【23番外】レトロ&フューチャー
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
時環遊技場の定休日。いつもなら遊技音や客の話し声が響いている店内も、この日ばかりは静まり返っていた。シャッターの閉まった店を後にして、店主と従業員アンドロイドは店の裏手にあるガレージへ向かう。
「今日は都市中央まで行こうか」
「はい。店内装飾用の古物と、景品用の菓子や雑貨ですね」
「うん。いいものが見つかるといいね」
ガレージのシャッターが開く。中には一台の空中車が停まっていた。
二人が乗り込むと、従業員アンドロイドが行き先を確認する。
「都市中央、古物商街でよろしいですか?」
「そうだね。お願い」
オートパイロットが起動し、空中車がゆっくりと浮かび上がった。
窓の向こうを、未来都市の建物群が流れていく。空中車の航路には無数の光が交差し、遠くには巨大な広告塔が浮かんでいる。
店主は窓の外を眺めながら、スマートホログラフィサングラスを掛けた。レンズの上に薄い光の表示が浮かぶ。
「便利だねぇ、これ」
「お気に入りですね」
「うん。新しいものって、面白いよね」
しばらくして、空中車は都市中央の一角にある古い商店街へと入っていった。
高層建築が立ち並ぶ都市の中心にあって、そこだけ時間が取り残されたような一角だった。
その中に、今では数えるほどしか残っていない古物店がある。
古い物を専門に扱う店は、現代ではとても貴重だ。保存状態の良い品ともなれば、その価値はさらに跳ね上がる。
二人は店の前で足を止めた。
店主が扉を開くと、小さなベルの音が店内に響いた。
棚には古いラジオや時計、ペン、装飾の施されたケース、金属製の小物などが所狭しと並んでいる。
店主は一歩入ったところで、ふと足を止めた。
棚の奥に置かれた古いラジオに目が留まったのだ。
「あ……うわー! 懐かしい!」
従業員アンドロイドが隣を見る。
「ご存じの品ですか?」
「これ、使ってた!」
店主は嬉しそうにラジオを手に取った。
「昔、家にあったんだよ。ここのつまみがね、ちょっと固くてさ」
「実際に使用されていたものなのですね」
「そうそうそう。懐かしいなぁ〜」
ラジオを手の中でゆっくりと眺める。その表情には、普段の穏やかな笑みとは少し違う、子どものような嬉しさが浮かんでいた。
やがて店主は店員に声を掛ける。
「これ、いただけますか?」
従業員アンドロイドが価格を確認する。
「店主。こちら、かなり高価ですが」
店主は値札を見て、少しだけ目を丸くした。
「……ほんとだね」
それでもラジオを大切そうに抱える。
「いやぁ〜、でもいいなぁ。これ」
「購入されますか?」
「うん。お願いしよう」
従業員アンドロイドが購入を記録している間にも、店主の視線は店内を忙しく動いていた。
「あっ!」
今度は別の棚へ向かう。
「これも懐かしい!」
古いペンを手に取る。
「これ、こういうの使ってたわ」
さらに、その隣にあった装飾されたケースにも目を留めた。
「これもいいね」
「店主」
「うん?」
「まだ何か購入されるおつもりですか?」
店主はケースを眺めながら、穏やかに笑った。
「これ、店に置いたら似合いそうだよ」
結局、ラジオにペン、装飾ケース。それだけでは収まらず、小さな置物や古い金属製の小物まで、いくつか購入することになった。
店を出るころには、従業員アンドロイドの手にはいくつもの荷物が増えていた。
「今日はいいものが見つかったね」
「予算は予定を超過しています」
「そうかぁ」
店主は困ったように笑った。
「でも、まあ……いいものだったからね」
二人は荷物を抱えて、次の店へ向かう。今度は、昔ながらの菓子や雑貨を扱う店だ。
「景品も少し見ていこうか」
「はい」
店内には、昔ながらの駄菓子から未来の技術を使った玩具や菓子まで、さまざまな商品が並んでいた。
そして、その商品の前には紙ではなく、小さなホログラムのPOPが浮かんでいる。
店主が棚に近づくと、淡い光がふわりと灯り、商品名と説明が浮かび上がった。
《ミラくるボー》
『くるくる回して楽しもう! 昔ながらの人気駄菓子!』
「おっ、ミラくるボーだ」
店主の顔がぱっと明るくなる。
「これ、まだあるんだ。懐かしいなぁ〜」
「ご存じですか?」
「もちろん。これも置こうよ」
従業員アンドロイドが商品をかごへ入れる。
隣の商品に近づくと、またホログラムPOPが浮かび上がった。
《硬さが変わる飴》
『ひと粒で食感チェンジ! カリッとした食感から、やわらかな食感へ。変化を楽しもう!』
ホログラムの飴が、硬い状態から柔らかく変化する様子まで実演している。
「へえ〜。硬さが変わるんだ」
店主はしばらくその動きを眺め、楽しそうに笑った。
「面白いね。これも」
また一つ、かごに入る。
さらにその先には、小さな鉢植えのような玩具があった。商品を囲むようにホログラムの花が咲き、軽快な音楽に合わせて花びらや茎がくるくると踊っている。
《ホログラムフラワー》
『音楽を聴かせて育てよう! 成長した花は、音に合わせて楽しくダンスします!』
「なんか懐かしいっ!面白いね。これも購入しよう」
店主が商品を手に取る。
その横では、ポテトチップスの袋を模したホログラムが浮かんでいた。袋の周囲を花や果物を思わせる光の粒が漂っている。
《フレグランスチップス》
