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コンシェルジュ(五)漫画脚本

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/29 📚 シリーズ: JJ 漫画脚本 📝 3,122文字 ✅ 全年齢

あらすじ

漫画脚本は♡趣味です♡

本文

コンシェルジュ(五)漫画脚本

第5話 ~別棟編~

ミッドナイト・マスカレードと、夜の貴人たち

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【1ページ】

1コマ目・夜の魔王城。

本館から少し離れた場所に、巨大な別棟がそびえている。

月明かりに照らされたその建物は、本館の華やかさとは違い、どこか静謐で幻想的。

ナレーション

深夜二時。

グランド・マオ・ホテルには、昼とはまったく違う顔がある。

2コマ目・別棟エントランス。

巨大な魔銀の燭台。

佐藤純が、一本ずつキャンドルに火を灯していく。

純

「……今夜も、よい夜になりそうですね」

3コマ目・炎が灯る。

薄暗かったホールが、柔らかな琥珀色の光に包まれる。

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【2ページ】

1コマ目・カウンター。

魔王が黒いスーツ姿でブランデーグラスを傾けている。

魔王

「佐藤、今夜の別棟は一段と空気が引き締まっているな」

2コマ目・純。

純

「今夜は特別な夜会がございますので」

3コマ目・純の横顔。

純の背後に、幻想的な別棟の内部。

純

「ミッドナイト・マスカレード」

4コマ目・別棟の案内板。

ナレーション

「昼の光を好まれないアンデッドの貴族様」

「そして、人間界の政争に疲れた要人の皆様」

長い年月を生きてきた者たちが――

今夜、種族を越えて集う。

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【3ページ】

1コマ目・自動扉。

スーッ……。

2コマ目・入ってくる長身の男。

漆黒のベルベットコート。

青白い肌。

冷たい瞳。

ナレーション

最初の客は――

かつて夜の闇を統べたアンデッドの貴族。

3コマ目・その後ろ。

仮面をつけた人間界の貴族や音楽家たちが続く。

純

「今夜は――種族を越えた『夜の貴人』が集まります」

4コマ目・貴族がホールを見回す。

貴族「ほう……」

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【4ページ】

1コマ目・香木から立ち上る煙。

貴族

「本館から離れたこの別棟に、これほど上質な香木を焚いておるとはな」

2コマ目・純を見る。

貴族

「人間界のどんな高級ホテルでも、これほど洗練された夜の空間は滅多にお目にかかれぬ」

3コマ目・貴族不敵な笑み。

貴族

「だが――」

4コマ目・アップ。

貴族

「余の退屈を紛らわせるだけの夜会が、本当に用意されているのだろうな?」

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【5ページ】

1コマ目・純が一歩前へ。

純

「ようこそお越しくださいました」

2コマ目・完璧な一礼。

純

「夜の帳を愛するお客様のために、最上階『ムーンライト・サロン』をご用意しております」

3コマ目・銀のトレイ。

その上には、一輪の蒼い薔薇と美しいグラス。

純

「まずはこちらを」

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【6ページ】

1コマ目・グラスのアップ。

深い赤橙色のカクテル。

純

「特製、冷製ブラッドオレンジ・カクテルでございます」

2コマ目・純。

純

「月光のエネルギーを凝縮し、夜を愛する皆様のために仕立てました」

3コマ目・貴族がグラスを手に取る。

貴族

「……ほう」

4コマ目・一口。

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【7ページ】

1コマ目・貴族の瞳がわずかに見開かれる。

貴族

「……これは」

2コマ目・グラス。

貴族

「冷たさの奥に、芳醇な果実の甘み……」

3コマ目・純の微笑み。

貴族

「見事だ」

純

「お気に召して光栄にございます」

4コマ目・純が続ける。

純

「そして今夜は、もう一つ特別なご用意がございます」

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【8ページ】

1コマ目・音楽家たち。

楽器を準備している。

純

「魔界と人間界の著名な音楽家による、生演奏でございます」

2コマ目・貴族の顔。

純

「演目は――古典の調べを中心に」

3コマ目・貴族が驚く。

貴族

「……古典?」

4コマ目・純。

純

「お客様がお好きだった夜会の曲も、数曲ご用意しております」

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【9ページ】

1コマ目・貴族の表情が変わる。

先ほどまでの冷たい表情が、わずかにほどける。

貴族

「私の……お気に入りの夜会曲だと?」

2コマ目・純。

純「はい」

3コマ目・純の穏やかな目。

純

「お客様の『懐かしい思い出』に寄り添うことも、コンシェルジュの大切な務めでございます」

4コマ目・貴族。

しばし沈黙。

貴族「……お前」

