JJ小説講座 第1回『開かない鍵』
小説投稿サイト「あいぺん」に投稿された作品
あらすじ
オムニバス 自由に書いています
本文
JJ小説講座 第1回『開かない鍵』
― 一つの小説の種を、六つの物語にしてみる ―
小説を書くとき、最初から大きな物語を作る必要はない。
まずは「なんだこれ?」と思える出来事を一つ置く。
その“種”をどう育てるかが、ジャンルの力だ。
今回は、一つの種から六つの物語を生み出す実例を紹介する。
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まず、一つの種
ある日、純が家に帰る。
ところが、玄関の鍵が開かない。
妻からLINEが来る。
「鍵、開かないんだけど」
息子からも連絡が来る。
「鍵開かない」
三人とも、同じ家の前にいるはずなのに、なぜかそれぞれ一人だった。
妻は裏口へ回る。
鍵を使うと、裏口は開いた。
妻は家の中へ入り、内側から玄関を開けた。
「おかえり」
そのあと息子も帰ってきて、妻が玄関を開ける。
こうして三人は、いつものように家の中で顔を合わせた。
――ここまでが、一つの小説の種。
では、この同じ種を、六つのジャンルに分けてみる。
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① 現実
書き方のコツ:現実は「偶然」「時間差」「勘違い」で説明できるかを考える。
実は三人が帰ってきた時間には、ほんの少しずつズレがあった。
純が玄関にいたとき、妻はまだそこにいない。
妻がいたときには、純はもう離れている。
ほんの数十秒の違い。
ただ、それだけだった。
――現実なら、こう説明できる。
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② ミステリー
書き方のコツ:ミステリーは“説明できない部分”をあえて残す。
三人とも「家の前にいた」と言う。
なのに、誰も誰にも会っていない。
しかも、裏口からは普通に入れた。
純は考える。
「じゃあ、あのとき俺たちは、いったいどこにいたんだ?」
鍵が開かなかった理由よりも、
三人が同じ場所にいたはずなのに、出会わなかった理由。
そこを謎にする。
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③ SF
書き方のコツ:SFは“日常の異常”を理屈で説明する。
家の玄関だけが、三人のいる時間軸を認識できなくなっていた。
だから鍵は開かない。
裏口から入った妻が玄関を開けた瞬間、三つの時間軸が重なる。
三人が家の中で揃ったことで、時間は正常に戻った。
――「鍵が開かない」を、時間軸の異常に変える。
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④ ファンタジー
書き方のコツ:ファンタジーは“世界の構造そのもの”を変える。
三人は同じ家に帰っていた。
ただし、それぞれ違う世界の家だった。
妻の世界では裏口が正しい入口。
純の世界では玄関。
息子の世界では、また別の入口。
妻が内側から玄関を開けたことで、三つの世界が一つにつながった。
そして三人は、何事もなかったように家族へ戻った。
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⑤ ホラー
書き方のコツ:ホラーにすれば、説明できない違和感になる。
三人とも、同じ家の前にいたはずだった。
けれど、そのときのことを聞いてみると、三人の記憶には妙な共通点があった。
誰も、誰かを見ていない。
ただ、それだけだった。
純は気になった。
でも、それ以上は聞かなかった。
数日後、また玄関の鍵が開かなかった。
妻は裏口から入り、いつものように玄関を開けた。
「おかえり」
純は家の中へ入った。
いつもと変わらない夜だった。
ただ純は、玄関を閉める前に、ほんの少しだけ外を振り返った。
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⑥ コメディ
書き方のコツ:コメディは“登場人物のズレ”を強調する。
三人とも家の前にいたのに、なぜか誰にも会わなかった。
それでも妻は、「まあ、入れたからいいじゃない」
息子は「今日の鍵は大丈夫?」と聞く。
純は二人を見ながら思った。
「……この家族、事件が起きても気にするところが違う。」
――そして翌朝、三人とも普通に出かけていった。
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⁂同じ「鍵が開かない」という一つの出来事でも、
現実にすれば日常の話。
ミステリーにすれば謎になる
SFにすれば時間の話になる。
ファンタジーにすれば異世界の話になる。
ホラーにすれば、理由の分からない恐怖になる。
そしてコメディにすれば、家族の話になる。
小説を書くときに大切なのは、
最初から大きな物語を考えることではない。
小説って面白い!
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⑦ ミステリー&ホラー(例題)
今回、JJ は、説明せずに謎を残すミステリー&ホラーにしてみます。
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