『パリッと食べるたび、香りが変化! 味だけじゃない、新感覚のポテトチップス!』
「へえ……最近のお菓子はすごいなぁ」
店主は感心したように袋を眺める。
そのまま歩を進めると、次々とホログラムPOPが立ち上がっていく。
《味変キャンディ》
『ひと粒で味が変わる! 次の味は食べてからのお楽しみ!』
ホログラムのキャンディが、くるくる回りながら色を変えている。
「これも面白そうだね」
《温度チョコ》
『口の中の温度で風味が変化! ひと粒で二度、三度楽しめます!』
「温度で変わるんだ」
《気分ラムネ》
『今日の気分を入力してください。あなたにぴったりの味と香りを選びます!』
「これは面白いなぁ」
店主は笑いながら、かごへ入れる。
菓子の棚を抜けると、今度は玩具が並ぶ一角に出た。
《音楽プランター》
『好きな音楽を聴かせて育てよう! 音によって植物の形が変化します!』
ホログラムの植物が、流れている音楽に合わせて葉の形を変えていく。
「ホログラムフラワーとはまた違うんだね」
その隣では、小さな箱の中に雲が浮かんでいた。
《ミニ気象ガーデン》
『小さな箱の中に、雨や霧を再現! 自分だけの天気を作って植物を育てよう!』
「へえ、天気まで作れるんだ」
さらに暗い森を思わせるホログラムが現れる。
《発光キノコ栽培キット》
『育てたキノコが、暗い場所でほんのり光ります。小さな夜を育てよう!』
ホログラムのキノコが、暗闇の中でぽうっと光った。
「これは店に置いても面白そうだなぁ」
「景品用では?」
「ああ、そうだったね」
店主は笑った。
商品は、次々とかごへ入ってゆく。
その先にも、面白そうな商品が続いている。
《ミニ重力迷路》
『重力の向きを変えて、玉をゴールへ導こう!』
ホログラムの玉が上下左右へ方向を変えながら、迷路を進んでいく。
「これ、パチンコ好きなら喜びそうだね」
《自走コマ》
『置くだけで走り出す! 壁に当たるたび、予測不能な動きを楽しもう!』
「これも面白い」
《気分反応フィギュア》
『あなたの声から気分を読み取り、表情が変化します!』
ホログラムのフィギュアが笑顔になったり、困った顔になったりする。
「いやぁ〜、かわいいね」
《温度チェンジパズル》
『触れた場所の温度で模様が変化! 隠された絵を探そう!』
「へえ、これはちょっと遊んでみたいなぁ」
《磁力迷路》
『磁力を操って、ケースの中の玉をゴールまで運ぼう!』
「これもいいね」
《指先ドローン》
『指の動きを追いかけて、手のまわりをふわふわ飛びます!』
小さなドローンのホログラムが、指先の周りを追いかけるように飛び回る。
「へえ。面白いなぁ」
《ミニ浮遊ボール》
『小さなボールを宙に浮かせて遊ぼう! 落とさず何秒キープできるかな?』
「これも面白そうだね」
気づけば、従業員アンドロイドのかごはずいぶん重くなっていた。
それでも店主はまだ楽しそうに棚を眺めている。
今度は日用品のコーナーだった。
《自己洗浄ハンカチ》
『汚れを検知すると繊維が変化。軽く振るだけで、きれいな状態に戻ります!』
「便利だねぇ」
《温度調整マグカップ》
『飲み物に合わせて温度を調整。いつでも飲み頃をキープします!』
「これは普通に欲しいなぁ」
《折りたたみ式ライト》
『薄く折りたためて持ち運び簡単。開けば明るい照明に早変わり!』
《汚れが一定時間で消えるエプロン》
『どんな汚れも、しばらく待てば元通り! 未来の家事をもっと楽しく!』
「これは便利そうだなぁ」
《体温で柄が変わるタオル》
『触れた場所の温度で模様が変化。使うたびに違う表情を楽しめます!』
店主はタオルを手に取り、しばらく眺めた。
「これも面白いね」
従業員アンドロイドが、かごを見る。
「店主」
「うん?」
「景品の予定数量を超えています」
店主はかごの中身を見た。
「そうかぁ」
少し困ったように笑う。
「でも、面白いものがいっぱいあるからね」
そして最後に、棚の端に置かれていた商品へ目を向けた。
小さな貯金箱のホログラムが、店主に気づいたようにこちらを振り向く。
《おしゃべり貯金箱》
『話しかけるとお返事します。今日はいくら貯めたかな?』
「へえ。これも面白いね」
「こちらも購入しますか?」
「うん。買おう」
従業員アンドロイドは、静かにかごへ入れた。
店を出るころには、古物店で買った品に加え、景品用の菓子や玩具、雑貨まで、かなりの量になっていた。
空中車へ荷物を積み込む。
古いラジオ。装飾されたケース。昔ながらの駄菓子。
そして、未来の技術を使った不思議な菓子や玩具。
空中車が静かに浮かび上がった。
店主は助手席から荷物を眺め、満足そうに笑う。
「今日は、いい買い物ができたね」
「はい」
「明日、店に置くのが楽しみだなぁ」
「古いラジオは、どちらに置かれる予定ですか?」
「そうだなぁ……カウンターの近くがいいかな」
店主は少し考える。
「ケースは、あの棚に置こう。ペンは……」
話しながら、もう明日の店内を思い浮かべている。
古い物も、新しい物も。懐かしい物も、初めて見る物も。
そして、ワクワクする物も。
店主にとって、それらはみんな同じだった。
見つけたときに、少し心が弾む。
それだけで、店に置いてみたくなる。
未来都市の光の中を、空中車がゆっくりと時環遊技場へ戻っていった。
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