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【10ページ】

1コマ目・貴族が純を見つめる。

貴族

「客の心の奥底まで見通しているのか?」

2コマ目・純。

純

「いいえ」

3コマ目・純が微笑む。

純

「お客様が残してくださった、ほんの小さな情報を大切にしているだけでございます」

4コマ目・純がサロンの扉へ手を向ける。

純

「どうぞ」

純

「今夜は、夜明けまでお楽しみくださいませ」

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【11ページ】

1コマ目・巨大な両開きの扉。

ギィ……。

2コマ目・扉の向こう。

幻想的な「ムーンライト・サロン」。

星空を映す魔法の天蓋。

漆黒の魔石で作られたダンスフロア。

3コマ目・客たちの驚く表情。

4コマ目・貴族。

わずかに目を細める。

貴族

「……これは」

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【12ページ】

1コマ目・天井。

無数の星が流れている。

2コマ目・魔法の光が床を照らす。

3コマ目・仮面をつけた人間とアンデッド。

互いにグラスを手にしている。

ナレーション

生者と死者。

人間と魔族。

本来なら交わることのない者たちが――

今夜だけは同じ場所にいた。

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【13ページ】

1コマ目・音楽家が演奏を始める。

♪――

2コマ目・貴族が目を閉じる。

遠い記憶が蘇る。

回想・昔の舞踏会。

ナレーション

何百年も前。

まだ彼が「夜の貴族」と呼ばれていた頃。

3コマ目・現在。

静かに目を開く。

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【14ページ】

1コマ目・貴族が人間の貴婦人へ手を差し出す。

貴族

「……お嬢さん」

貴婦人

「はい?」

貴族

「一曲、お付き合いいただけますかな」

2コマ目・貴婦人が微笑む。

貴婦人

「喜んで」

3コマ目・二人が踊り始める。

4コマ目・上から見たダンスフロア。

黒い衣装と白い衣装が、星の光の中を静かに舞う。

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【15ページ】

1コマ目・魔王が少し離れた場所から眺めている。

魔王

「……見事なものだな」

2コマ目・純。

魔王

「生者と死者が、同じ舞踏会で踊っている」

3コマ目・純。

純

「皆様、夜を愛するという点では同じでございます」

4コマ目・魔王。

魔王

「なるほどな」

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【16ページ】

1コマ目・魔王が純を見る。

魔王

「お前は本当に、生者と死者の心を同時に解きほぐす天才だな」

2コマ目・純。

純

「恐れ入ります」

3コマ目・純が静かに答える。

純

「お客様が求めているのは、ただの宿泊場所ではございません」

4コマ目・ダンスフロア。

純

「忘れかけていた自分を、もう一度取り戻せる――」

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【17ページ】

1コマ目・純の横顔。

純

「静寂と華やぎの空間でございます」

2コマ目・貴族が踊っている。

3コマ目・人間の貴族たちが笑っている。

4コマ目・魔王がグラスを傾ける。

魔王

「……それがお前の『おもてなし』か」

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【18ページ】

1コマ目・カウンター。

純が一人、静かに戻ってくる。

2コマ目・スケジュール帳。

次の予約が並んでいる。

3コマ目・純がページをめくる。

純

「さて……次のお客様は――」

4コマ目・別棟の夜景。

月明かりに照らされたグランド・マオ・ホテル。

ナレーション

夜が深まっても、別棟の灯りが消えることはない。

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【19ページ】

1コマ目・ムーンライト・サロン。

音楽が続いている。

2コマ目・星空の天蓋。

3コマ目・踊る生者と死者。

ナレーション

そこでは、種族も。

過去も。

生きている時間さえも。

今夜だけは、すべてが忘れられていた。

4コマ目・純の後ろ姿。

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【20ページ・ラスト】

1コマ目・純が振り返る。

柔らかな笑顔。

純

「どうぞ、皆様」

2コマ目・月明かり。

純

「今夜という特別な時間を、心ゆくまでお楽しみくださいませ」

3コマ目・ホテル全景。

月と星に包まれた別棟。

ナレーション

夜の貴人たちが帰る場所。

それが、グランド・マオ・ホテル。

4コマ目・黒背景。

ナレーション

そして今夜も――

「最高のおもてなし」は、夜明けまで続いていく。

完

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「コンシェルジュ」小説版も別作品として公開しています。

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