでございます」
4コマ目・純がサロンの扉へ手を向ける。
純
「どうぞ」
純
「今夜は、夜明けまでお楽しみくださいませ」
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【11ページ】
1コマ目・巨大な両開きの扉。
ギィ……。
2コマ目・扉の向こう。
幻想的な「ムーンライト・サロン」。
星空を映す魔法の天蓋。
漆黒の魔石で作られたダンスフロア。
3コマ目・客たちの驚く表情。
4コマ目・貴族。
わずかに目を細める。
貴族
「……これは」
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【12ページ】
1コマ目・天井。
無数の星が流れている。
2コマ目・魔法の光が床を照らす。
3コマ目・仮面をつけた人間とアンデッド。
互いにグラスを手にしている。
ナレーション
生者と死者。
人間と魔族。
本来なら交わることのない者たちが――
今夜だけは同じ場所にいた。
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【13ページ】
1コマ目・音楽家が演奏を始める。
♪――
2コマ目・貴族が目を閉じる。
遠い記憶が蘇る。
回想・昔の舞踏会。
ナレーション
何百年も前。
まだ彼が「夜の貴族」と呼ばれていた頃。
3コマ目・現在。
静かに目を開く。
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【14ページ】
1コマ目・貴族が人間の貴婦人へ手を差し出す。
貴族
「……お嬢さん」
貴婦人
「はい?」
貴族
「一曲、お付き合いいただけますかな」
2コマ目・貴婦人が微笑む。
貴婦人
「喜んで」
3コマ目・二人が踊り始める。
4コマ目・上から見たダンスフロア。
黒い衣装と白い衣装が、星の光の中を静かに舞う。
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【15ページ】
1コマ目・魔王が少し離れた場所から眺めている。
魔王
「……見事なものだな」
2コマ目・純。
魔王
「生者と死者が、同じ舞踏会で踊っている」
3コマ目・純。
純
「皆様、夜を愛するという点では同じでございます」
4コマ目・魔王。
魔王
「なるほどな」
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【16ページ】
1コマ目・魔王が純を見る。
魔王
「お前は本当に、生者と死者の心を同時に解きほぐす天才だな」
2コマ目・純。
純
「恐れ入ります」
3コマ目・純が静かに答える。
純
「お客様が求めているのは、ただの宿泊場所ではございません」
4コマ目・ダンスフロア。
純
「忘れかけていた自分を、もう一度取り戻せる――」
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【17ページ】
1コマ目・純の横顔。
純
「静寂と華やぎの空間でございます」
2コマ目・貴族が踊っている。
3コマ目・人間の貴族たちが笑っている。
4コマ目・魔王がグラスを傾ける。
魔王
「……それがお前の『おもてなし』か」
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【18ページ】
1コマ目・カウンター。
純が一人、静かに戻ってくる。
2コマ目・スケジュール帳。
次の予約が並んでいる。
3コマ目・純がページをめくる。
純
「さて……次のお客様は――」
4コマ目・別棟の夜景。
月明かりに照らされたグランド・マオ・ホテル。
ナレーション
夜が深まっても、別棟の灯りが消えることはない。
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【19ページ】
1コマ目・ムーンライト・サロン。
音楽が続いている。
2コマ目・星空の天蓋。
3コマ目・踊る生者と死者。
ナレーション
そこでは、種族も。
過去も。
生きている時間さえも。
今夜だけは、すべてが忘れられていた。
4コマ目・純の後ろ姿。
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【20ページ・ラスト】
1コマ目・純が振り返る。
柔らかな笑顔。
純
「どうぞ、皆様」
2コマ目・月明かり。
純
「今夜という特別な時間を、心ゆくまでお楽しみくださいませ」
3コマ目・ホテル全景。
月と星に包まれた別棟。
ナレーション
夜の貴人たちが帰る場所。
それが、グランド・マオ・ホテル。
4コマ目・黒背景。
ナレーション
そして今夜も――
「最高のおもてなし」は、夜明けまで続いていく。
完
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「コンシェルジュ」小説版も別作品として公開しています。
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