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【30番外】 メタモルメダカ

小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品

📅 公開日: 2026/9/4 📚 シリーズ: 時環遊技場 📝 2,133文字 🤖 AI創作支援作品 ✅ 全年齢

あらすじ

ChatGPTと一緒に制作した、「時環遊技場」短編集です。 舞台は、未来都市・郊外第9区。昭和の手打ちパチンコから平成中期のCR機までが残る古い遊技場に、人間、ロボット、アンドロイドが集まる。そしてそこでは時々、不思議なことが起こる。ちょっと懐かしくて、少し不思議なパチンコ店の物語。

本文

時環遊技場では、営業中になると五匹のホログラムメダカが店内を泳ぎ始める。

水槽は、彼らの家のようなものだった。

営業が始まれば、透明な青い光を揺らしながら水槽を飛び出し、店内を自由に泳ぐ。

パチンコ台の上を通り過ぎたり、天井近くを泳いだり、ときには客の肩のあたりをすいっと横切ったりする。

そして営業が終われば、五匹そろって水槽へ戻る。

今日も、いつもと変わらない一日になる……はずだった。

「ん?」

常連客が、ふと上を見た。一匹のメダカが、パチンコ島の上を泳いでいる。

いつもの透明な青。ただし――

「……ちょっと大きくない?」

隣の客も見上げた。

「そう?」

メダカが、すいっと横切る。やっぱり大きい。

ぷるん、という音とともに、さらに大きくなった。

「おお?」

またひとまわり大きくなる。

「おおお……」

いつの間にか、手のひらほどの大きさになっていた。

店主も気づいて、足を止める。

「……成長期でしょうか」

「ホログラムですよ?」

「そうでしたねぇ」

店主は腕時計を確認する。画面にはいつもの表示。

《メダカさん確認》異常なし。

「ふむ」

店主が顔を上げた、その瞬間。メダカの色が変わった。透明な青から、緑。次に、赤。紫。そして、金。

店内のあちこちから声が上がる。

「金だ!」

「熱い!」

「何が!?」

「いや、パチンコなら金だろ!」

最後に――レインボー。

七色の光をまとった巨大メダカが、悠々と店内を泳ぎ始めた。

「レインボー!」

「大当たり濃厚!」

「だから何が濃厚なんですか」

店主は冷静だった。

しかし、パチンコを打っていた客たちは、完全に演出として受け取っている。

巨大なレインボーメダカが、パチンコ台の上をゆっくりと横切る。

その瞬間、ぷるん、とメダカの身体が小刻みに震えた。

「?」

次の瞬間。ぱっ、と七色の光が弾け、巨大だった一匹のメダカが一気に細かな光へと分かれた。

一匹。十匹。百匹。無数の小さなメダカが、まるで最初からそうなることが決まっていたかのように群れを作る。そして――パチンコ台の上を、一斉に横切った。

「魚群だ!」

「魚群来た!」

店内から歓声が上がる。

無数の小さなレインボーメダカが、台から台へと流れていく。

「……これは魚群ですねぇ」

店主も、今度は訂正しなかった。

ところが。魚群がそのまま天井近くまで泳いでいき――動きが止まった。

「?」

メダカの輪郭が粗くなる。次の瞬間、魚群そのものが巨大なドット絵になった。

「ドット化した!」

「レトロゲームセンターの影響か?」

「知らん!」

ドットになったメダカたちは、カクカクと尾びれを動かしながら泳いでいる。

そこへ、別のメダカが近づいてきた。

こちらは普通の青色。変な音の後、身体がいくつもの透明な立方体に分かれた。

「……」

透明なブロックの集合体になったメダカが、何事もなかったように泳いでいる。

「これは何?」

従業員アンドロイドが尋ねる。

「表示形式の異常でしょうねぇ」

「どの形式ですか?」

「……かなり新しいほうですねぇ」

さらに三匹目。今度は身体がワイヤーフレームに変化した。

四匹目は、突然三角形の集合体になった。頭も尾びれも角ばっている。

「低ポリゴンだ!」

誰かが笑った。

そして五匹目。普通の青いメダカが泳いでいる。

「今度は大丈夫だな」

そう言った直後、身体が消えた。残ったのは、青白く光る輪郭だけ。

輪郭だけのメダカが、何もない空間を泳いでいる。

店内には、六種類の表示状態が同時に存在していた。

「……五匹しかいませんよね?」

従業員アンドロイドが確認する。

「五匹ですよ」

「表示状態が六種類あります」

「一匹が途中で変わったんでしょう」

「なるほど…?」

納得していいのか分からない会話だった。

やがて、閉店時間が近づき、店主が閉店のアナウンスを始めた。

「本日の営業は、まもなく終了いたします。お忘れ物のないよう、お気をつけください」

最後の客が店を出た後、五匹のメダカも、それぞれ自由に泳いでいた店内から、少しずつ水槽へ向かい始めた。最後の一匹が戻ったところで、水槽は静かになった。

店主は腕時計を取り出し、画面を操作する。

「さて」

ホログラムメダカ管理

表示同期:異常

サイズ同期:異常

カラー同期:異常

レンダリング形式:異常

「いろいろ外れていますねぇ」

従業員アンドロイドが水槽を見る。

「営業中は問題がありませんでしたが」

「問題はありましたよ」

「そうでした」

店主は苦笑する。

画面に、《メダカさん確認》と表示される。その下に、再起動の項目がある。

店主はそれを選んだ。

「再起動しましょう」

店主が再起動ボタンを押した瞬間、水槽の中の五匹が、すうっと消えた。

数秒後、何もない水槽の中に青い光がぽつぽつと現れた。

いつもの大きさ。いつもの姿。

五匹は、何事もなかったように水槽の中を泳ぎ始めた。

店主は腕時計を見る。

《メダカさん確認》正常。

「よし」

店主は満足そうに頷いた。

翌朝。

営業が始まると、水槽から五匹のメダカが飛び出した。

透明な青い光を揺らしながら、店内を泳いでいく。

一匹がパチンコ台の上を通り過ぎる。大きさも見た目も元通りになっていた。

その姿を見て、店主は小さく笑った。

「やっぱり、いつもの姿が一番ですねぇ」

五匹のメダカは、形が変化したことに気がついていない様子で、

いつも通りふよふよと店内を泳ぎ続けていた。

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作者について

蘇轍

ぱちんこは、「遊ぶための機械」でありながら、「機械そのものを眺めるための機械」でもある。

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