【29番外】 TVパチンコ
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。
本文
ある古いパチンコ台が、時環遊技場の片隅に置かれていた。
盤面の上には、小さなテレビが取り付けられている。丸みを帯びた古いデザインで、分厚いブラウン管のような画面に、横にはチャンネルと音量のつまみまで付いている。ただ、その画面だけは妙に鮮明だった。
「これ、いつ入ったんです?」
物珍しそうに眺めながら常連客が尋ねると、近くにいた従業員のアンドロイドが振り向いた。
「昨日です。店主が試しに入れてみたそうです」
「へえ。テレビ付きのパチンコか」
常連は台の前に座り、玉を借りてハンドルを回した。
玉が盤面へ飛び出し、釘に弾かれながら転がっていく。その中、テレビではニュース番組が始まった。
『午後三時現在、各地の天気をお伝えします。本日は晴れのち曇り――』
そこまでは普通だった。
『そして、こちらの遊技場では、曇りのち――入賞となっています』
「……は?」
常連が画面を見る。隣で別の客も首を傾げた。
『午後三時現在、入賞口への入賞は一回。現在まで、チューリップには3個の玉が入りました』
「おい。今の、俺の台の話じゃないか?」
そう言っている間にも、盤面の玉が右側へ転がっていく。
『現在、玉が右側の風車付近へ移動しています』
「なんで分かるんだよ!」
思わず声が出る。テレビの中では、何事もなかったかのようにニュースが続いていた。
「ちょっとチャンネル変えてみようぜ」
常連がつまみを回すと、今度は古いドラマが映った。緊迫した場面で、画面の中の女性が息を呑む。
「……待って」
常連が盤面を見つめる。
「来るぞ」
すると女性が振り返った。
「右のチューリップが今回の事件のトリックよ」
「事件のトリックがチューリップって何だよ!」
店内に笑い声が起こる。
ドラマはそのまま続いたが、ときどき登場人物の台詞が、現在の遊技状況に合わせるように変わっていた。
さらにチャンネルを変えると、今度は時代劇だった。殿様と家臣が向かい合っている。そのとき、盤面の玉が右へ流れた。
「玉が右へ寄っておりますぞ!」
「なんで時代劇でパチンコ実況してんだよ」
客が笑っている間にも、玉は風車へ近づいていく。
「このままでは風車に当たりまする!」
玉が風車に弾かれた。
「おおっ! 風車に弾かれました!」
「殿、どうするんだ?」
誰かが尋ねると、殿様はしばらく盤面を見つめ、重々しく口を開いた。
「……見守るのじゃ」
「何をだよ!」
また笑い声が起こった。
別の客が隣のテレビ付きパチンコ台へ移ると、こちらでは野球中継が映っていた。
ちょうど玉を打ち出したところで、実況アナウンサーが『さあ、投げました!』と叫ぶ。
「いや、打ったんだよ!」
玉が盤面を転がると、『これはいいコース!』と実況が続く。
「だからパチンコだって!」
今度の台では音楽番組が流れていた。司会者が満面の笑みでカメラを見つめ、『さあ、ここで現在の遊技状況をご覧いただきましょう』と呼びかける。
画面が盤面を映し出し、『現在、順調に玉が打ち出されております』と続いた。
「歌番組に俺のパチンコを混ぜるな!」
さらにチャンネルを変えると、今度はバラエティ番組だった。
司会者が勢いよく振り返る。
『さあ、ここで問題です! この玉は、どのチューリップに入るでしょうか!』
画面の中の出演者たちが一斉に「右!」「左!」「いや、中央でしょう!」と予想する。
盤面の玉がゆっくりと転がっていく。全員が画面と盤面を見比べた。
そして――玉は中央のチューリップに入った。
『正解ー!』
店内に笑い声が響いた。
いつの間にか、何人もの客が台の周りに集まっている。テレビ番組を見るためなのか、パチンコを見るためなのか、もう誰にも分からなかった。
少し離れたところで、店主がその様子を眺めていた。隣には従業員のアンドロイドが立っている。
「楽しそうですね」
「はい。思ったよりいいですね」
「遊技状況を番組に反映させる機能も追加したんですか?」
店主が少し考える。
「機能?」
「遊技状況を番組に反映させる機能です」
「……少し修正したら、こうなったんです」
「それだけですか?」
「それだけです」
テレビではまだ番組が続いていた。
画面の中の出来事と盤面の玉の動きは、いつの間にか一緒になっている。台の前には人だかりができ、誰もテレビだけ、パチンコだけを見ることなく、次に何が起こるのかを楽しんでいた。
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