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第八話 旅の武人

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/29 📚 シリーズ: 桃華伝 〜真伝・桃太郎〜 📝 1,334文字 ✅ 全年齢

あらすじ

天界と人界、黄泉の狭間にある神々の国。 《桃》の化身・桃華は、鬼神族の侵攻によって滅びかけた天界から、破邪の聖剣《桃光》を託され地上へ逃れた。 しかし追っ手に深手を負わされ、川へ落ちた桃華は記憶を失ってしまう。 彼女を救ったのは、山里で暮らす老夫婦だった。 桃の香りをまとい、名も思い出せない少女に、二人は「桃太郎」という新たな名を与える。 穏やかな日々の中で、桃太郎は初めて家族の温かさを知る。 だが、鬼神族の襲来によって失われた記憶と使命を取り戻した彼女は、大切な人々を守るため、再び剣を取る。 旅立つ桃華へ、謎の老人は告げた。 「お前には三つの力が必要となる」 犬――すなわち忠義。 猿――すなわち知恵。 鳥――すなわち天を翔ける導き。 桃華は聖剣と、老夫婦から託されたきびだんごを携え、三人の仲間を求めて旅に出る。 その先で待つのは、雷神の血を引く武人、異国より渡った猿妖、そして最古の霊鳥。 これは、鬼を完全な悪とは断じない、新たな桃太郎の物語。 正義と悪が入れ替わる世界で、桃の娘は何を守り、何を討つのか――。

本文

桃華は山道を歩いていた。

老夫婦の家を出てから数日。

聖剣桃光を背負い、ただ一つの名を胸に刻みながら。

――朱天。

鬼神族を率い、天界を襲った神。

必ず見つけ出し、止めなければならない。

そんな思いで歩き続けていると、不意に地面が震えた。

ドォン。

ドォン。

大木を担いだような大男が、山道の向こうから歩いてくる。

肩には巨大な斧。

筋骨隆々の身体。

それでいて、その顔には豪快な笑みが浮かんでいた。

「おお? 旅の娘か。」

男は気さくに笑う。

「こんな山奥で会うとは珍しいのう。」

桃華も一礼する。

「旅の途中です。」

「そうかそうか。」

男は腰を下ろすと、肩から水筒を外し、一息に水をあおった。

「娘子よ。何か食い物を持ってはおらぬか」

あまりに率直な物言いに、桃華は目を瞬いた。

「食べ物、ですか?」

「ああ。急ぎの用で出てきたゆえ、手持ちは兵糧丸ばかりでな」

金時は懐から、黒く固められた小さな丸薬を取り出す。

「これはこれで腹は満たされる。だが、何せ味気がない」

そう言って、豪快に笑った。

「武士は食わねど高楊枝、と申すがな。わしは腹が減っては戦はできんのじゃ」

桃華は思わず口元を緩める。

「それなら、きびだんごがあります」

「ほう。きびだんごか」

差し出したのは、普通の丸い団子ではない。

きびの粉に水飴と餡を練り込み、細長い板のように固めたものだった。旅の途中でも傷みにくいよう、ばあさんが工夫して作ってくれた団子である。

男は一本受け取ると、ためらいなくかじった。

「……む」

噛むほどに、きびの香ばしさと餡の甘みが広がる。

男の目が見開かれた。

「うまい!」

さらに一口。

あっという間に一本を平らげる。

「こいつはただの団子ではないな」

「そうでしょうか」

「間違いない」

男は大きく頷いた。

「このきびだんご、日本一の団子に違いない!」

桃華は思わず笑みをこぼした。

「祖母が作ってくれたものです」

「ほう。よい祖母を持ったな」

男は満足そうに頷いた。

「礼を言う。」

そして立ち上がり、大斧を肩へ担ぐ。

「そういや、まだ名乗っとらなんだ。

 わしは坂田金時。ある武将に仕えておる。」

桃華は驚く。

坂田金時⋯⋯どこかで聞いたような名だった。

「近頃、この辺りでは若い女子がさらわれる事件が相次いでおってな。」

「調べたところ、"しゅてん"という鬼の仕業らしい。」

その名を聞いた瞬間。

桃華の表情が変わる。

「……しゅてん?」

「ああ。」

金時は頷く。

「討伐隊はすでに大江山へ向かっておる。

 わしだけ別な用を仰せつかって、遠方まで出向いておった。今から急いで合流するところじゃ。」

桃華は立ち上がる。

胸が高鳴る。

「実は……。」

静かに口を開く。

「私も、しゅてんという者を追っています。」

金時が目を細めた。

「ほう。」

「もしや、私の探す朱天と同じ者なのか……。」

「確かめさせてください。」

金時は豪快に笑った。

「面白い娘だ、ならば来るがいい。

 鬼退治に向かう道は、一人より二人の方が心強い。」

桃華は力強く頷く。

「よろしくお願いします。」

こうして二人は並んで歩き始める。

一人は、鬼神族を討つために。

一人は、民を守るために。

まだ二人は知らない。

互いの追う"しゅてん"が、同じ名でありながら、全く異なる存在であることを。

そして、

互いの運命が、この日を境に大きく交わることを。

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作者について

鳳 翔平

「小説家になろう」で連載中の物を、一部修正してこちらにも投稿させてもらってます。 文章作成で、AI利用してますが、プロット、シナリオは完全作者の物。そこにAIには一切介入させません。

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