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【22番外】鍵穴攻略

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/8/30 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 2,269文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

営業を終えた時環遊技場は、昼間の賑わいが嘘のように静まり返っていた。

最後の客を見送り、「蛍の光」が消える。従業員アンドロイドが店内の片付けを終えて振り返ると、まだ明かりのついている台が一台だけ残っていた。

CRパイナップル娘。その前に、店主が座っている。

閉店後に古い台を趣味で打つことは、店主にとって珍しいことではなかった。営業中には見せない、どこか子供のような楽しげな表情で液晶を眺めながら、玉を打ち出している。

やがて、店主の右手がハンドルから離れ、台の右側へ伸びていく。

台枠にある小さな鍵穴を、指先でそっと塞いだ。

アンドロイドは、片付けの手を止めた。何をしているのだろう。そんな疑問を抱きながら見ていると、ほんの数秒後、液晶の演出が変わった。

『リーチ!!』

店主は、すっと鍵穴から指を離した。図柄が走る。そして……大当たり。

あまりにも早い展開だった。

アンドロイドは、画面と店主の手元を交互に見た。店主は満足そうに目を細めている。

「ほら。当たるんですよ」

まるで、こうなることを知っていたかのような口ぶりだった。

もちろん、アンドロイドにも分かっている。鍵穴を塞いだからといって、台の抽選が変わるわけではない。たまたま、そうなっただけ。

そう考えるのが普通だ。それでも、あまりにも出来すぎたタイミングだった。

店主は大当たりの画面を楽しそうに眺めながら、ぽつりと言った。

「これが鍵穴攻略なんです」

アンドロイドは鍵穴を見つめた。

「なぜ鍵穴を塞ぐのですか?」

すると店主は、少し考えるように首を傾けた。

「うーん……気持ち、ですかねぇ」

「気持ち、ですか?」

「そうです。こういうのは、気持ちが大事なんですよ!」

あまりにも曖昧な答えだった。アンドロイドは、しばらく黙った。

数字でもない、理屈でもない。気持ち。その言葉だけが、妙に引っかかった。

その後も店主は、CRパイナップル娘を打ち続けた。

鍵穴を塞ぐ。リーチがかかれば指を離す。外れることもあれば、当たることもある。

最初の一回ほど鮮やかな結果は続かなかった。それでも店主は気にする様子もなく、同じ動作を繰り返していた。

そして、リーチがかかるたびに、店主の雰囲気が少しだけ変わる。

鍵穴に指を当てると、背筋が伸びる。液晶を見る目が鋭くなる。

まるで、その瞬間だけ何かの勝負に挑んでいるようだった。

リーチが終われば、いつもの店主に戻る。

アンドロイドは、そんな店主の姿をしばらく眺めていた。

半信半疑。それが一番近い。信じるには根拠がなく、笑い飛ばすには、目の前で起きた最初の大当たりが少し気になった。

*

数日後の閉店後。

アンドロイドは、一人でCRパイナップル娘の前に立っていた。

あの日以来、どうにも鍵穴が気になっていた。店主が楽しそうに打っていたことも、最初の一回があまりにも早く当たったことも、頭の片隅に残っている。

自分も少し遊んでみよう。そう思い、玉を借りた。

最初は、何もせず普通に打ち始めた。玉が盤面を転がっていく。

何度かリーチはかかるものの、なかなか図柄は揃わない。

アンドロイドは液晶を眺めながら、ふと台の右側へ視線を落とした。

小さな鍵穴。店主が指を当てていた場所だ。しばらく、そのまま見つめる。

もちろん、こんなことで当たりやすくなるとは思っていない。それでも、試してみるくらいなら構わない。アンドロイドは、ゆっくりと手を伸ばし、鍵穴を塞いだ。

そして、また玉を打ち出す。しばらくしてリーチが来たが、すぐに外れた。

アンドロイドは小さく首を傾げた。

それでも、もう一度。さらにもう一度。結果は同じだった。当たらない。

けれど、不思議とやめる気にはならなかった。店主は最初の一回を、あれほど鮮やかに当てた。

あれは本当に偶然だったのだろうか。そんな考えが頭をよぎった、そのときだった。

「まだ打ってたんですねぇ〜」

背後から店主の声がした。アンドロイドが振り返る。

店主は、いつもの穏やかな笑顔で立っていた。

アンドロイドは、少しだけ気まずそうに鍵穴を見る。

「少し気になりまして」

「そうでしょうねぇ」

店主はそれ以上何も言わず、隣に立った。

アンドロイドは再び台へ向き直る。しばらく打ってみるものの、やはり当たらない。

鍵穴を塞いでも外れる。普通に打っても外れる。何度目かのリーチも、あっさりと外れてしまった。アンドロイドは、とうとう鍵穴から指を離した。

「やっぱり、よく分かりません」

店主は、そんなアンドロイドの様子を見ながら、少しだけ笑った。

そして台の右側へ手を伸ばし、小さな鍵穴を、指先でそっと塞いだ。

「もう一回、やってみましょうか」

アンドロイドが玉を打ち出す。盤面を玉が転がっていき、スタートチャッカーに入る。

数秒後。液晶の演出が変わった。

『リーチ!!』

店主は、すっと鍵穴から指を離した。

アンドロイドも画面を見つめる。図柄が走る――そして――大当たり。

アンドロイドは、思わず画面を見直した。さっきまで何度やっても当たらなかった。

それなのに、店主が鍵穴を塞いだ途端に大当たりが出た。

偶然。きっと偶然だ。そう思う。けれど、最初の一回もそうだった。

店主は大当たり画面を眺めながら、満足そうに笑っている。

「ほら〜。当たるんですよ!」

アンドロイドは鍵穴を見た。昨日まではただの小さな穴だったが、今は少しだけ違って見える。

「これが鍵穴攻略なんです」

店主は、そう言って笑った。

閉店後の静かな店内に、玉の音が響いている。

アンドロイドは、まだ半信半疑だった。

それでも、鍵穴を見つめる目には、ほんの少しだけ変化があった。

もしかすると、次に打つときも――。

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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